木山宏美への復讐11
「……うぅ……な、なんで……わ、私がこんな目に……」
宏美は俺に蹴られたお腹を擦りながら恨めしそうに呟く。
ヤクザの姿で宏美をボコボコにして脅しをかけた俺は姿を消し宏美の様子を見ている。
なんでこんな目にだって?
そりゃ、てめえが俺をイジメたのが原因だろうが!
てめえには因果応報って言葉を教えてやるぜ! 覚悟しろよ!
痛みに耐えながらなんとか身体を起き上がらせる宏美の惨めな姿が俺を喜ばしてくれる。
「こうなったら貯金を下ろしてどこかに逃げなきゃ……」
宏美は手提げ金庫の中にあった自分の通帳を取り出し残高を調べる。
俺もその通帳を覗き込んで宏美の貯金がいくらあるのか見てみた。
お! 残高は100万か。
その金を使えば一回目くらいの借金の返済額ぐらいにはなるじゃねえか。
もっともその金をお前が使うことができればの話だがな、宏美。
そこでアパートの扉が勢いよく開く。
部屋に入って来たのは弘和だ。
「おい! 宏美。お前の希望通りにお前と再婚してやったぜ!」
「は? な、なんの話よ?」
宏美は弘和の言葉の意味が分からないらしい。
まあ、そうだよな。お前は義彦と再婚したつもりだろうからな。
義彦より弘和の方がてめえにはお似合いだぜ。
「宏美が書いてくれた婚姻届に俺のサインをしてもう役所に届けたぜ。だから宏美は俺のモノだ」
「ななな、なに言ってるの!? 私は義彦との婚姻届にサインしたはずよ!」
「義彦? そんな奴の名前は婚姻届には書いてなかったぜ。宏美が俺との再婚を希望したって奴から宏美のサイン入りの婚姻届をもらったからそれにサインして提出しただけだぜ、俺は」
「はあ!? いったい誰よ! そいつは!」
「知らねえよ。それより手に持っているのは宏美の預金通帳か? 俺に見せてみろよ」
宏美はハッとしたように通帳を隠そうとするが弘和に無理やり取り上げられてしまう。
「ちょ、ちょっと! 返してよ!」
「俺たちは夫婦だろ? 妻の金は夫の俺の金だ! どれどれ、うひょ! 100万もあるじゃねえか! こいつはいいや!」
「ダメよ! そのお金は私の全財産なんだから! 返してえぇーっ!!」
「分かった分かった! 俺がこの金でパチスロして何倍にもして返してやるからよ! この印鑑ももらっておくな!」
弘和は通帳と一緒に金庫の中にあった宏美の銀行印と実印を奪う。
アハハッ! 計画通りだぜ!
これで宏美は文無しだ!
「それじゃあ、俺はパチスロに行って来るからよ! またな!」
弘和は鼻歌交じりにアパートを出て行く。
宏美は全財産を失ったショックで呆然として動かない。
ハハハッ! その顔、サイコーだぜ! 宏美!
さあさあ、一文無しになったお前に逃げ場はねえぜ。どうする?
「そ、そんな、どうしたら……また、あのヤクザが来たら殺されちゃう……死ぬのは絶対イヤ!」
死ぬのは絶対イヤか。それでもてめえには最後には死んでもらうがな!
さあ、金が無くなったてめえには俺が金を与えてやるさ。最高の形でな!
さっさと俺に連絡して来やがれ!
宏美は残された俺からのメモを見る。
「し、死ぬよりは、風俗で働いた方がいいわよね……そうよ、死ぬよりは……そ、それに、お金ももらえるんだし……」
お前は自分の死が近付いても最後には金かよ!
金の亡者の宏美に相応しい死に方を用意してやるから安心して死ねよ!
宏美はメモに書いてあった電話番号に電話をかけた。
俺はアパートの外に瞬間移動して宏美からかかってきた電話に出る。
「もしもし、宏美さん。覚悟は決まったかい?」
『あなたのところの風俗のお店で働くわ。その代わりちゃんとお金はちょうだいよ!』
「安心しな。借金を返した後に残った金は宏美さんの自由にしていいぜ」
『それならいいわ』
借金を返し終わるまでにお前が生きてたら自由に金を使えよ!
まあ、無理だと思うがな! アハハハハッ!




