scene2
「そんな、いやらしいことは出来ませんわ!」
はっきりと言ってやったわ。
油断も隙もない。
「は!?何を言ってる?」
「だってそうでしょ。そんな狭い席に2人で座るだなんて…」
なんて事と考えるのかしらこの人は...。
はっ!?
まさか…まさか…狭いからといって私をレイジの上に座らせる気?
「そんな、いやらしいこと絶対に出来ませんわ!」
「さっきから何を言ってる?」
「何をってそういう事でしょう!」
今更とぼける、だなんてなんて男らしくない。
せめてそのまま堂々と座らせて欲しいものですわ。
レイジはしばらく何かを考えていた。
そして何かを思いついたようににやりと笑った。
「な、なによ」
なんか嫌な笑顔ね。
完全に何んか企んでる系の笑顔だわ。
次はどんなハレンチな事を言うつもり?
「絶対に誤解しているぞ」
「なにがですの?」
「俺は別にくっつきたいわけじゃねえぞ」
「じゃあ何なのよ」
「あのな、いざってときに俺1人しか馬車が運転できないと困るだろ」
何を言い出すかと思ったら…。
「困らないわよ」
「なんでだよ」
「貴方が、いざってときにならなければいいだけよ」
何かレイジが呆れたような顔をしている。
「ないようにしてるけど起きた時の為の準備だろ」
「よくわからないわ」
レイジがため息をついた。
「わからなくて良いからちょっとこっち来い」
そういいながらレイジは御者台の右半分を空けた。
「ほら」
そう言いながら御者台を右手で叩いた。
レイジの言い分はわかった。
確かに理屈は正しい。
でも…。
そっと座った。
やっぱり…近い…。
は、恥ずかしい。
なんとなく下を向いてしまう。
「…ち、近くない…?」
「しょうがないだろ。狭いんだから」
そ、そうよね。
しょうがないのよね。
わかっているわ。
わかってるけどー。




