質問
その質問を最後に聞いたのは、いつだっただろう。
いつ。
どこで。
だれが。
なにを。
どのように。
なんのために。
何年。
何月。
何日。
何時。
何分。
何秒。
何回、回った日?
答えた記憶はない。答えてくれた記憶もない。
笑った記憶はある。笑われた記憶もある。
意味がないと思った記憶もある。思われた記憶もある。
無駄だと言ったこともある。言われたこともある。
当時は、それで終わってよかった。終わらせてよかった。
でも、今、それで終わらせていいのかわからない。終わってもいいのかわからない。
いまだにわからない。
世界は正確になった。
時間は狂わないし、記録は残るし、履歴は嘘をつかない。
何時に起きて、何時にトイレに行って、何時に着替えて、何時に歯磨きをして、何時に食べて、何時に家を出て、何時に動いて、何時に立ちどまって、どこ起きて、どこで着替えて、どこで歯磨きをして、どこで食べて、どこで動いて、どこで立ち止まって、どこに行って、だれが起きて、だれがトイレに行って、だれが着替えて、だれが歯磨きをして、だれが食べて、だれが家を出て、だれが何時に動いて、だれが何時に立ち止まって、何を着替えて、何を食べて、どのように起きて、どのようにトイレに行って、どのように着替えて、どのように歯磨きをして、どのように食べて、どのように家を出て、どのように動いて、どのように立ち止まって、起きて、見て、着て、食べて、飲んで、歩いて、走って、乗って、話して、言って、聞いて、知って、考えて、寝て。
全部わかる。全部が全部記録に残ってる。嘘のつかない正確な履歴が残っている。
わかる、全部、全部わかるけれど、何一つ覚えていない。
時間を見ない。確認しない。アラーム何が勝手に鳴る。通知が鳴る。知らせてくれる。
流れが全部教えてくれる。
今日を、正しく終える方法も。
勝手に、時間がしてくれる。
僕は見る。
何度も、必要以上に、時間を信じていないのに、手放せない。
わからないから、確認してしまう。
わからないから、不安になってしまう。
ズレていると知っているから、数字に触れてしまう。
それは、安心じゃない、執着だ。




