夕飯に舌鼓を打つ
今日の夕飯はうな丼だった。
「お待たせにゃ~ん」
シロッコがお盆に載せて運んできたうな丼を見てわたしはびっくりした。
「わ~い! うな丼だにゃ~ん、ミケにゃんってば嬉しいにゃん」
ミケにゃんはうな丼に飛びつく勢いだ。
「ミケにゃん、いただきますってみんなで挨拶をしてからだよにゃん」
「分かったにゃん」
ミケにゃんは肉球のある可愛らしいお手手をぺろりと舐めながら返事をした。
わたしの目の前に置かれたうな丼はご飯が大盛りでどんぶりからうなぎがはみ出している。ミケにゃんではないけれど、わたしもヨダレが垂れそうになる。
「お吸い物だぞ」
キッチンからやって来たケンがお吸い物をテーブルに並べた。
「さあ、楽しい夕飯の時間だにゃん」
シロッコとケンも椅子に腰を下ろした。
「美味しそうだね」右隣に座る唯奈ちゃんに視線を向けて言うと、「もう食べる前から美味しいって分かるよね」と唯奈ちゃんはこちらを見て答えた。
「今日はお疲れ様にゃ~ん。みんなのおかげでもふもふカフェの営業ができたにゃん。たくさん食べてね。では、いただきますにゃん」と言ってシロッコが肉球のある手を合わせた。
それに続きわたし達も「いただきま~す」と手を合わせた。
さあ、いよいようなぎが食べられるよ。わたしはワクワクしながらお箸を手に取った。口に運んだどんぶりからはみ出ていたうなぎはふっくらと柔らかくてそれはもう美味しかった。
「シロッコちゃんうなぎ美味しいよ」
わたしが言うとみんなも「美味しいよ」や「美味しいよにゃん」と言ってほくほくな笑顔を浮かべている。
ご飯と甘辛いタレもコクがあって最高に美味しかった。もうこれこそ幸せだよと言う感じなのだ。
「うん、最高~」
甘辛タレとご飯と柔らかいうなぎが美味しくて箸がどんどん進む。うな丼を食べ終えたら学校のことも聞かなくてはね。
美味しくて久しぶりに食べたうな丼はそれはもう美味しかったのだ。
わたしはほっぺたがぽとりと落っこちてしまうのではないかと思った。もうほっぺたが何個あっても足らないのではと思うほどだった。
「満里奈ちゃんってば美味しそうな顔だにゃん」
シロッコがわたしの顔を見て微笑みを浮かべた。
「うん、だって、美味しくて幸せなんだもん」
「うふふ、ありがとうにゃん」
シロッコの優しい笑顔はほんわかとしている。わたしは、今聞いてみようと思った。
「ねえ、シロッコちゃんお客さんから聞いたんだけど地球からやって来たわたしも学校に行けるのかな?」
「うん? 学校。あ、そうだったね。満里奈ちゃんは十五歳なんだよね。うん、学校に通えるにゃん」
「本当に通えるんだね」
「うん、気づかなくてごめんにゃん。動物達の学校に通えるよ、人間も何人か通っているよ。満里奈ちゃんも通ってみる?」
「……うん、通ってみたいかなと思うけどちょっと不安なんだ……」
わたしは、元の世界の学校をちらりと思い出してしまった。だけど、このもふもふパラダイスでもう一度学生生活を送るのもいいかなと思う。
「みんな優しいから大丈夫だと思うよ」
「そうだにゃん! ミケにゃんと学年は違うけどみんな優しいにゃん」
ミケにゃんが口の周りにうなぎのタレをべったりくっつけ笑った。
「そうなんだね。ミケにゃんを見ていたらそんな感じがするよ」
「ミケにゃんは猫の学校の一年生だにゃん。あ、うさぎも人間も他の動物もいるにゃんよ」
ミケにゃんは得意げに胸を張った。
「なんだか楽しそうだね」
「うん、勉強は嫌いだけど楽しいにゃん」
「あはは、勉強嫌いなんだね」
「ミケにゃんってば賢くないからにゃん」
ミケにゃんは賢くないと言いながら胸を張った。その姿はとてもキュートだった。
「もふもふパラダイスの学校は楽しいよ」
それまで黙っていたうさぴーも言った。
「うさぴーちゃんはうさぎの学校の二年生だったよね」
「うん、うさぎの学校の二年生だよ~」
うさぴーは鼻をぴくぴくさせながら胸を張った。もううさぴーも可愛らしいよ。
わたしはニコニコ笑いながら学校に通ってみようかなと思った。




