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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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個人指名依頼1

「お前がここに来てから一年になるな」


 イースラはゲウィルのところに呼び出されていた。

 上を見ることも大事だけど、足元を固めることもまた大事である。


 ゲウィル傭兵団として所属している以上、好き勝手もできない。

 ある程度動くためにも信頼を得る必要がある。


 ゲウィルはイースラの能力を買ってくれているが、突如として現れたイースラに対して不満を抱えているものも多い。

 ウライノスとギリウラが薬の素材を求めて出発してから、イースラは静かに活動していた。


 体を鍛え、ゲウィル傭兵団の仕事をこなしながら日々の訓練も真面目に取り組み、料理の配信も続けていた。

 ゲウィル傭兵団の中での信頼を固めながら、配信もじわじわと視聴者を増やしている。


 そうしておよそ一年が経った。


「こうして改めて見ると……少し身長が伸びたな」


「おかげさまでいいもの食べてますからね」


 貧相だったイースラもゲウィル傭兵団に来てまともにお金を得られるようになって、体格的に改善されてきていた。

 年齢よりも小さい体格をしていたのだけど、ちゃんとした食事をとって体を鍛えていたらグッと身長も伸び始めている。


 回帰前はユリアナとあまり変わらないぐらいの背丈だったことがコンプレックスでもあったが、今回はちょっと期待できそうだと思っていた。


「一緒に入った二人も一級……実力は申し分ないからあとは実績だけだな」


 サシャとクラインも頑張っている。

 ウライノスから許可をもらっていたので、蒼天剣はイースラが教えていた。


 二人の努力も認められて一級隊員となった。

 オーラを使えて、蒼天剣まで学んでいるのだから上級への昇格も目前というところですらある。


「依頼任せてくれたら実績もすぐ積めますよ。それにしても今日は何の用ですか?」


「お前の実力も、そして努力もまた周りの知るところとなっている。もはやお前に文句を言うような奴はいないのではないか?」


「だいぶ認めてもらった感じはします。でも逆に牽制されるようにはなりましたね」


 仲間であるが、同時にライバルでもある。

 認められて昇格することを目標にしている人もいるので、力が認められてくるとイースラを競争の相手として見てくる奴も出てきていた。


 力を認められなくて邪魔者扱いされていた時より楽にはなったが、昇格を目指す連中はイースラを敵対視している。


「ふん、それはしょうがない。認められたということだからな」


「人を牽制している暇があるのなら自己研鑽でもすればいいんですけどね」


 座るゲウィルの後ろに立っているサルドゥーラがため息をつく。

 やや警戒していたようなサルドゥーラも、一年のコツコツとした努力でいくらか柔らかい態度になった。


「仕事やうちにもだいぶ慣れたろう?」


「大変ですけど、それなりに」


「実はな、お前を指名した依頼……というものがいくつも来ているのだ」


「俺を指名した依頼?」


 イースラは不思議そうな顔をする。


「個人を指名してくる依頼は数は多くないが、珍しいというものでもない。知り合いや確実な実力者が欲しい時、あるいは特定の条件なんかから最初から団員を指名することがある」


 冒険者のギルドとしてやることは何もゲートに赴くことだけではない。

 他にも色々と仕事はあるし、ギルドに対して依頼があることもある。


 ギルドへ依頼が来ることもあれば、ギルドを通じて個人に依頼をすることもあるのだ。


「実はもっと前からお前を指名した依頼は時々きていた」


「あっ、そうなんですか?」


 それは初耳であるとイースラは驚く。


「お前は目立っていたからな。ただまだ経験の浅いお前を出すわけにはいかなかったので、俺の方でストップをかけていた」


 個人を指名しての依頼になるので、当然指名された側に入るお金もちょっと良かったりする。

 実績にもなるが、足場を固めようとするイースラにとって個人指名の依頼を受けることは周りの嫉妬を買いかねない。


 失敗すれば指名された人の責任は大きくもなってしまう。

 だからこれまでは上の判断としてイースラへの個人指名依頼は引き受けてこなかった。


「だがそろそろいいだろう。お前も自分で判断できるだろう」


 ゲウィルは紙の束を取り出してイースラの前に置いた。


「まさかこれって……」


「お前に来ている個人指名依頼だ」


 想像のはるか上をいく量がある。

 イースラは思わず苦笑いを浮かべてしまう。


「半分ぐらいはお見合いみたいなものですよ」


「えっ?」


「オーラを使える若い才能……どこの貴族でも欲しいものでしょう。依頼にかこつけた令嬢との顔合わせ……なんてものもたくさんあります」


「何かトラブルになれば守ってやるが、あとは自分で必要なものを判断しろ。断りたいやつはこっちでやるから。受けたい見合いがあれば受けてもいいぞ」


 ゲウィルはニヤニヤとした顔をする。

 依頼の体を装ってイースラに会おうなんて話もいくらか混ざっている。


 オーラユーザーであるイースラを取り込もうとしている人や、娘に会わせて結婚を目論んでいる人もいるだろう。


「お見合いなんて受けませんよ?」


「まあお前にはサシャさんや…………ユリアナ様もいらっしゃるからな」


「……全部断ってもいいですか?」


「お前がそう判断するならそれでもいい。ただどんなものがあるのか一読はしておけ」


 イースラは依頼の内容が書かれた紙の束を押し付けられた。

 今だってあまり時間の余裕はないのに、とため息を漏らしてしまう。

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