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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
最終章

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87/88

87 誤算

 ラウル皇子の救出に出発する。

 今回、同行するのはスピラだけだ。というのも、激しい戦闘は考えていないからだ。情報によると、ラウル皇子は帝都直近の砦で籠城をしているとのことで、ササッと空中から砦に入り、ラウル皇子とその取り巻きたちをデミドラに乗せて帰還する予定だ。一応、連絡係としてスピラにお願いしたけど、大したことのない任務だ。


 出撃の前にスピラが言う。


「ラウル皇子が素直に従うとは思えないんだよね」

「私もそう思うわ。だから、これを用意したのよ」


 私が用意したのは、パウル皇子からの書状だ。

 それはただの書状ではない。皇帝代理としての書状だ。つまり、皇帝の命令が絶対の帝国においては、これに従わない者は反逆罪に問われ、最悪は死罪になる可能性もある。

 因みに帝国の手続きは詳しくないが皇帝の血を引く者であれば、非常事態においては一定の有力貴族の承認で皇帝代理になれるらしく、大急ぎでパウル皇子は皇帝代理になったのだった。


「それでもゴネるでしょうね」

「そうなったら、そうなった時よ。パウル皇子から、その時は見捨てて、この書状に従う者のみ救出するように言われているしね」


 この書状に従わなかった場合、ラウル皇子は戦死するだろう。



 拠点の町を出て、2時間程でラウル皇子が籠城している砦に到着した。

 四方をアンデッドに囲まれ、今にも落ちそうな状況だった。私はデミドラの背中に設置してある魔道砲を眼下のアンデッドに向けて発射した。

 見たこともないアンデッドも多数いたが、魔道砲の前には無力だった。


 私たちが砦に降り立つと、大歓声で迎えられた。

 取り巻きたちを引き連れて、ラウル皇子がやってくる。


「ご苦労であった、竜騎士殿。それではすぐに帝都を目指そう」

「お待ちください。パウル皇子から書状が届いております。まずはご確認を」

「兄上から?うむ、確認しよう」


 ラウル皇子の表情が一変する。


「ふざけるな!!」

「私たちは皇帝代理の使者です。すぐに書状に従って、退避準備をしてください。この人数であれば、デミドラで全員が退避できます」


 一緒に確認していた取り巻きたちが進言する。


「殿下、退避致しましょう」

「そうです。一旦引きましょう」

「引いた後に体制を立て直せばよいのです」


「黙れ!!この作戦で戦死した者に顔向けができんだろうが!!」


 貴方の所為で戦死したんでしょ!!


 そう言いたかったが、言葉を飲み込んで冷静に言った。


「ここにいる皆さんに勧告します。皇帝代理であるパウル皇子からの命令です。すぐに退避準備に移ってください。そうしなければ反逆罪に問われますよ」


 これには多くの貴族たちが従った。

 貴族たちの多くが打算や家の関係で従っていた者たちが多かったからだ。ただ、ラウル皇子とその取り巻きは、命令に従わなかった。


「どうしてもと言うのなら、ここに残って戦うことは止めません。しかし、これ以上の援助は致しません」


 ラウル皇子が考え込む。

 ここに残れば、戦力の大半がいなくなるのだから、間違いなく戦死だ。かといって、この命令に従った時点で、皇帝になる道は閉ざされる。私なら、皇帝の椅子よりも命が大事だから、命令に従うけどね。


 そんな時、急にスピラが焦った様子で飛んできた。


「大変よ!!空中に風竜のスカルドラゴンが多数、陸上にも暴竜のスカルドラゴンが多数、こちらに向かっているわ」

「スカルドラゴン!?何て卑劣な・・・」

「ええ・・・多分、ドラゴンの墓からアンデッドを作り出したんでしょうね・・・」


 竜王国だけでなく、各国にドラゴンの墓がある。もちろん帝国にも・・・

 ドラゴンは長命でお墓には、かなりのこだわりを持っている。一説によると、100年以上かけてお墓を探すドラゴンもいるそうだ。そういえば、マレドーラもお墓を探していたけどね。

 でも、大体は先祖や両親、番が眠っているお墓に埋葬されることを好む。


 なので、お墓からドラゴンの骨を持ちだすなんて、傲慢な帝国でも考えもしない。

 そんなことをすれば、国を滅ぼされるかもしれないからだ。帝国を含め、多くの国ではドラゴンの墓は立入禁止で、厳重に警備されている。


「これは大変なことだわ・・・すぐに報告しないと」

「そうね。でもこの人たちはどうするの?私としては、放っておいてもいいけど・・・」


 私は少し考えた。

 この砦には馬鹿貴族だけでなく、命からがら逃げてきた一般市民も大勢いる。その人たちを見殺しにはできない。


「スピラ、全速力で報告に戻りなさい。そして、当然本国にも報告を頼むわね」

「それはいいけど、流石にこの数じゃ・・・カトリーヌさんとデミドラでも・・・」

「大丈夫よ。私に任せて」


 少し時間をおいて、スピラが敬礼した。


「カトリーヌ隊長!!ご武運を」

「ありがとう。また後でね」


 スピラを乗せたゲイルが颯爽と飛び立っていく。


「デミドラ・・・」

『分かっているわ。任せなさい』

「苦労をかけるわね」

『こんな卑劣なことをした奴をボコボコにしてやるわ』


 私とデミドラはスカルドラゴンの群れに飛び立った。

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