第6話 scene1
絶望の気持ちのまま宿に入る。
絶望、本気の絶望だ。
釣りが…出来ない。
そんな事ある?
ありえないわ。
ああ、不安と禁断症状で手が震えてきたわ。
「そんなわけ無いだろ。どんな病気だよ」
レイジが急に突っ込んできた。
何?心が読めるのかしらこの人。
警戒しながらレイジを見る。
「…心を読んだの…?」
「そんな力はねえよ。おまえさっきからずっと喋ってたぞ」
「え…!?」
心の声が駄々漏れ...?
なんだか恥ずかしいわ。
「って言うか、なんで貴方がここにいるのよ。
ここは女子の部屋よ」
「いや明日の予定だけ伝えておこうかと思ってだな」
「明日の予定?」
「そうだ。朝一、次の町に行くための準備をして...」
「ちょっと待って」
まったくこの男は何を言い出すのかと思ったら旅の準備ですって?
その前にやらないといけないことがあるに決まっているじゃない。
「その前にやる事がありますわよね?」
「やること…?」
「…朝ごはんか…?」
「違うわよ!」
全くこの期に及んで朝ごはんだなんて、そんな事よりももっと大事なことがあるでしょうに。
「まさか...釣りに行くんじゃないだろうな?」
なんて事、この人私を常識がないみたいに言って禁止のところで釣りをする程、非常識じゃありませんわ。
「行きませんよ。禁止なんですから」
「じゃあ、どこに行くんだよ」
「決まってるわ町長の所よ!」
「会ってどうするんだよ?」
「決まってるじゃない。死の町を釣れる町にするのよ!」




