第三話 釣れた魚と旅 scene1
海の主が海の中で暴れた。
波が大きくうねり、空気が揺れた。
竿だけじゃ足りない。
「ニーナ!オプションを用意してちょうだい!」
「お、おぷしょん!?」
そ、そうよね。
オプションって言われても...よね。
荷物の中からリールとルアーを取り出す。
特製の魔道ルアー。
属性雷撃。
それに合わせた電撃リール。
typeR後期七型雷撃装備。
これで必ず釣り上げて見せるわ。
「おい、何をしようとしてるんだ?」
レイジが焦った表情でこっちを見ていた。
「なにって釣るに決まってるじゃない。そこに魚がいるんですから」
そう、目の前に海があって魚がいる。
釣る以外の選択肢はないわ。
「いや無理だ。大きすぎる」
「関係ない。釣れない魚なんていないわ」
大きく振りかぶって振り下ろす。
ルアーが雷をまとう。
どんな魚でも逃がしたりしない。
雷が海の主に突き刺さる。
それは同時に。
「かかったわ!」
でも終わりじゃない。
かかってからが本当の勝負。
私と海の主の一騎打ち。
竿を握る手に力が入る。
慎重に、それでいて大胆にリールを巻いていく。
竿に強い力がかかる。
ズルズルと海へ引きずられる。
「レイオリア様!」
ニーナが心配そうにこちらを見ている。
さらに引きずられる。
踏ん張りが利かない。
「おい!竿を離せ!死んじまうぞ」
レイジの声が聞こえた。
竿を離す?
それだけは絶対にないわ。
父様から受け継いだ、このtypeR後期七型、手を離せるわけがない。
全身に力を込めた。
それでも徐々に引きずられていく。




