scene4
「なあ、やめようぜ。幽霊はヤバいだろ」
渋々ついてきたレイジがブツブツ文句を言っているが聞こえないことにした。
「なあ、幽霊出たらどうすんだよ。霊能力的なのあるのか?」
「そんなの無いわよ」
あるわけがない。
そもそも霊を信じていないのだから、信じられるのは魚のみ。
夜の港は静かで波の音がよく聞こえる。
船は沈められてしまったのか1隻も停泊していなかった。
夜の海を眺めた。
穏やかな海。
ああ、釣りがしたい。
ポンと肩に手が置かれる。
「ダメですよ、禁止ですよ」
ニーナの言葉に我に返った。
「わ、わかってますわ。今日は魚じゃなくて幽霊を釣りに来たんでしたわ」
「幽霊は釣れません」
「わかってるわよ。そもそも幽霊なんていませんわ」
「でもナザルさんは幽霊を見たって…」
「今からその正体を暴くわよ。さあ、typeR後期七型を出してちょうだい」
「ほっ本気ですか?」
「やめろよ!幽霊なんか釣ったら呪われるだろ!」
レイジとニーナの肩にそっと手を置く。
「大丈夫、海には魚しかいませんよ。きっと」
「きっとってなんだよ。根拠ねえじゃねえかよ」
「幽霊がいるにも根拠ありませんわよ」
まったく、何を怖がっているのかしら、何が釣れるか、釣ってみればわかることだわ。
typeR後期七型を握った。
さあ、釣るわよ。
目を凝らして海を見る。
海は不気味な淡い光を放っていた。




