第二話 理解されない再生 scene1
釣り上げた魚が地面で跳ねていた。
その様子を見た村人が集まってきた。
「なっこの魚…」
「カサギ!カサギじゃぞ。あんな大物」
「幻、幻の高級魚じゃぞ」
「こんな海にいるわけがねえ」
魚を見て村人がざわついていたけど今はそんな事を気にしている場合じゃない。
魚は鮮度が命。
手早くナイフで捌いていく。
エラ、ウロコ、内臓。
綺麗に取り除いていく。
「おいおい、なんだ手際がいいぞ」
「どっかの貴族の令嬢じゃないのか?」
「いやでもあの服装は貴族の…」
「さあ焼くわよ」
「は、はい」
慌ててニーナが火を起こす。
魚を火にかけたところで村人に声をかけた。
「焼き上がりましたら皆さんもご一緒にどうですか?」
突然のひと言に村人たちは困惑しているようだった。
「遠慮なさらないでください。どのみち私たち二人では食べ切れない大きさですわ」
村人たちの中から一人、初老の男性が前に出てきた。
「あんた、何者じゃ?」
「私?単なる断罪された令嬢ですわ。ちょっと釣りが好きなだけのね」
「好きなだけで…釣れるもんじゃねえぞ。こんな海で、俺が村長になる前からこの海は死んでんだ」
「そうね環境は最悪。それでも魚はいるわ」
「いるわけねえ」
「ゴミの影、淀みの薄い場所に魚はいるわ」
「なんでそんなことがわかんだよ」
…それは魔法の目。
私には海の中の魚を感じることができるんだけど…そんなこと言っても信じてはくれないだろうし…。
「観察よ。観察。海をよく見れば魚を感じることが出来るわ」
村長の目。
明らかに信じてない…気がする。
そりゃそうよね。
感じるとかちょっとスピリチュアルな感じがするわよね。
「ニーナ」
「はい」
「ニーナも感じるわよね」
「はい?」
「感じるわよね」
「な、何をですか?!」
「魚に決まってるじゃない」
「む、無理です」
こいつ…。
「ニーナ、良いんですよこういう時は感じるで…」
「え、あ、はあ…」
つ、伝わらないわね。
魚を釣るための魔法…そんな魔法マイナーですものね。
「ふぅ」
大きく息を吐く。
「もう、なんでもいいわ。言いたいことはただ一つ!」
そして村長を指さした。
「この海は死んでないわ」




