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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第四章

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引き抜き話1

「ふぅ、何事もなくてよかった」


「よくはないぞ」


 クラーボンを追い払ったことでユリアナはご機嫌だった。

 アルゼストもイースラを怒るようなこともなく、逆に良くやったとまで声をかけてくれた。


 雇い主であるアルゼストとユリアナが怒らないのだから、イースラが何か責任を問われることはない。

 ただブルームスには勝手なことをして、と怒られた。


 結果的に話題は脱糞に持っていかれて、悪評の全てはギチャックが背負うことになった。

 本気の決闘で負けたという評判はあまり大きくはならず、クラーボンにダメージを与えられなかったのは残念である。


 丸く収まったので、それでよかった。

 ブルームスはまだ少し怒っているが、パーティー会場で怒るわけにもいかなかった。


「パーティーの場であんなことを……! 父上が上手く取りなしてくれたからよかったものを」


 クラーボンのイースラに対する怒りは大きいが、騒ぎ立てると決闘で負けたことが広まる。

 婚約者ではない相手に婚約者であると吹き込んで近づこうとしたなんて、悪評立てるわけにはいかなくてただただイースラへの敵対心が高まった。


 そして他にもイースラに対して怒っている人がいる。

 それはオワイトを始めとする王子たちだった。


 問題行動をしたことはもちろん、社交の場で全ての話題を掻っ攫ったことにも怒っている。

 今は脱糞騎士の印象が強いけれど、冷静になるとイースラが若くしてオーラを使ったことにも注目が集まるはずだ。


 大きく見ればイースラはブリッケンシュトの人だが、さらに細かく見ればユリアナ側の人間である。

 気分がいいはずもない。


「お休みのところ、よろしいでしょうか?」


「入れ」


「失礼いたします」


「ん? おお、テパイトス。ずいぶん立派になったものだな」


「お久しぶりでございます」


「固いのは相変わらずだな」


 イースラたちは一度控え室で休憩を取っていた。

 パーティーに出ずっぱりも疲れるし、話題の沈静化も兼ねてアルゼストたち王族も休んでいる。


 休憩室に入ってきたのは四角いメガネをかけた、いかにも真面目そうな文官だった。


「今は王政執行官となったのだったな」


「はい。責任ある仕事を任されております」


「交換留学に来ていた時が昨日のようだな」


「あの時は目をかけていただきありがとうございました」


 テパイトスは深々と頭を下げる。

 イースラは全く知らない人であるが、アルゼストは顔見知りらしい。


「それで何の用で訪ねてきた? お前のことだから私用で挨拶に来たとは思えん」


「イースラ卿を少々お借りしてもよろしいでしょうか?」


「えっ?」


 関係ないだろう。

 そんな風に思いながら聞き耳だけ立てていたイースラは、自分の名前が出てきて驚く。


「王がお呼びになられています。少しお話がしたいと」


 控え室の空気が一気にピリッとなる。

 ユリアナや王子たちを含め他の騎士もイースラを見ているし、アルゼストは目の奥からゆるい雰囲気が消えた。


「……イースラくんを雇っているのはユリアナだ。だからユリアナに聞くといい」


「えっ、私ですか?」


 今度はユリアナが驚く。


「承知いたしました。ではユリアナ様。少々イースラ卿のお時間を頂戴してもよろしいでしょうか?」


 テパイトスはユリアナのことを見て頭を下げる。


「ええ……」


 どうしたらいいのか、とユリアナは困ってしまう。

 話をしたいというがどんな話をするのか、トモマガイアンの目的が分からない。


 トモマガイアンが怒っているのだとしたら、イースラを行かせるのは危ないかもしれない。

 だが他の目的がある可能性も十分にあり得る。


 イースラがオーラを使えることを見ていたとしたら、ユリアナにとってもあまり良くない話をするかもしれないと不安になる。


「え、ええと……」


「ユリアナ様」


 ユリアナは勇気を出して断ろうとしていた。

 イースラを行かせなくて責められるのは、ユリアナ自身である。


 責を負ってもイースラを守ろうと思ったのだ。


「そんなに心配しないでください。少し行って、すぐに帰ってきますよ」


 こんな状況で呼び出される理由は、イースラも予想ができている。

 ユリアナが考えているようなことには決してならないと断言できる。


「……大丈夫ですか?」


「俺が強いのは知っているでしょう? いざとなれば暴れてでも逃げてきますよ」


 力を使って逃げるようなことなんてなりはしないだろうが、安心させるために冗談めかして笑う。


「そんなことをしたら我が国はお前と関わりがないと否定してやる」


 空気が読めない第一王子が険しい顔をして口を挟む。

 実際に暴れたら戻ることなんてできないだろう。


 そうなればサシャとクラインでも呼び寄せて、違う国で再起してやるぐらいのつもりもある。


「大丈夫。行ってきますね」


「……はい」


 イースラ本人にそう言われたら送り出さないわけにはいかない。

 ユリアナは渋々頷いた。


「それじゃあ、王様のご招待に応じさせていただきます」


「お時間いただきましてありがとうございます。ではご案内させていただきます」


 イースラはテパイトスに連れられて王城の中を移動する。

 パーティー会場を離れると途端に人は少なくなって、イースラの顔を指すような人も多くはなかった。

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