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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
最終章

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84/88

84 交渉

 私は今、ナウール王国最南端のサイシレドスに来ている。

 表向きの理由は、私とエリザベート王女、グラース王子が発起人となり、竜騎士学校の同期会を開くためだ。スピラや他の同期生の他にも各国の要人が招かれている。


 世界規模の魔物襲撃事件が解決した直後に呑気なものだと思うかもしれないが、これには思惑がある。

 今回の同期会は、ただの同期会ではないと各国は気づいている。今後について、非公式で話し合うためだ。もちろん、原因となった帝国にも声を掛けている。当然、ただの同期会としてね。


 宰相閣下は、今回の事件はローゼマリアの独断でやったことで、帝国としては一切関知していないと主張すると予想している。すべての責任をローゼマリアに負わせるのだろうと。


「卑怯なやり口だが、条件次第でこちらも、その案に乗るつもりだ。納得は行かないだろうがな」


 帝国としては、絶対に非は認められない。

 だったら、少しでもこちらに有利な条件を引き出すことが重要だ。


 その帝国の代表者はキーグ島の視察にやってきた、あのパウル皇子だ。

 偉そうで、いけ好かない男だけど、こちらも最低限の挨拶はするつもりだ。わざわざ、こちらが失点する必要もないしね。


 主催者である私、エリザベート王女、グラース王子は各国の来賓を出迎える。

 ほとんどが協商連合の関係者で、誰もが私たちに友好的な態度を示した。来賓も思う所はあるだろうけど、それを私たちに言っても仕方がないと分かっているからね。

 それに帝国が一筋縄ではいかないと知っているから、ここは各国と足並みを揃えて対応することが国益になると十分に理解していることが大きい。


 粗方、来賓を出迎えた後で、グラース王子がつぶやく。


「帝国はどういった態度を取るだろうか・・・今までのように高圧的な態度だと・・・」


 エリザベート王女が答える。


「それなら、こちらから証拠を突き付けてやればいいのですわ。こちらは完全な被害者ですし、態度を改めないようなら、叩き潰すまでですわ」

「叩きのめすことに反対はしないけど、戦争になるとなると・・・」

「帝国も戦争は望んでいないでしょう。なので、下手に出る必要はありません。言うべきことを言うだけですわ」


 まあ、帝国の態度次第ということだ。



 ★★★


 それからしばらくして、帝国の馬車が到着した。

 帝国の皇族が乗る馬車とは思えないくらいボロボロだった。流石のグラース王子も顔をしかめる。


「どういうことだろうか?流石にこれは予想外だよ」

「そうですわね。こちらに頭を下げるにしても、馬車をボロボロにする理由が思いつきませんわ」


 私もそう思う。


 馬車が停車してすぐに、今回の来賓であるパウル皇子が慌てた様子で降りてきた。

 こちらも以前に会った時のような豪華な服ではなく、着の身着のままといった印象を受けた。


「グラース王子、エリザベート王女、カトリーヌ嬢。久しぶりだな・・・こんな姿を晒した我をどうか笑ってくれ。それで気が済むのなら、どうか我が帝国を助けてほしい」


 そう言うと、パウル皇子は土下座を始めた。

 いきなりのことで、私たちは呆気に取られた。


「パウル皇子。流石にここでそのようなことは、おやめください。別室に案内致します」


 落ち着きを取り戻したグラース王子はパウル皇子を別室に案内した。

 私も同席して、パウル皇子の話を聞くことになった。


「我が帝国は恥ずべきことに、禁忌とも言われるものに手を出してしまった。それはアンデッドの召喚だ・・・」


 アンデッドの召喚?


「帝国は世界一の国でなければならない・・・その思いが強くなりすぎた。魔物襲撃作戦も失敗に終わり、新たな作戦として、アンデッドを召喚して戦力に加えようと考えたのだ。今思えば、浅はかで恥知らずな行為だが・・・」


 パウル皇子の話をまとめると、召喚したアンデッドが暴走していまい、帝都を中心に大惨事になっているようだった。


「このままでは、帝国だけでなく、貴国らにも迷惑が掛かる。多くの都市がアンデッドに占拠され、溢れたアンデッドが帝国外に進出しようとしている。できれば一人でも多くの帝国民を助けたい。しかし、それ以上に他国に迷惑を掛けることは許されん。貴殿らは散々帝国が迷惑を掛けてきたと言うかもしれないがな・・・」


 グラース王子が言う。


「例えばですが、国境付近で守りを固めて、侵入してくるアンデッドを撃退するにとどめるのはどうでしょうか?戦術的に被害を最小限に抑えられると思いますが・・・」

「短期的にはそうだろう。しかし、長期的にはお勧めはできんな。アンデッドは放っておけば、どんどんと増える一方なのだ。できるなら、根源を絶つことが得策だ」


 アンデッドは現在、リッチという高位のアンデッドに率いられているという。

 エリザベート王女が言う。


「いずれにしても、私たちだけで判断できる案件ではないということです。カトリーヌさん、頼めるかしら?」

「分かっております。スピラ、報告に向かえる?」


「まあ、私たち以外いないしね。それはそうと、報告は竜王国だけでいいの?」


「そうね・・・竜王国の後に協商連合にも報告に行ける?」


「行くしかないでしょ?じゃあ、私はこれで」


 こうして私たちは、予期せぬ事態に巻き込まれてしまったのだった。

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