我らのもふもふパラダイスへようこそ
わたし達は湖を眺めながら芝生の上に座りシロッコが作ってくれたお弁当を広げた。
「わぁ~美味しそうだね」
お弁当箱を開けるとサンドイッチと茹でたとうもろこしが入っていた。
「今回のお弁当はサンドイッチにしてみたにゃん」
シロッコは水筒からみんなの紙コップに紅茶を注いだ。この世界にも紙コップがあるんだなと思いながらわたしは湯気の立った良い香りのする紅茶を眺めた。
「う~ん、美味しいにゃん」
ミケにゃんが口を大きく開けてサンドイッチにかぶりついている。
「ミケにゃん、みんなでいただきますって言ってからだよ」
シロッコは溜め息をつきながら言った。
「にゃはは、シロッコちゃんのサンドイッチが美味しそうだから食べてしまったにゃん」
ミケにゃんは頭を掻いている。
そんなミケにゃんをみんなが眺め「ミケにゃんはいつもこれだよね」と言って笑った。
「さあ、改めて、いただきま~す」とシロッコちゃんが肉球のある可愛らしい手を合わせ、それに続いてわたし達も「いただきま~す」と言って手を合わせた。
「あ、そうそう、満里奈ちゃん改めまして我らのもふもふパラダイスへようこそ~」
シロッコはそう言って両手を大きく広げた。
「こちらこそよろしく~」
わたしが挨拶を返すとみんなが両手を大きく広げて「もふもふパラダイスへようこそ~」と言ってわたしを歓迎してくれた。
みんなの気持ちが嬉しくてわたしの目から涙が零れそうになった。
だって、地球の日本でのわたしは学校でも歓迎されていなかったのだから……。
満里奈ちゃんは変わっていると言われて一人ぼっちだった。それがこの世界ではなぜだか素直になれるし自分らしくいられる。
わたしらしく生きてもいいんだとそう思えるのだった。
「みんな、ありがとう」
わたしは泣かずに笑顔を浮かべた。
「うふふ、満里奈ちゃんもこれで我らの仲間だよ。さあ、食べようにゃん」
シロッコちゃんは言いながらサンドイッチにかぶりついた。
「あ、シロッコちゃんってばズルいにゃん」
ミケにゃんもサンドイッチにかぶりついた。
わたしも食パンをくるくる巻いて作ったロールサンドイッチに手を伸ばし口に運んだ。
まず最初に食べたロールサンドイッチはハム、チーズにそれからレタスにマヨネーズの味付けがシンプルで美味しかった。
「うん、とっても美味しいよ~」
わたしは嬉しくて美味しくて笑顔を浮かべぱくぱく食べた。みんなもサンドイッチを美味しそうに頬張っている。
さあ、次はどれを食べようかな。
わたしはわくわくしながら今度はポケットサンドに手を伸ばした。
半分に切った食パンに切り込みを入れてポケット状にしたところにウインナーとトマトにそれからレタスを詰めたポケットサンドを食べた。
ウインナーがパリッとしていてジューシーでとても美味しかった。このパリッと感はクセになりそうだ。
「満里奈ちゃん、美味しそうに食べてくれて嬉しいにゃん!」
シロッコがわたしの隣に腰を下ろしながら言った。
「このウインナーパリッとしてるね。美味しいお弁当が食べられてわたしの方こそ嬉しいよ」
わたしはそう言って微笑みを浮かべた。
そんなわたしの顔をじっと見てシロッコが、「満里奈ちゃん、どう? この世界で暮らしていけそう?」と聞いてきた。
「うん、わたしこのもふもふパラダイスが大好きだよ」
この気持ちは嘘じゃない。シロッコやみんながいてわたしは幸せなんだもん。
「良かった。わたしが満里奈ちゃんをこの世界に連れてきたからちょっと気になっていたんだ」
「それなら安心して大丈夫だよ。わたし幸せだもん。ねえ、それはそうと癒しの空間カフェアパートの住人はわたし以外にミケにゃんとうさぴーにそれからケンだけなの?」
わたしは、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「あ、それね。満里奈ちゃんみたいな人間の住人ももっと増えるかもだよ……。動物も他にもいるんだけどね」
シロッコはそう言って水筒から紙コップに紅茶を注ぎ飲んだ。
「えっ? 人間がまだ増えるってそれは地球の人間かな?」
わたしは驚き目を丸くする。
「うん、そうだにゃん」
「……そうなんだ」
「うん、そうだよ。我らもふもふの仲間になりたい人がいればだけどね」
言いながらシロッコはわたしの紙コップにも紅茶を注いでくれた。
温かい紅茶を飲むと心も体がもぽかぽかして癒される。
空を見上げると透き通るような綺麗な青空が広がっている。シロッコって優しくて可愛らしくて不思議な猫だなと思った。




