ミケにゃん準備するにゃん
「満里奈ちゃんに唯奈ちゃん~」
ミケにゃんがパタパタにゃんと足音を鳴らしこちらにやって来た。
「ミケにゃんどうしたの?」
「唯奈ちゃんの歌が楽しみだにゃん。早く聴きたいなと思ったんだにゃん」
「ミケにゃんちゃん、わたしの歌を楽しみにしてくれているの?」
唯奈ちゃんは目を細め嬉しそうにミケにゃんの顔を見た。
「うん、楽しみだにゃ~ん! 唯奈ちゃんの歌とそれからシロッコちゃんがホットレモンを作ってくれるんだにゃん」
ミケにゃんはそう言って肉球のある可愛らしい手を口元に当てて笑った。
もしかしたら唯奈ちゃんの歌よりホットレモンを楽しみにしているのではないかなんて考えた。食いしん坊のミケにゃんのことだから十分あり得る。
まあ、それでも唯奈ちゃんの歌をきっと楽しみにしてくれているはずなので嬉しいのだ。
「ミケにゃんは、歌を聴くドレスに着替えてくるにゃん」
「えっ? 歌を聴くドレス?」
「うん、やっぱり可愛らしいドレスを着て歌を聴かなきゃにゃん」
ミケにゃんはにゃぱーとひまわりの花が咲いたような笑顔を浮かべた。その顔はキュートで可愛らしい。
そして、ミケにゃんは「お着替えしてくるにゃん」と言って『ミケにゃんのお部屋ですにゃん』と書かれたルームプレートの掛かっているドアを開けて部屋に入った。
「ミケにゃんちゃんってばお着替えをするんだね。唯奈ちゃんは着替えないのにね」
「あはは、そうだね。ミケにゃんちゃん可愛らしいね。でもドレスに着替えるなんて面白いね」
わたしと唯奈ちゃんは顔を見合わせ笑った。
きっと、これから楽しい歌の時間が待っていることでしょう。わたしはわくわくして頬がゆるりと緩んだ。
「唯奈ちゃ~ん! そろそろ歌の時間だにゃ~ん」
階下からシロッコの声が聞こえてきた。
わたしと唯奈ちゃんは下へ降りた。そして、カフェの扉を開け中に入ると『唯奈ちゃんの楽しい歌のお時間ですよ』と書かれている垂れ幕がかけられていた。
「あ、来たきた。本日の主役の唯奈ちゃんだね」
シロッコは嬉しそうに笑い、「垂れ幕もかけたにゃんよ」と言ってその肉球のある可愛らしい手で垂れ幕を指差した。
「わぁ、シロッコちゃんありがとう~」
唯奈ちゃんは垂れ幕を眺め嬉しそうな声を上げた。
「にゃはは早速垂れ幕を作ったにゃん」
「シロッコちゃん嬉しいよ。ありがとうね」
「どういたしましてにゃん。垂れ幕を作るのは楽しかったよ」
「俺も手伝ったよ」
ケンがこちらにやって来ていつものようにぶっきらぼうな口調で言った。
「ケンってば意外と楽しそうに唯奈ちゃんの似顔絵を描いていたんだよ」
見ると垂れ幕の隅に唯奈ちゃんの似顔絵が描かれていた。やっぱりケンは楽しんでいるんだねと思うと笑ってしまいそうになる。素直じゃないんだから。
「ケン君ありがとう。嬉しいよ」
唯奈ちゃんは輝く笑顔を浮かべた。
「あ、いえいえ……」
ケンはやっぱりぶっきらぼうな口調だ。
「さあさあ、マイクも準備したにゃん。あ、演奏はどうしよう? ギターがあるにゃんよ」
「わたしギターの弾き語りできるので大丈夫だよ」
唯奈ちゃんはにっこりと微笑みを浮かべた。
「良かったにゃん。では、唯奈ちゃんの準備が終わったら始めましょうか」
「うん、では、ちょっとだけ発声練習をするね」
「あ、唯奈ちゃん、ちょっと待ってにゃん。喉に良いホットレモンをどうぞ持ってくるね」
シロッコはそう言ってパタパタとキッチンへ行った。
「ホットレモンか嬉しいな~」
「ホットレモン唯奈ちゃんの為にだったんだね」
「うふふ、シロッコちゃんってば優しいな」
そして、しばらくすると、
「お待たせにゃん。はちみつがたっぷり入っているホットレモンだよ。きっと、喉に良いにゃん」
シロッコはレモンの良い香りがふわふわと漂うホットレモンをテーブルに置いた。
「ありがとう、シロッコちゃん」
唯奈ちゃんはお礼を言ってホットレモンを口に運んだ。




