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同じ時間を過ごす人

幼馴染が”あっち側”に行ってから、あまり一緒に過ごさなくなった。

というより、僕が勝手に離された、離れていったというべきか。

”あっち側”にいる人たちは、”あっち側”にいる方が楽なのだろう。きっとそうだ。

流れに身を任せれば、一日が楽しく平和に終わるから。


僕は、取り残された。

スマホを見るのをやめたから?

時間を気にしているから?

怖がっているから?

わからない。

そんな悩みを抱えた時に、

偶然か必然か、

自分の中に違和感を感じた。

時間のズレのようなものだった。


放課後の図書室。

いつもより人が少なくて、空気が静かだ。

カウンターの裏で、司書の女性が困っていた。

「えっと….この本、返却されたのは昨日ですよね?」

相手は、同じ学校の生徒、クラスは違うけど、顔は知っている。

「はい、昨日です。」

はっきりした声だった。

「昨日のいつですか?」

その質問に、彼は一瞬だけ黙った。彼の顔が、一瞬だけ曇ったのだ。

ほんの一瞬。

この世界じゃ、そんな顔は到底スルーされる。誰も、顔を見ていないから。

でも、僕にはわかった。


”こっち側”


もしかして、考えてる…?

時間を確認していない。履歴を確認していない。スマホを見ていない…?

「えーっと….多分17時頃ぐらいじゃないすかねぇ…?」

その答え方は、現代では普通のようで、今の世界においては普通じゃなかった。


司書は履歴を確認して納得したように。

「確かに、昨日の17時22分32秒ですね」

彼女は秒単位で発する。

「はい。」

彼はそれで満足したようだった。

何の疑問もない。引っかかりもない。

何気ない会話。普通の会話のはず。普通なのに、違和感を覚えている。

さっきの沈黙。

時間を思い出そうとする”間”が彼にはあった。

やっぱりそうだ。彼は、僕と同じ….!

僕は覚えている、感情を。笑顔だったことを。全部。全部っ。


僕は無意識に足が動いていた。

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