美味しかったカレーライスと歌と唯奈ちゃんの気持ち
シロッコのトマトカレーはとても美味しくてわたしは三杯もおかわりをしてしまった。
お皿を差し出すとシロッコは嬉しそうに受け取りパタパタとキッチンに行きカレールーのたっぷりかかったトマトカレーライスをわたしの目の前に置いてくれた。
スプーンでカレールーとご飯をすくい口に運び食べると幸せがふわりと心にも広がる。
シロッコは幸せを運んでくれる猫の天使みたいだ。なんてちょっと大袈裟かな。だけど、今のわたしは幸せなのだ。
この世界に来て良かったそう思いながらもう一口カレーライスを食べた。
うん、やっぱり美味しい。みんなと食べているのでより美味しく感じるのかもしれない。
「ねえ、唯奈ちゃんは歌が得意なんだよね?」
シロッコが言った。
「えっ! あ、うん、得意というか歌が好きだよ」
唯奈ちゃんはスプーンをお皿に置き答えた。
「じゃあ、唯奈ちゃん、仕事表にも書いたけど就寝前に歌を歌ってにゃん」
とシロッコはにっこり笑って言った。
「……わたしの歌なんてみんな聴きたいかな?」
唯奈ちゃんは遠慮がちに言った。
すると、
「ミケにゃんは聴きたいにゃ~ん! あ、ミケにゃんも一緒に歌ってもいいにゃん」と言って肉球のある可愛らしい手を挙げた。
「ほら、ミケにゃんも聴きたいって言ってるし他のみんなも唯奈ちゃんの歌を聴きたいよね?」
「うん、もちろん聴きたいよ~」とうさぴー。
「わたしももちろん聴きたいよ~」
わたしは唯奈ちゃんの顔見て言った。
「俺も聴いてもいいぜ」
ケンはぶっきらぼうに言った。
「と言うことで決定だね。唯奈ちゃんの歌をみんなに披露してにゃん」
シロッコは満面の笑みを浮かべ唯奈ちゃんの顔を見た。
「ありがとう。では、歌わせてもらいます」
そう答えた唯奈ちゃんのその表情はとても幸せそうだったので、わたしも嬉しくなり頬が緩んだ。
「満里奈ちゃん、わたしちょっとわくわくしてるかも~」
唯奈ちゃんは嬉しそうに顔を上気させて喜んでいる。その表情は生き生きしている。
「唯奈ちゃん良かったね。わたしも嬉しいよ。だって、唯奈ちゃんの歌がまた聴けるなんてね」
「ふふっ、満里奈ちゃんありがとう。わたし本当は先生じゃなくて歌を歌いたかったって気がついたよ」
先生の唯奈ちゃんはキリッと真面目な表情をしていたけれど、どこか無理をしているように見えた。けれど、今の唯奈ちゃんの表情は本物の笑顔に見える。
「わたしはずっとそう思っていたよ。唯奈ちゃんは歌を歌っている姿が似合っているってね!」
そう、わたしは唯奈ちゃんの歌っている姿が小さい頃から大好きでそして、憧れていた。
「うふふ、ありがとう」
「ねえ、唯奈ちゃん、その真っ黒なスーツ着替えたら」
「うん? 真っ黒なスーツ。あ、これね、わたしの戦闘服みたいになっていたよ」
唯奈ちゃんはそう言ってスーツの袖を摘まんだ。
「戦闘服か……今日はおもいっきり歌ってね」
わたしはにっこりと微笑みを浮かべた。
「うん、歌うよ~あ、このスーツのままで歌おうかな」
「えっ? どうして? クローゼットの中に可愛らしい服がいっぱいあるよね。唯奈ちゃん気に入らないの?」
わたしは不思議に思い首を傾げた。
「ううん、そうじゃないんだ。可愛らしい服がたくさんあってあれもこれも着たいなって思うんだけどね」
「ん? じゃあどうして?」
「うん、それはね、この黒色のスーツは今日まで着ようかな~って思うんだ。そして、自分の気持ちに嘘をついていた今までのわたしから卒業しようと思うんだ」
そう言った唯奈ちゃんは晴れやかな顔をしていた。
「……唯奈ちゃんそれって!」
「うん、わたしもし元の世界に戻れたとしても自分に嘘をつかない生き方をしようと思うんだ」
満面の笑みを浮かべた唯奈ちゃんの表情はとても輝いていた。




