閑話:体育祭前の朝
あれから一週間が経った。体育祭の練習も終わり、もう十月になってしまった。
昨日はリハーサルだった。運動ができる瞬ちゃんは、学年リレーと玉入れは全勝だった。
「おはよ、今日は楽しみだね」
瞬ちゃんは楽しそうに笑っているけど、こういうのがいいところなしだった。楽しみにはしているけど、競技にはそこまで出たいと思わない。
「遥君が出てる競技ってなんだっけ」
「僕は・・・・・・」
しまった、忘れてしまった。選手一覧をバックの中から探しているが、あまり見つからない。
「えっと、遥君が出てる競技は・・・・・・」
紙を広げて僕の出ている競技を確認している。ふむふむと言いながら見ているけど、なかなか見つからない様子だった。
「あ、あったよ」
「なんだった?」
「玉入れ」
言われて思い出したが、圧勝だった玉入れで瞬ちゃんがポンポン入れているところをすぐ近くで見ていたんだった。
「お弁当とか持ってきた?」
「あるよ。一応瞬ちゃんの分も」
「ありがと」
なんとなく作っておくべきだと思って、お弁当を作ってきておいた。
瞬ちゃんも作ってもらっているとは思うけど、最近足りないみたいなことを練習中に言っていたし。
「何入ってる?」
「たまごやきと、たこさんは入ってるよ。あとはお楽しみ」
嬉しいと言うわけでもなかったが、とても嬉しそうにしていたことは表情ですぐにわかった。
「ねえ、瞬ちゃん」
「どうかした?」
誰もいない朝早くの学校への登校。静かすぎて寂しい気持ちがある。瞬ちゃんに聞き返されて、少しの静寂が周りを包んだ。
「し」
「し?」
これをずっと聞こうと思っていたけど、その度に喉の部分でずっと止まる。
「瞬ちゃんと僕って友達かな」
「え、違うの?」
これだけを聞くために一週間かけたのだとかと思ってしまった。内心驚きながらも、回答を待つ。
「違わないと思うけど、なんかよくわかんなくて」
田向君にはだめだと言われたけど、やらないことには話が進まない。
「そっか・・・・・・」
少ししゅんとした声になっているけど、何かあったんだろうか。もしかして、今のが嫌いと捉えられてしまったのかもしれない。
「嫌いとかじゃないよ」
「・・・・・・じゃあなんなの?」
「親友?」
なるほど、田向君はこのことに気づかせようとしていたのかもしれない。
僕と瞬ちゃんが親友・・・・・・なんか一歩前進したみたいで少し嬉しい。
「そ、そうだよね」
気づいた気持ちは少し無理やり言い聞かせているような感じだった。
瞬ちゃんは笑顔だったから、問題自体はないと思うけど、なにか違ったような気がしてならない。




