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わからない問い
「なあ。」
彼が言った。
「あっち側の人ってさ。時間に縛られていないよな。」
「…自由に見える?」
『あぁ。』
その言葉に、少しだけ胸が痛んだ。
なんでかはわからない。
みんな、自由だ。
自由だと思ってしまっている自分がいる。
遅れもしないし、焦りもしない。縛られもしない。
通知が来れば動く。時間が来れば動く。流れが来れば動く。
流れに沿って、今日を終える。
流れに沿って、時間が進む。
疑問を持たない分、その流れは止まらない。
彼は言った。
「俺は、あっち側になれない気がする」
静かな声だった。
「わからないまま、流されるのが嫌、というか無理なんだ....と思う。」
その場は、沈黙を過ごしたが、僕も同じ答えだった。
帰り道、信号の前で立ち止まる。
赤から青まで、あと20秒。
僕は無意識にスマホを見た。
彼も見た。
数字は正確だ。
でも、この20秒が何なのかは、誰も教えてくれない。
青になって歩き出す。
みんなは、もう向こう側の歩道にいた。
信号をみていない。
時間も気にしていない。
ただ、進んでいるだけ。
僕は思う。
見る人間と、見なくなった人間。
どっちが正しいかは、わからない。
でも、疑問を持ち続ける側にいる限り、僕はきっと、見ることをやめられない。
何時、何分、何秒、地球が何回、回った日。
その答えを疑いながら。
この先も___。




