scene4
「魚でいっぱいにしてみたいと思いませんか?」
男性は何も答えない。
聞こえてないのかしら、比較的声は大きい方だと思うのですが…。
「すいません!海を!魚で!いっぱいに!!しませんか!!」
全力で叫んでみた。
さすがにこれなら聞こえるはずよ。
と思ったのに反応がない。
よーく見てみると口元がかすかに笑っている?
いや、これは鼻で笑われている感じよね。
ありがたい理解者かと思っていたけど…。
ああ、なんかちょっと腹が立つわね。
だんだんとイライラしてきましたわ。
「ねえ、あなたどういうつもりよ!さっきから!」
強めに言ってみた。
男性はにやりと笑った。
「いや、無駄な事してるな...て思ってさ」
「むっ無駄ですって!!」
なんなのなんなのこのいきなり失礼な男は!
わざわざ残ってこんな事言うなんて!
せめて、せめてよ。
他の人達みたいにブーブー文句を言いながら立ち去るなら、百歩譲って許しましょう。
でもね。
でもね。
なんでわざわざ文句を言う為に残ってるのよ。
「あなた!絶対に許さないわよ!」
「許さないかどうかは問題じゃないよ」
手を広げ呆れた感じを出してくる。
バカにしてバカにしてバカにして。
「じゃあ何だって言うのよ!
って言うかそもそも、あんた誰よ!」
男性は大きくため息をついた。
「俺か?俺はレイジってんだ。もうすぐわかるよ」
「何よその感じ、なんでも知ってます。みたいなさ。ちゃんと説明しなさいよ」
「元漁師の感ってやつでさ…」
レイジと名乗る男が海を指さした。
「説明するより見てもらったほうが早いかと思ってさ」
その瞬間海が大きな水しぶきを上げた。
海水が降り注ぎびしょぬれになった。
「な、なに!?」
「レイオリア様!あれを!」
ニーナが指さしたその先、水しぶきの向こうに見えたのは巨大な魚。
大きく跳ねた魚が水の中に戻る。
「だから言っただろ無駄だって...あいつがいる限りこの海は…」
手が震えた。
恐怖じゃない。
ましてや、諦めとか落胆とかそんなんじゃない。
興奮。
テンションがMaxまで上がる感覚。
「なんなのあれ!?」
レイジが引いている感じがわかる。
けどそれどころじゃない。
「なに?」
「いや、この海の主で、あいつの吐き出すヘドロが…」
あ、もうこいつの話はどうでもいい。
今やることはそれじゃない。
「海の主、最高じゃない。最高の大物よ!
ニーナ!typeR後期七型を」
「は、はい」
ニーナから手渡された釣竿を握りしめる。
さあ、海の主!勝負よ!




