輝くステージ
ホットレモンを飲み喉を潤した唯奈ちゃんは発声練習をする為に二階に上がった。そんな唯奈ちゃんと入れ替わるようにもふもふなミケにゃんとうさぴーが下に降りてきた。
そのもふもふ達の姿はドレス姿だった。
「ねえ、見てみてにゃん、ミケにゃんのドレス姿可愛いよね」
ミケにゃんはそう言ってにゃぱーと笑った。
「うん、ミケにゃんちゃんとっても可愛らしいね」
わたしはにっこりと笑いミケにゃんのドレス姿を眺めた。
ミケにゃんは、ピンク色のレースに大きな黄色のリボンのついた豪華なドレスを着ていた。頭にもちょこりんことリボンと同じ色の黄色のリボンをつけている。
やっぱりもふもふな動物は可愛らしい。
「やった~ミケにゃん可愛いにゃんて嬉しいにゃ~ん!」
なんて言ってミケにゃんはぴょんぴょん飛び跳ねた。
「ミケにゃんってば可愛いって満里奈ちゃんに言わせてるんじゃない?」
うさぴーはそう言ってミケにゃんをじとっと横目で見た。
「言わせてにゃいもんね。満里奈ちゃんは可愛いって言ってくれたもんね」
ミケにゃんは頬をぷくぷく膨らませて言った。
「うん、ミケにゃんちゃん可愛いよ。それからうさぴーもとっても可愛いよ」
「うさぴーも可愛いかな?」
うさぴーは照れたように長い耳を触った。その表情は頬が緩んでいるように見えてとっても可愛らしかった。
「うさぴーこそ満里奈ちゃんに可愛いと言われて喜んでいるにゃん」
ミケにゃんは耳を触っているうさぴーを横目でじとっと見た。
「だって、可愛いと言われると女の子なんだもん嬉しいよ」
そう言ったうさぴーは、オレンジ色のレースに大きな水色のリボンのついた豪華なドレスを着ていた。頭にもちょこりんことリボンと同じ色の水色のリボンをつけていてミケにゃんと色違いのドレス姿だったのだ。
「二匹ともとっても可愛いよ」
わたしは色違いのドレスを着て並んで立っているミケにゃんとうさぴーを見て目を細めた。
「にゃははありがとうにゃん」
「ありがとう。嬉しいよ~」
ミケにゃんとうさぴーは両手でドレスの裾をつまみスカートを軽く持ち上げぺこりとお辞儀をした。なんだかヨーロッパのお嬢様みたいだなと思った。
「お待たせしました~」
唯奈ちゃんが一階に降りてきた。服装は黒色のスーツのままだったけれど足元を黒色のハイヒールから赤色のハイヒールに履き替えていた。
「わっ、ミケにゃんちゃんにうさぴーちゃん可愛らしいドレスだね」
唯奈ちゃんは二匹を見てニコニコ笑った。
「ありがとうにゃん」、「ありがとう」と二匹はほぼ同時に言った。猫とうさぎの姉妹のように見える。
「唯奈ちゃん、準備が出来たんだにゃん」
シロッコはキッチンから湯気の立っているホットレモンをお盆に載せてやって来てテーブルに並べた。
「準備完了だよ」
「じゃあ、唯奈ちゃんの歌の時間だよ。みんなは座ってね」
わたし達は椅子に腰を下ろし唯奈ちゃんはアコースティックギターを抱えた。
そして、唯奈ちゃんはマイクスタンドの前に立った。後ろには『唯奈ちゃんの楽しい歌のお時間ですよ』と書かれている垂れ幕がかけられている。
「みなさん、ありがとうございます。わたし唯奈の歌を聴いてくださいね」
唯奈ちゃんは挨拶をしてぺこりと頭を下げた。それとほぼ同時にわたし達は拍手をした。
「では、歌わせてもらいます」
唯奈ちゃんはアコースティックギターをジャカジャカかき鳴らし歌を歌い始めた。久しぶりに聴いた唯奈ちゃんの力強いパンチのある歌声にわたしはじーんとした。
やっぱり唯奈ちゃんはギターを片手に歌を歌っている姿が似合っている。学校の教壇に立つ唯奈ちゃんはどことなく不自然な姿なのだから。
唯奈ちゃんは教壇という舞台よりも歌を歌う舞台に立ってこそ輝いているなと感じた。
先生が悪いとかではなくて唯奈ちゃんが輝ける世界は歌だよなと思ったのだ。
わたしは、ホットレモンを一口飲み歌う唯奈ちゃんをじっと眺めた。その顔は生き生きしていた。




