scene2
長い旅路を経て馬車が止まった。
「レイオリア様、着いたようです」
やっと着いた。
さあ青い海!待たせたわね。
「さっそく釣りますわよ」
荷物をもって勢いよく馬車を降りた。
しかし…目の前に広がる光景…。
確かに海はある。
ヘドロ、ゴミ、廃船…淀んだ臭い。
目の前の海には青がなかった。
「し…死んでる…海が死んでるわ」
想像していた海との違いにがっくりと膝から崩れ落ちた。
そんな事ってあるのかしら?
だって海よ?
都会から離れた海よ。
こんなに淀んでるなんて聞いてない。
「レ、レイオリア様、しっかりしてください。
確かにこんな田舎で寂れた漁村です」
違うわ。漁村なことはとっても良い事よ。
「でも私がしっかりお世話します」
お嬢様には何一つ不自由させないように頑張りますから…」
顔を上げてニーナを見た。
その表情は真剣そのもの、私を心配してくれているのがわかる。
でもね。
でも違うのよ。
あなたが心配しているのはあまりにも寂れすぎている村の事。
確かに、そこに並ぶ家は古いしだいぶ傷んでいるかもしれない。
生活は不自由かもしれない。
でもそんなことはどうでもいい事。
海よ海。
魚がいる感じがしないのよ。
「魚...」
「はい?」
「魚を返してちょうだい!」
涙ながらにうったえた。
ニーナに言う事ではないのはわかっている。
それでも言わずにはいられなかった。
「返して…とは?」
はいはいそうなるわよね。
わかってるわよ。
わかってるけど、やっぱりあきらめがつかない。
「ニーナ、荷物を持ってきて」
「そうですね。とりあえず家の中に荷物を運びましょう」
荷物を家に運ぼうとするニーナの肩をつかんだ。
「違いますわ」
「はい?」
「釣竿を出してちょうだい」
ニーナが何言ってんだコイツみたいな顔をしているけどそんなことを気にしている場合じゃない。
もうこうなったらやるしかない。
こんな淀んだ海でも魚がいることを証明するんだ。




