違和感(仮)
インターネットやスマホが普及して、時代は適応していった。
時として、噂は広がっていった。
家で、学校で、街で、世界で、SNSで。
何か、大きな事件が合ったわけでも、誰かが消えたわけでも無い。
教室では、クラスメイトたちが、話している。
「最近、パッと時間を聞いても、わかんない人多くない?」
「確かに」
「わかるー!みんなスマホみてさー。」
ただ、社会に、スマホが浸透しただけ。
ただ単に、時間を正確に言えない人が増えただけ。
小さな灯火が、ゆらゆらと光っている。
話を聞いても、自己の目撃証言が食い違う。
メッセージの送信時間と、記憶が噛み合わない。
写真の撮影時間は残っているのに、その瞬間の感情だけ思い出せない。
それを、不思議がる人はいる、だが、少ない。
というより、気にしない人が大半を占めている。
今、何年だっけ。
今、何月だっけ。
今、何日だっけ。
今、何時だっけ。
今、何分だっけ。
今_______________。
そう、時間を聞いても正しい答えは返ってこない。
求めていない返答が返ってくるだけ。
『そんなの、スマホみればいいじゃん』
『覚えてる必要ある?見れば一瞬でわかるのに。』
『自分のスマホ見ろよ、写ってるだろ』
そう言われると、確かに、反論はできない。
できる気がしなかった。
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放課後、屋上へ向かった。
なぜかはわからない。
すぐ帰ればいいのに。
ここは、昔から人があまり来ない。なぜなら基本的に封鎖されているから。だが、別館の扉は空いているのだ。
夕日がゆらめいて、風も爽やかで、少しだけ時間が遅くなる気がする。
少しして、放課後を出て、校門を出た。
少し先に、幼馴染がいる。
僕は少し小走りをして、話しかけた。
「やぁ。帰り?」
「あ、うん!一緒に帰る?」
「そうさせてもらおうかな」
隣り合わせで、歩く。
僕は、質問を投げかけた。
「ねぇ。昨日のこと覚えてる?」
幼馴染は不思議な顔をする。
「昨日?」
「うん。昨日の帰り道。信号待ってる時に、僕に何かいいかけたでしょ?」
幼馴染は、一瞬だけ黙り、不思議そうな顔をして、口を開いた。
「私、そんなこと言った?」
そう言った。幼馴染の口から。。はっきりと。
僕は信じられなかった。
だって、写真も。
歩数も。位置情報も。全部残ってる。全部共有してるのに。
全部、空っぽだったっていうのか。
昨日過ごした時間は。
幼馴染は冗談みたいな言い方で、
「どうした?ボケた?」
僕は笑えなかった。




