意外と需要あり2
「薪拾い、手伝いますよ」
「ああ、助かります。私たちはあちらに向かいましょうか」
イースラたちが手伝いを申し出るとミルデラは笑顔を浮かべた。
王位の争いとは面倒なものである。
ユリアナは比較的敵対視されていない立場にはあるものの、以前よりも少し警戒されてしまっていることは否めない。
たとえユリアナ自身が王座に興味ないと言ったところで、ごく身近な人以外はそれを信じてくれはしないだろう。
エティケントとビブローという強力なカードは持っていても、実質的なユリアナの勢力は強くない。
ユリアナの警護のために騎士や兵士がついている。
けれどもそれが信じられる人たちかはまた別問題なのだった。
そんな中でもイースラたちは確実にユリアナの味方をしてくれる存在となっている。
ミルデラとしても、いてくれるとありがたい存在であった。
「どれ、俺も行こう」
ブルームスもイースラたちと薪拾いに向かう。
ユリアナが馬車に残されている形になるけれども、そちらはエティケントが魔法で警戒してくれている。
万が一手を出そうとする奴がいれば、骨も残らず消し飛ばされることだろう。
「色々と仕事が舞い込んでいるようだな」
ブルームスは地面に落ちているものの中で時間が経って乾燥した枝を見極めて拾い上げる。
大隊長になって偉ぶるつもりはなくとも、若い人が率先して動くので枝拾いなんてやるのは久々だった。
「もうちょっと自由な時間も欲しいですけどね」
イースラも手慣れた様子で枝を拾う。
水分を含んだ生木は捨てて、ちゃんと乾いたものを選んでいるのでブルームスも感心している。
その点でサシャとクラインの見極めは甘い。
「意外と君たちに対する興味の声は多いのだ」
「そうなんですか?」
「名前まで知らなくとも、あの子供はいるかという問い合わせもある。特に女性なんかだと子供の君たちに依頼できるならということもあるようだな」
ブルームスのみならずゲウィルとしても意外だったのは、女性による依頼があることだった。
ゲウィル傭兵団にも女性の団員はいるものの、決して女性からの依頼や問い合わせが多くはない。
そもそも冒険者という人に対して、世間のイメージはあまりよくない。
モンスターを退治したりする戦うイメージが強く、英雄的なイメージもあれば荒いイメージも少なくないのである。
ゲウィル傭兵団は傭兵団なんてついているから、余計に女性からの支持は薄い。
しかし子供で実力があるなら安心だと女性からの問い合わせがあるのだった。
「ただ話を聞いて、上手く対応できそうなら他にも依頼を振っているがな。うちにも女性は意外といるから」
子供じゃなく、女性の冒険者でも対応できそうな話はそれとなく誘導したりしている。
おかげで女性の団員がこなす仕事が増えて、ゲウィル傭兵団もちょっとしたフィーバーになっていた。
「これからもお前たちに色々と依頼はあるかもしれないな」
ゲウィルとしてはあまりイースラたちを軽く依頼に出すつもりはない。
しかし、どうしてもゲウィル傭兵団が持つ傭兵という乱雑で男臭いイメージを払拭するのには、イースラたちがうってつけであることも否めなかった。
ユリアナの護衛もその一環である。
お姫様の護衛をしたという印象はやはり荒さからは遠いのだった。
「うちに吹いた新しい風……是非とも頑張ってくれ。困ったことがあったら俺を頼ってくれてもいいからな」
ブルームスはニッと笑う。
思いがけない需要をイースラたちは生み出していた。
「まあ、無理はするなよ」
「ええ、大変そうなら遠慮なく頼ります」
イースラとしても女性人気があるのは意外なことだった。
細々とした依頼を受けて貢献度稼ぎするつもりはないが、ギルドのためになってるのだとしたら良かったとは思う。
だからゲウィルなんかもイースラには強く出られないのだな、とようやく気づいたのだった。




