体育祭のハプニング
玉入れが終わり、休憩が挟まれる。次の競技はリレーのため、瞬ちゃんが活躍する場所だ。よく考えてみると、瞬ちゃんが出場するのは玉入れ、リレー、騎馬戦と3つが連続している。休憩が挟まれていてよかった。
「勝てそうだね」
「そうだね」
「「速道さ〜ん」」
休憩時間は三十分。ここを狙わなければと言わんばかりに、クラス内外から男子達が押し寄せてきた。
「速道さん、体育祭終わったら打ち上げあるんだけどさ、来ない?」
「速道さん、連絡先交換しようよ」
ストレートに伝えている人や、遠回しに伝えている人がいた。今まで緊張が消えていたのは、ノリに乗っていたからだった。
気づけば瞬ちゃんは僕の後ろに隠れていた。内心ほっとした。守るというわけではないが、瞬ちゃんが嫌がっているということで追い返すようにした。
「は、速道さんどうしたの?」
「あ〜ち、ちょっと緊張してるみたい」
「う、うん。ま、また今度・・・・・・」
何か納得したのか、すぐに帰って行った。途中で何かに怯えている表情が見えた気がするけど、僕たちの後ろに何か見えたのだろうか。
「あ、ありがと」
「う、うん」
さっき瞬ちゃんが後ろに来た時に、少しだけほっとした。何を感じているのかわからないけど、そろそろ休憩時間が終わる。
「次リレーだよね。頑張ってね」
「私だけ出るの四つもあるのすごいよね・・・・・・勝てるように頑張るよ!」
さっきの緊張が抜けていないかと不安だったが、その心配は杞憂だった。
瞬ちゃんはすぐに列に並び、グラウンドへと入っていく。
しばらくして、リレーが始まった。瞬ちゃんはアンカーだからか別の色のゼッケンを着ている。
序盤、中盤までは三位をキープしていたが、瞬ちゃんに回ってくるタイミングで四位に下がってしまった。
「まだ勝てるー!」
みんながそうやって応援している。アンカーは一周しなくてはならない。前との差はそこまでなかったため、すぐに二位まで上がることができた。
半周で一位に追いつき、並んで走っている。どっちが勝つかわからない。少し瞬ちゃんの足がほつれたのか、一位との差が少しづつ開いていく。
「行けー!」
「頑張れ!」
勝てそうだからか、全員が勢いよく応援している。
「瞬ちゃん! 勝てるよ!」
周りの声に押されたのか、今まで出したことのない声の大きさを出して応援していた。周りにはさほど驚かれなかったが、尾園さんと田向君はぎょっとした顔をしていた。
その後は一位を勝ち取り、その後の先輩達のリレーでも一位と二位で、三学年揃っていい戦績だった。
「お帰り」
「応援ありがとね、ちゃんと聞こえたよ」
ふにゃっとした笑顔に少し照れてしまう。
「えへへ、なんか・・・・・・す・・・・・・」
何かを言いかけて顔を赤くして止まっている。少しして騎馬戦のメンバーが呼ばれた。何を言おうとしたのかわからなかったが、それは体育祭が終わったら聞けるんだろうか。
騎馬戦の出場者が全員グラウンドへ出た後、ぽつぽつと雨が降り始めた。




