第四話 だから嫌いじゃない scene1
「レイジ、船を出してちょうだい」
善は急げよ。
この海のヘドロ...海の異変、北の海に何か解決の糸口があるはず...。
私の勘がそう叫んでいるわ。
「待て、なんで俺も行く前提になっている?」
「決まってるでしょ」
「なんでだよ」
「だって船を持っていないから」
そう、ここには馬車で来たしいずれは釣り船ぐらいはって思っていたけどまだ買えてない。
そんなお金もない。
「だからって俺が行く必要ないだろ」
なんだか必死に抵抗してくるわね。
「あるわよ。あなた、海洋の知識とかありそうですし役に立ちそうですわ」
さあ、褒めてあげたのだから船を出すといいわ。
「嫌だろ。役に立ちたくねえし」
ええ!?褒めたのに…褒めたのに…。
なんて人なの。
「褒めたのに!!」
「はあ!?」
しまった。
思ったことが口に出てしまったわ。
どうしましょう。どうしましょう。
ちょっとレイジの顔がムッとしているわ。
誰か?!フォロー!!
ニーナに視線を送る。
「あ、あぁ、あの海、この海のためなんですよね」
レイジがギロリとニーナを睨んだ。
「なんでだよ」
ニーナは躊躇することなく言葉を続ける。
「だってですね。この海のヘドロ、この大きなボウラが運んできてる可能性があるんですよね。だってヘドロと北の海のものがお腹にいっぱい入っていたんですから」
「だからなんだよ!それと俺が行くかどうかは関係ないだろ」
「でもレイジさん、海好きですよね。この海好きですよね」
ニーナが諭すように話す。
「嫌いじゃない」
「素直じゃないですね。素直に認めてください。好きですよね…ね。」
「だから嫌いじゃない」
じれったいわね。
素直じゃないにも程があるわ。




