新しい仲間にびっくりしました
「さてと、そろそろ我らのもふもふ癒しの空間カフェアパートに着くにゃんよ。楽しい旅だったね。アパートに着くまでが旅だからね」
先頭を歩くシロッコが振り返り言った。シロッコちゃんってばなんだか学校の先生みたいではないか。
「は~い」、「はいはいにゃん」ともふもふなちびっこのうさぴーとミケにゃんがほぼ同時に返事をした。
「はい、うさぴーとミケにゃんの返事は合格だにゃん。満里奈ちゃんとケンもお返事をしなきゃダメだよ」
シロッコはわたしとケンの顔を交互に眺めた。
「まあそれもそうだね~」とわたしは答えた。
「面倒くさいな……」とケンは眉間に皺をよせて嫌そうな顔をする。
「ケン、面倒くさいなんて言わないのにゃん!」
シロッコがじとっとケンの顔を見たその時、大きな叫び声が聞こえてきた。
「ここは何処なのーーーー!? どういうことなの!」
わたしは、その声に振り返った。
すると、そこには……。
わたしは、その人物を見て目を見開いてしまった。
だって、もふもふ癒しの空間カフェアパートの色鮮やかな緑と綺麗な花が咲き誇る庭に人が倒れている。それだけでもびっくりするでしょ?
だけど、わたしがびっくりしたのは……。
「ゆ、ゆ、唯奈ちゃんがどうしてここにいるのーーー!?」とわたしは叫んだ。
そう、庭に倒れていたのはわたしのよく知っている人物だったのだから。
「えっ? 満里奈ちゃん?」
その人物こと唯奈ちゃんが目を大きく見開きわたしの顔を見た。
そうなのだ、川下唯奈はわたしの従姉で地球でわたしの通っていた高校の先生でもあるあの唯奈ちゃんだ。
「唯奈ちゃんもこの世界に導かれて来たの?」
「……導かれて来た?」
唯奈ちゃんはわたしの問いに首を傾げた。
わたしは、そんな唯奈ちゃんをじっと眺めそして、視線をシロッコに向けた。
そういえばシロッコはずっとわたし達と一緒にいたよね?
わたしがシロッコをじっと見ていると海色の吸い込まれそうな綺麗なその目と目が合った。
「満里奈ちゃんどうしたの? って、えっ! その人は誰だにゃん?」
シロッコは唯奈ちゃんを指差した。
「わたしの従姉の唯奈ちゃんだよ」
「唯奈ちゃん? あ、こんにちは、わたしはシロッコですにゃん。我らのもふもふパラダイスへようこそにゃん!」
シロッコは両手を広げて挨拶をしてぺこりと頭を下げた。
「ね、猫ちゃんが……し、喋っているよ。しかも二本足で立っているじゃない!」
そう言った唯奈ちゃんのその声は驚きに震えている。
「この世界の猫ちゃんはと言うか動物達は喋るみたいだよ」
わたしがそう説明すると唯奈ちゃんは「そ、そんなバカな……」と言って絶句した。
そして、しばらくすると「ここは何処なの? 満里奈ちゃんは動物が喋る世界だなんて当たり前のように答えるの?」
唯奈ちゃんは静かに身を起こしながら聞いた。
「わたしもびっくりしたんだけど慣れちゃったよ」
「……信じられない」
そう言って唯奈ちゃんはわたしの顔とそれから動物達を見た。
「あ、お姉さんこんにちはにゃん! ミケにゃんですにゃん」
ミケにゃんが唯奈ちゃんに気づき挨拶をしながらこちらにやって来た。
「またまた猫ちゃんが喋っているよ!」
唯奈ちゃんはぶるぶる震えている。どうやらこの状況にびっくりしたままのようだ。
「あ、お姉さんこんにちは~わたしはうさぴーです」
うさぴーもぴょんぴょん飛び跳ねながらこちらにやって来た。
「……う、う、うさぎも喋っているよ」
唯奈ちゃんはまだこの状況に慣れないらしい。
「あれ? この人は誰かな? 新入りさんかな」
ケンも少し長めの前髪をかきあげながらこちらにやって来た。
「……に、人間も喋っているよ」
唯奈ちゃんはかなり興奮しているらしい。
「唯奈ちゃんってば、それゃ人間は喋るよ」
わたしは唯奈ちゃんの肩をぽんぽんと優しく叩いた。
唯奈ちゃん落ち着こうね。




