scene3
「待て待て、でもよピラニク用のルアーなんて無いだろ」
「あるわよ」
「マジか?なんでそんなレアなルアー持ってんだよ。使う場面なさすぎだろ」
何を言ってるのかしら?
いつ何時どんな魚が釣れるかわからないのだからありとあらゆるルアーを用意しておくのなんて常識なのに…。
「あなたたちの分もあるわよ」
そう言いながら茶色く細長いルアーをレイジとニーナに渡した。
「さあ、楽しみますわよ」
レイジは苦笑した。
「まあ、ここまで来たら釣るしかねえか」
「ええ!?、レイジさんまで…!?」
ルアーが海に落ちる。
ピラニク用フローティングルアー。
海に浮かんだ。
魔力を込める。
ルアーが大きく膨らんでいく。
1メートルぐらいになった時、ルアーが揺れた。
「かかったわ!」
リールに魔力を込める。
魔動リールが唸りを上げる。
巻き上がるリール。
大きく竿を上げる。
ルアーのあちこちに食いついたピラニクが10数匹、地面に落ちた。
「これだけいると釣り放題ね」
「よっし俺も楽しむぞ!」
レイジが竿を振る。
膨らむルアー。
「ははっ!こりゃ釣り放題だな!」
次から次へと食いつくピラニクを見てレイジのテンションが上がっていた。
「なあ、ニーナお前も早く釣れよ!」
「え、え...じゃ...じゃあ」
戸惑いながらニーナも竿を振った。
「えいっ」
勢いよく海へルアーが飛んでいく。
そして...。
「なっ!なんか!なんか引っ張られてます」
慌てるニーナの手にそっと手を添える。
「慌てないで魔力を込めてリールを巻き上げるわよ」
「は、はい」
ニーナが目をつむり意識を集中させる。
魔道リールが音を立て巻きあがる。
「んんっ!」
「あとちょっとよ」
ニーナの手に力が入る。
ザバァァァ。
水しぶきとともにルアーが上がる。
地面で跳ねるピラニク。
「つ、釣れた?」
竿を上げた勢いで地面にしりもちをついたニーナが茫然としている。
「ええ、貴方が釣ったのよ」
「わ、私が…」
「そうよ」
ニーナの顔に笑顔が浮かんだ。
「レイオリア様、釣りって楽しいですね!」
「あたりまえじゃない」




