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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
最終章

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86/88

86 帝都へ

 私たちはしっかりと足場を固めながら、帝都を目指した。

 これに併せて、周辺の町や村は領土奪還ではなく、一般市民の保護を最優先で行った。領地を放棄しなければならない貴族たちは大反対したけどね。


 だけど、それは仕方がないことだ。

 こちらの戦力は限られているし、奪還した後に町を防衛するにも戦力が必要だ。だから、見捨てなければならない土地もある。私たちも好きでそうしているわけではない。

 それでも、できる範囲で奪還できる町や村は奪還している。


 これらの作戦は兵站が生命線と言ってもいい。

 それを支えているのは、ケルやオルといった多頭種たちだ。彼らは総じて頭が良いし、各頭ごとに順番で睡眠を取ればいいから、実質24時間活動ができる。ケルも多少疲れるとは言っていたけど、デスクワークだし、今は非常事態だから、その辺の気遣いはいらないとのことだった。


 そんな中、問題が起きた。

 その原因となっているのは、少し前に奪還した町に隠れていたラウル皇子だ。パウル皇子の弟で以前のパウル皇子と同じように傲慢な印象を受ける青年だ。今のパウル皇子は、事情をよく理解しているので、そんな態度は取らないんだけどね。


 そのラウル皇子が勝手に兵を集め、帝都に向けて進軍を初めてしまった。

 パウル皇子やその側近たちも気づかないうちに進軍したようで、今も目の前でパウル皇子が私たち連合軍の関係者に平身低頭謝罪している。


「弟が申し訳ない・・・」


「ここまで好き勝手されては、こちらの立場がないぞ」

「そうです。それに勝手に兵糧を持って行ってしまって・・・」

「兵糧に余裕があるのではなく、計算し尽くされた計画の通りに運用しているからこそ、上手くいっているのです。それが分からないですか!?」


 そんなやり取りを横目にケルに尋ねる。


「ケル、大丈夫なの?」

「詳しく計算し直さなければ何とも言えませんが、進軍速度を落せば対応できるでしょう。それに帝都に向けて出撃してしまった者たちは、ハッキリ言って邪魔でしたからね。兵糧さえ持って行かなければ、戦死してくれたほうがいい」

「流石にそれは・・・」


 ケルの気持ちも分からなくはない。

 ラウル皇子やその取り巻きは典型的な帝国の皇族や貴族だった。自分たちは何もしないのに、軍議ではあれこれと要求するしね。

 それが元で私たち連合軍の中にも不満が噴出したことも、一度や二度ではない。助けなければよかったと言い出す者までいた。


 次の日、ケルとオルが徹夜で作業してくれた結果を軍議で発表した。


「・・・つまり、この町で更に3日滞在して、補給物資を集めます。帝都への進軍は遅れますが、それよりも安全が大事です。被害を最小限にすることを提案致します」


 私の提案は受け入れられた。

 連合軍としては、あくまでも自国に被害が出る可能性があるから参加しているわけで、危険を冒すよりも安全策を取るほうがいいに決まっている。


 グラース王子がまとめる。


「少し予定がズレたけど、新たな計画に沿って進めていこう。それでいいですね?パウル皇子?」

「もちろんだ。本当に申し訳ない」


 パウル皇子は出会った当初に比べて、かなり腰が低くなった。

 私たちにとってはいい変化だけど、帝国の貴族たちにとっては不満なようだ。帝国の皇族が他国の者に頭を下げ過ぎるというのがその理由だ。


 今回はそこを弟のラウル皇子に突かれた格好だ。

 ラウル皇子は皇帝の座を諦めておらず、ここで真っ先に帝都を奪還すれば、皇帝の座が転がり込んでくるという算段だ。


 これには連合軍の関係者も閉口している。

 多くの者が「帝都を奪還した後は、内戦になるかもしれない」との見方を示している。国境付近を接するナウール王国や協商連合としては、帝国で内戦が続けば自分たちのところに攻めてこないと考えられるが、難民が多く発生することを考えると、複雑な心境のようだ。



 ★★★


 それから10日、私たちは計画通りに進軍していたところ、急報が飛び込んできた。

 独断で出撃してしまったラウル皇子の配下の貴族が救援を求めてきた。


「帝都に近づくにつれて、急激にアンデッドどもが強くなった。スケルトンやグールなど比にならない強さなのだ。このままでは我らは全滅してまう。どうか援軍を送ってほしい」


 これには多くの者たちが不満を漏らした。

 私だってそう思う。

 そんな中、パウル皇子が言う。


「作戦を無視したのは、そちらのほうだ。それを今更助けてくれとは虫が良すぎる」

「パウル皇子!!そこを何とか・・・このままでは、ラウル皇子が・・・」

「我儘な弟のために多くの者、それも他国の者たちを危険に晒すことはできない」


 私が割って入る。

 いくらアンデッドが強くなったとはいえ、私たち竜騎士には勝てるはずがない。


「ラウル皇子を救出するだけなら、私たちで何とかなりますわ」

「すまないな、カトリーヌ嬢。頼めるなら頼みたい。決して無理をする必要はない。ラウルを救出できたのなら、ラウルには厳しい処分を下す。規律違反としてな」


 これで一応、議論には決着がついた。


 こうして私たちは、ラウル皇子の救出に向かうことになった。


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