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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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個人指名依頼2

「失礼しましたぁ」


「あれ? イースラ?」


「おお、サシャ」


 イースラが紙の束を抱えてゲウィルの執務室を出ると、ちょうどそこにサシャが通りかかった。


「なんか悪いことでもしたの?」


 サシャはチラリとイースラが出てきた部屋を見る。

 そこがゲウィルの執務室なことは、もう一年も傭兵団にいるので分かっていた。


 ゲウィルの執務室に呼ばれるような理由なんてまずない。

 それこそ怒られる時ぐらいのものだった。


「ああ、俺が優秀すぎてな」


「何それ〜」


 サシャもイースラが怒られるようなことをしていないのは分かっている。

 ウライノスから許可をもらって、蒼天剣はイースラがサシャとクラインに教えていた。


 料理の配信もするし、忙しい中でも一緒にいる時間は長い。


「それ何?」


「俺を指名してきた仕事の依頼らしい」


「へぇ」


「半分お見合いみたいなもんらしいけどな」


「……お見合い?」


 ピクッとサシャが反応を見せ、細い目をして紙の束を睨む。


「……心配しなくても、そんなの引き受けるつもりはないよ」


 イースラは思わず笑ってしまう。

 ゲウィルだってイースラがそんなものに手を出すとは思っていないはずだ。


 ただ一応仕事の依頼という形は取っているので、目を通しておけという話である。


「今回はお前を幸せにするっての嘘じゃないさ」


「にゃ……ん、ならいいけど」


 イースラはなんてことはないような笑顔でいったが、サシャからすれば予想外の飛び火のようなものだった。

 ボッと一瞬でサシャの顔は赤くなり、恥ずかしさに顔を逸らす。


「これからチェックして、お見合いさせそうなものは除外、まともそうな仕事なら内容細かく確認して受けるかどうか検討するんだ」


「大変そうだね。手伝う? 余計なの全部省いてあげるよ」


「じゃあ手伝ってもらおうかな」


 なんだかちょっとサシャの目が怖いなとイースラは思った。

 ここは素直に手伝ってもらってさっさとお見合い話だけでも避けておこうと思った。


「いいよねー、個室」


 イースラとサシャは部屋に入る。

 上級以上になるとギルドに個室が与えられる。


 外に家はあるが、撮影用に借りたものであった。

 それに今はリフェンが住んでいる。


 上級から下の隊員たちは何人かで使う共同部屋なので、個人で部屋があるのは羨ましいとサシャは思っていた。

 上級よりもっと上になると個人で家を持っていたり、ギルドの部屋よりもいい宿に泊まっていたりなんてこともある。


 ギルドの部屋ならタダで使えるからいいけれど、そのうちどこかいいキッチンのある家は欲しいかもしれないとはイースラも考えていた。


「ここで寝泊まりするか?」


「えっ!? ……いや、でも、うーん、私たち年頃の男女だし? 嫌とかじゃないけど……」


 イースラの誘いにサシャはまたしても顔を赤くして慌てる。

 ちょっとだけ、いいかもしれないと思ったけど、想像したらやっぱり気恥ずかしさとかそんなものが込み上げできた。


 一年前にはスダッティランギルドで同じ部屋に寝ていただろうとイースラは軽く考えているのだけど、二人だって一年でそれなりに成長している。

 女性の先輩たちからなんと言われるか分からない。


「そういうのは……もうちょっと大人になってから、かな?」


「まあ、無理に誘うことはないけど、何かあったらいつでも来いよ」


「うん、ありがと」


 イースラのこういうところはサシャも好きだ。

 ただ他の女性隊員にもイースラは優しすぎるようなところがある。


 自分だけにしろ、とは言わない。

 しかし他の子に勘違いさせるのは気をつけてほしいとも同時に思うのだった。


「しっかし意外とあるもんだな」


 部屋に元々置いてあったテーブルの上に紙の束を置く。

 まだ何も確認はしていないが、とにかく量はある。


「……これダメ」


 一番上の依頼を手に取って眺めはサシャは少し不機嫌になった。


「なんだ? ……娘の護衛依頼。十日ほど、別荘に行くのに」


 イースラがなんでダメなのか内容を見てみると、確かにダメ依頼だった。

 護衛の依頼というものはギルドにもよく来るものだ。


 金持ちなら個人で護衛を持っているが、必要のない時にまでずっと護衛を雇い続けているのは結構費用がかかる。

 必要な時にだけギルドに依頼して護衛してもらうことは、一般的なことだった。


 別荘に行くのに護衛をしてほしい。

 一見内容としてはよくあるものだろう。


 しかし護衛の対象は依頼者の娘。

 加えて別荘にいる間も護衛をしてほしいというものだ。


「明らかにお見合い目的でしょ!」


「そうだな」


 こうした依頼もある。

 ただこの依頼において、イースラを指名する必要性というものがない。


 なぜイースラを指名するのか。

 それは娘と引き合わせたいという意図が透けて見えている。


 依頼の内容に娘の容姿であるとか、どんな家柄なのかとか必要もない説明が書かれていることを見ればもうお見合い目的なことは確定と言っていい。


「これも……これも……むぅっ!」


「そう怒るなよ……」


 どうしてこんなに紙が束になっているのか。

 それはお見合い依頼が原因だった。


 どんな子であるのかと説明が長々書いてあったり、中には肖像画付きのものまである。

 こんなことしているから自然と依頼が書かれた紙も増えてしまっていたのだ。

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