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体育祭の終わり

 体育祭の競技も、残すところ騎馬戦だけどなった。ぽつぽつと雨が降り始めて競技中止か騒がれているが、中止せずに続けるようだ。

「私たちが支えるからね」

「任せろ」

 支えてくれる人はいつものメンバーだった。田向君、尾園さん、そして瞬ちゃん。他の人でも十分信頼しているが、この三人だったら段違いで信頼できる。

 練習もほとんどしていないが、勝てるだろうか。先輩たちも、ここの点数によっては勝てるからと活気が他のクラスよりも数段高くなっている。

「よーい・・・・・・スタート!」

 まずは様子見、相手の鉢巻を取ったら良い。だから別のやつと争っている場所に後ろから突っ込んでいきたい。

「あ、あそこ行ける!」

 近くにいた先輩と、他のクラスが争っている場所へと突っ込んでいく。

 無事に鉢巻を取り、その場から離れていく。騎馬が崩れても失格となるため、あまり移動はしたくないが、早めに決着をつけなければ尾園さんの体力が持たない。

「戻るよ」

 元いた場所に戻ろうとした時、バランスを崩してしまった。

「遥君!」

 倒れそうになったところを、瞬ちゃんに手を掴まれてなんとか耐えた。


 その後も二つ鉢巻を取ることができた。ためも少しづつ強くなってきた。

「土ぐちゃぐちゃで気持ち悪い〜」

 尾園さんが文句を言っていたが、確かに土を踏む音が最初とは全く違う。

「あと六チームだから頑張って!」

 そうして停滞していた時、後ろから鉢巻を取られてしまった。

「うおっ!」

 取られる瞬間、足場が悪いせいで相手のチームと田向君の足が絡まって倒れてしまった。

 僕は前から倒れてしまった。急なことだったから、地面に顔がぶつかってしまう。

「遥君!」

 そんな声が聞こえた気がする。ドンッ! と音が聞こえて、しばらく目を瞑る。だが、そこまで痛いとかそういう感覚がない。

 不思議なことに、少し柔らかい感覚を感じた。ぬかるんだ地面だからだろうか・・・・・・いや、違う。体操服特有の布の感覚がする。

「んぅ?」

「遥君大丈夫?」

 瞬ちゃんの声が下から聞こえてくる。どうやら瞬ちゃんが受け止めてくれたようだ。

 長時間雨を受けていたからか、とても寒い。くしゃみが出てしまうほどに体が冷えていたようで、少し震えてしまう。

「あ、寒いよね。あっためられるもの・・・・・・」

「大丈夫だよ、自分で歩いていくから」

「ダメだよ、いま裸足じゃん」

 瞬ちゃんは僕を抱えて歩き始めた。普段から運動している人は体温が高いというが、瞬ちゃんの体温も高かった。

 好きだなぁ・・・・・・ずっとこと時間が続けば良いのに。最後に感じたのはその感覚だけだった。僕は安心しきったのか眠りにつき、起きた時には体育祭は終わっていた。


 体育祭は無事に優勝したと、お見舞いに来ていた田向君たちから聞いた。

 瞬ちゃんがどこにいるか尋ねてみたが、後から来るからと保健室にいるように言われた。

「もしかしたら風邪引くかもしれないから、寝るときはちゃんと温めてね」

「わかりました」

「速道さんが荷物持ってきてくれるみたいだから。私はちょっと用事あるから行くね」

 先生はそれだけ言い残してどこかへ行ってしまった。

 寝る前、感じた『好き』とはどういうものだろう。友達としただろうか。田向君には友達に向ける感情じゃないって言われたし。

 もしかすると、そういうことなんだと思う。もしも瞬ちゃんも同じ気持ちなら・・・・・・僕からもちゃんと伝えたい。

「大丈夫?」

 考え込んでいるところに瞬ちゃんが現れた。集中しすぎて気づかなかったようだ。

 目を逸らしそうになるけど、今回はちゃんとみなくてはならない。

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