scene3
姿勢を直し椅子に座りなおした町長はゆっくりと話し始めた。
「あらためて、俺がこの町の町長ナザルだ」
ナザルがこっちをじろりと見た。
相変わらず目つきが悪人の目をしている。
「まず、先に言っておく」
先に?先にも何も釣りよ、釣り禁止の理由を説明してよ。
「俺は…悪い人じゃない!」
「どうでもいいわ!」
ナザルの宣言に即答した。
「ど、どうでも…!?」
言葉に詰まったナザルに、たたみかけるように問いただす。
「釣り禁止の理由を話してちょうだい!」
叫ぶわたしの肩にニーナの手がかかる。
「ダメです。レイオリア様、もとに戻ってます。話を聞いてください話を」
そっ、そうでした。
魚のこととなるとつい…いけませんわね。
「さて、ナザルさん、話してくださるかしら?」
冷静に問いかける。
「さ、最初からそのつもりだ」
ナザルは深くため息をつき目をつむった。
「恐ろしいんだ...恐ろしいんだよ」
「なにがですの?」
ナザルは怯えた顔でこちらを見た。
「呪われてるんだよ。この海は呪われてるんだよ」
呪われている?
ただの綺麗なだけの海に見えましたが…。
「呪われてるとは?」
ナザルは手を震わせながら口を開く。
「出るんだよ。海に幽霊が...どこの海からも…完全に呪われてるんだ」
幽霊...ねえ。
胡散臭くなってきたわね。
「そんなものが海にいるとは思えませんけど」
「いや...いるんだ!本当に…」
ナザルの顔をじっと見る。
嘘をついているようには見えない。
ちょっと情緒は、不安定な感じだけど…。
「何か被害は出てるのかしら?」
「船が…沈められてる…海に引きずり込まれてるんだ…」
「霊の姿をみた人は?」
「この町の人間なら大抵のやつは見てるはずだ。海に浮かぶ白く細い影をな」
そこまで話すとナザルは顔をふせた。
額からは大粒の汗がたれている。
さてと、話を聞いただけだとピンと来ないわね。
「レイジ、今から海に確認しに行くわよ」
「嫌だ」
レイジが渋い顔をしながら即答してきた。
こんな時に面倒臭がるだなんて本当に困った人だわ。
「レイジ面倒くさがらないで行くわよ。こういう時は現場を見たほうが早いわ」
「…嫌だ…」
「なんなのよ」
「嫌なんだよ!」
「なんでよ」
「だって幽霊怖いだろ!」
そんな事?
ちょっと呆れてしまうわ。
海に幽霊なんているわけないじゃない。
「幽霊が怖いだけなら問題ないわ。今すぐ行くわよ」




