表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
210/215

思い出した、クソ野郎4

「やあ! 君がユリアナだね?」


 さらりとした金髪を長く伸ばしたいかにも貴族っぽい少年が、親しげな態度でユリアナに声をかけた。


「ええと、どちら様でしょうか?」


 ここまで挨拶してきたのは女性ばかりで、同年代の男子はいなかった。

 ユリアナは緊張した顔で対応する。


 呼び捨てにされたけれども、相手の少年のことをユリアナは知らない。


「僕はクラーボン・シーナクロデ。確かに君と会うのは初めて、だね」


「あっ、ごめんなさい……」


 クラーボンはユリアナの手を取って、甲にキスしようとした。

 突然のことに驚いて、ユリアナは手を引っ込めてしまう。


 正直イースラに触れられるのならいいけれど、他の男の人に触れられるのはまだちょっと嫌だった。


「シーナクロデ様……ということは」


「ええ、僕の父上のパーティーにきてくださってありがとうございます」


 薄い笑顔が一瞬消えたものの、クラーボンはすぐにまた笑顔を浮かべる。

 名前からクラーボンがトモマガイアンの息子であることにユリアナは気づく。


「先ほどの方ですか? それは、私の……ナイト様です……」


 ユリアナは頬を赤らめてモジモジとする。

 何も知らないようなクラーボンの取り巻きたちはユリアナの様子を見て可愛いと、ぼんやりと顔を赤くしている。


「ナイト……? それはどういうことですか?」


「えっ……」


 クラーボンは険しい顔をしてユリアナの腕を掴む。


「い、痛いです」


 掴む力が強くてユリアナが顔をしかめる。


「ちょっと! 王子様といえど、女性に暴力はいけませんよ!」


 カイラが険しい顔をして間に割り込む。

 王子相手ではあるものの、痛いと口にするほどのことをしてはいけない。


「そこを退くんだ」


「なぜですか?」


「それはユリアナが僕の婚約者だからだ」


「……えっ?」


「こ、婚約者?」


 クラーボンから、衝撃の言葉が飛び出した。


「えぇ〜!」


「うそっ!」

 

 その言葉にはユリアナやカイラ、他の女の子たちも驚くしかない。


「クラーボン王子様と、婚約なさっているのですか?」


 カイラはとても驚いた顔をしているユリアナの方を振り向いた。


「……し、知りません! 婚約者がいるなんて話、聞いたことありません!」


 しかしユリアナの方だって婚約者なんて話を聞いたことがない。

 アルゼストがそんなこと勝手に決めるとも思えないし、なんの相談もなしに話が進むとも考えにくかった。


「と言っていますが……」


「うるさい! 二人で話をさせろ! そうすれば分かるはずだ!」


 子供たちが多少騒いだくらいでパーティーでは大きく注目もされない。

 特に王子がそうしているとなれば、騒動にあまり関わりたくないような人もいる。


 ユリアナに手を伸ばすクラーボンを止めるような大人は、今周りにいなかった。


「おやめください」


 けれどもユリアナにはイースラがいる。

 離れていたし、一回目は見逃してやることになったが、二回目は許さない。


 伸ばされたクラーボンの手をイースラが掴んで止める。


「イースラ様!」


 イースラが現れて、女の子たちからちょっとした黄色い声が上がる。

 女の子たちだってイースラのことは気になっていた。


 ユリアナは護衛ですなどと明言することは避けていたが、口々にイースラのことを褒めていた。

 護衛だからそっと近くにいたのだけど、他の子たちからするとユリアナのピンチに駆けつけたように見えている。


「お前、さっきユリアナと腕を組んでいたな? 何者だ?」


「ユリアナ様をお守りする役目を仰せつかっている者ですよ」


 思い出した。

 そうイースラは思った。


「パートナーでもないのなら引っ込んでいてくれないか?」


「あなたもパートナーではないでしょう? ユリアナ様に婚約者はいらっしゃいません」


 冷静に、丁寧に、ユリアナにも迷惑にならないようにクラーボンに対応する。


「おい、その方から手を放せ!」


「仰せのままに」


 クラーボンの護衛が飛んでくる。

 イースラが大人しく手を放してやると、クラーボンがふらついて護衛が支える。


「この……!」


 言われたから放しただけなのに、クラーボンは怒りの表情を浮かべる。


「お前、何者なのか名乗れよ」


「俺はイースラです。ユリアナ様の護衛です」


「護衛? 護衛がこんなふうに出しゃばるのか!」


「婚約者でもない方が婚約者だと言って回り、ユリアナ様に手を出そうとするのなら守りますよ」


「なんだと! 僕は……」


「いいえ、違います」


 クラーボンはユリアナの婚約者ではない。

 しかし全く関係がないというわけでもないのだ。


 シーナクロデとの関係は今王同士の友好によって良好に保たれている。

 けれども今後どうなるかは分からないのが、隣国との関係というものだ。


 そして結びつきを強くするための一つの方法として、昔から用いられているものに婚姻がある。

 いわゆる政略結婚。


 婚姻を通じて家や国の繋がりを強化する。

 ユリアナにも政略結婚の話があった。


 その相手がシーナクロデのクラーボンだった。

 結局婚約は成立せず、政略結婚の話はそのまま流れてしまったと回帰前にユリアナからイースラは聞いていた。


「あなたはユリアナ様となんの関係もありません」


 そして、クラーボンは婚約の話が立ち消えた後もユリアナにつきまとっていた相手でもあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ