きゅうり
さあ、みんなでごはんを食べましょう(=^・^=)と、思ったら……。
「さあ、みんな夕飯にするにゃんよ」
シロッコがそう言いながらスープを運んできた。
「わ~い! カレーの時間だにゃん。早く食べたいにゃん。あ、スープも美味しそうだにゃん!」
「ミケにゃんうるさいよ」
「うさぴーは黙っててにゃん」
ミケにゃんとうさぴーのいつものやり取りだ。なんだかおかしくって笑ってしまう。
「可愛いね」
わたしの隣に座った唯奈ちゃんが口元に手を当てて笑っている。
「あの子達いつもあんな感じだよ。無邪気で可愛らしいよね」
「もふもふな動物がおしゃべりをして言い合いをしているなんてね」
「そうだよね。とても不思議で可愛いね」
わたしと唯奈ちゃんはそう言って顔を見合わせ笑った。
「きゅうりを洗ってきたよ」
そう言ったのはケンだ。ケンはきゅうりがたくさん盛られたお皿をドーンとテーブルに置いた。
わたしは、その山盛りのきゅうりをじっと見てしまった。
だって、きゅうりは丸ごと盛られているのだから。
「さあ、みんな夕飯を食べましょう。新しく我らのもふもふパラダイスに来てくれた唯奈ちゃんも歓迎しますにゃん。では、いただきま~す」
シロッコが肉球のある可愛らしい手を合わせ、それに続きみんなが「いただきま~す」と手を合わせ夕食の時間が始まった。
わたしは、カレーを食べようとスプーンを握った。その時……。
カリッカリッカリッという音が聞こえてきた。なんの音と見ると、わたしと唯奈ちゃん以外のみんながきゅうりを丸ごと噛る咀嚼音だったのだ。
「唯奈ちゃん、みんなが丸ごときゅうりを食べているね」
「うん、きゅうりを丸かじりをしているね」
わたしと唯奈ちゃんはそう言って顔を見合わせた。
「あ、満里奈ちゃんに唯奈ちゃん、カレーと一緒にきゅうりの丸かじりをすると美味しいにゃん」
シロッコが満面の笑みを浮かべて言った。
「きゅうりの丸かじりなんだね」、「きゅうりの丸かじりって美味しいのかな?」とわたしと唯奈ちゃんが言った。
「さあさあ、二人もきゅうりの丸かじりをどうぞにゃん」
「あ、うん」
そういえばきゅうりの丸かじりは美味しいと聞いたこともあるなと思いながらわたしはきゅうりに手を伸ばした。
もふもふ癒しの空間アパートカフェの店内は、カリッカリッカリッときゅうりを噛る音が鳴り響いている。
きゅうりの丸かじりなんてと思ったけれど、これがまた美味しくてそして、楽しいのだ。きゅうりは新鮮でみずみずしくてなんだか畑の真ん中で食べているような感覚に陥る。
カリッカリッカリッときゅうりを噛る。
もふもふ達も人間もきゅうりをカリッカリッカリッと噛る。黙々ときゅうりを噛っている自分がなんだかおかしくてそして、楽しい。
「意外ときゅうり丸かじりって美味しいね」
わたしは、きゅうりにごまドレッシングをつけてカリッカリッと二本目のきゅうりを食べた。
「うん、美味しいね。なんだか食べることに夢中になってしまうね」
唯奈ちゃんは、きゅうりにマヨネーズをつけて食べている。
「ミケにゃんは三本目のきゅうりを食べているにゃん」
ミケにゃんはそう言いながらお決まりのように口の周りにマヨネーズをべったりくっつけているのだった。
みんなできゅうりを丸かじりして楽しいのだけど、メインのカレーが冷めてしまうんじゃないかなと気になってきた。
きゅうりを丸かじりしているみんなの姿をわたしはちらりと見た。すると、シロッコと目が合った。
「カレーが気になるよね。冷めないうちに食べましょうかにゃん」
シロッコはにんまりと笑った。そのシロッコの笑顔が合図かのようにわたし達はスプーンを握った。
わたしはご飯とカレールーを混ぜ食べ始めた。
カレーライスはトマトがメインのトマトカレーだ。トマトがたっぷりで他にはナス、玉ねぎ、じゃがいもがなどの具が入っているようだ。
口に運ぶとトマトの爽やかな酸味が口の中に広がりルーのスパイス感とよく合う。じゃがいもはほくほくしている。
栄養も摂れてそして、元気になれるカレーだなと思う。
「うん、とっても美味しいよ」
美味しくてわたしの頬がゆるりと緩んだ。
「そう言ってくれるとわたしも嬉しいにゃん」
シロッコはうふふと幸せそうに笑った。
みんながきゅうりをカリッカリッカリッと食べていました。満里奈と唯奈もきゅうりをまるかじりしました。




