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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第四章

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裏で糸を引くもの1

「ふひぃ〜疲れたぁ……」


 攻略して、ボスを倒したら終わりというわけにもいかない。

 イースラはダンジョンが崩壊しないと知っているが、攻略したダンジョンの多くは消えてしまう。


 消えたダンジョンの中にいたどうなるか。

 それは誰にも分からない。


 なぜなら、消えたダンジョンの中にいて帰ってきた人などいないのだから。

 ダンジョンの中に閉じ込められて行方不明にならないように、攻略隊はさっさとダンジョンから脱出した。


 ボスを相手にしてイースラたちも疲れていたが、休まず移動せねばならなかった。

 ダンジョンから出てきた時にはもうヘトヘトだった。


「なぜあのような危ないことをしたのですか!」


 そしてダンジョンを脱出したイースラたちに待っていたのはお説教だった。

 ディルキンとバナーバーのお偉いさん二人は相当お怒りである。


「戦いたくて、戦ったんじゃないんですけど……」


「ん……まあ、それは…………」


 子供だけでボスに挑んだ。

 一歩間違えばただの自殺行為と相違ない。


 イースラたちの安全も預かる身であるし、怒るのも理解はできる。

 ただイースラには言い訳もある。


「どうしたらよかったんですか?」


 戦いたくはなかった。

 そう言われると弱い。


 なぜならイースラがトラップを発動させて、ダンジョンの中をぐちゃぐちゃにしたなんてことは誰も知らないから。

 背神者と戦っている時に起きた突発的な出来事のせいで、ボス部屋に行ってしまったので仕方なく戦うしかなかった。


 こう言い訳されるとどうしようもないのだ。

 なんでボスと戦うのに備えていたんだ、なんて疑問は色々あったせいで忘れられている。


「ううむ……」


 バナーバーもイースラの反論に返せなくて渋い顔をする。

 状況的には確かに仕方なかった。


 危ない真似をせざるを得なかったのだし、結果的に無事だったので怒るに怒れない。


「……バナーバー卿、やめましょう。彼らに功あれど、否はありません」


 ディルキンも小さくため息を漏らした。

 イースラたちは背神者を看破し、加えて正体を炙り出す方法まで教えてくれて、その上ボスを倒してダンジョンを攻略した。


 ボスと戦う危険行為も責められるものでない以上、説教するのは筋違いになってしまう。


「……そうですね。いえ、申し訳ありませんでした」


「大丈夫ですよ」


 なんにしてもボスを攻略して功績を横取りしたからとかではなく、危ないことをしたからバナーバーも怒っていた。

 諭されて不可抗力なら仕方なく、怒るべきことではなかったと反省する。


「ひとまず大神殿からも避難しましょう。ダンジョンが無くなったらどうなるのか分からないですからね」


 ダンジョンからは出てきた。

 しかしまだ油断はできない。


 ダンジョンが無くなった影響が、ダンジョンの上に立つ大神殿に及ぶ可能性もある。

 もしかしたらダンジョンが大きく崩壊して、大神殿が崩れることも考えられるのだ。


「まぁた、移動か〜」


 イースラたちはさらに大神殿からも脱出して、近くに設けられた仮のキャンプまで移動を始めた。

 移動の列の中には囚われた背神者の連中もいる。


「ねえ」


「なんだ?」


「あのボスとか……なんだったの?」


 サシャはボス戦を振り返って不思議な戦いだったと思う。

 ボスが人間っぽい理性を取り戻したこともそうだし、突然魔物がボスを攻撃し始めたこともよく考えればおかしい。


「細かいことは分からないけど……たぶん、あのボスは元々人間だったんだ」


「人間が……魔物に?」


「強い力を持つ魔法使い……おそらく死霊術なんかを使える人だったんだろう。だけどその力のせいで周りの人ごと滅びることになる」


 リッチという魔物がいる。

 これは人が強い力を持つ魔法使いが人の身を捨てて力や不死を求めた結果の成れの果てで、人ではなく魔物として扱われる。


 強い力を持つ存在というのは一歩間違えると、魔の存在になってしまうことがあるのだ。


「あのボスは子供もいる母親だったけど、何かが敵となり、そして全てを失って魔物になってしまったんだろうな」


「……そんなことが、あるの?」


「この世界は不思議だ。なんでも起こりうる」


「んじゃさ、あのおばさん……ボスを攻撃したスケルトンは?」


 ボスが元々人だったということは、ひとまず理解した。

 しかしボスを攻撃する魔物がいたのはなんだったのか。


「なんだっけ……なんか名前っぽいので呼ばれてたよな?」


「リオル・エンドブライン……だったっけ?」


 その名前を聞いてからイースラの様子がおかしくなったことも、サシャとクラインは分かっている。

 今も少しピリついた感じがある。


「未来を夢で見た……そう言ったな?」


「ああ……覚えてるよ」


「まさか、未来で聞いた名前?」


「そうだ。リオル・エンドブラインは最悪の悪魔だよ」


「何をしたの?」


 イースラは回帰前のことを思い出す。

 リオル・エンドブラインの名前は世界の終わりが近づくと何度も名前を聞くことになる。


 しかし直接戦ったことはない。


「なんていうのかな……詐欺師、愉快犯みたいなもんだ。色々な人を騙して争わせたり、破滅させたりして世界を荒らして楽しむんだ。すごく厄介な存在」


 リオル・エンドブラインのせいで仲間同士で不和を起こしたり、闇落ちした人もいる。


「じゃあ……あのボスも?」


「たぶんな」


 ボスからリオル・エンドブラインの名前が飛び出した。

 このことの意味は、リオル・エンドブラインがボスの身に起きたことに関わっているということだろう。

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