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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第三章 隊長編

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69 土木工事

 とうとうセイン川の迂回工事が始まった。

 リリ様を中心に森に住むエルフとの交渉がまとまったからだ。


「計画よりも少し遠まわりすることになったが、それくらいは勘弁せい」

「もちろんです。ありがとうございます」


 というのも、エルフたちの要望で乾燥地を経由してほしいとの要望を受けたからだ。

 乾燥地をセイン川が流れれば、農地として利用できるので、農作物が増産できるのだという。これには逆にナウール王国の関係者も協商連合の関係者も大喜びだった。

 グラース王子が説明をしてくれる。


「協商連合の中には、食料の大半を帝国の輸入に頼っている国もあるからね。そんな国は帝国に強く出られない。セイン川の工事が上手くいき、その流域で大量に農作物が増産できれば、帝国の横暴に従わなくてもいいからね」


 協商連合の関係者も続く。


「もちろん、ゴブリン自治区の協商連合への加入を承認します。そうなると、帝国に頼らずに食料が自給できますからね」


 つまり、遠回りすることが逆に良い結果になったというわけだ。



 ★★★


 工事の現場責任者は、覆面の竜騎士だ。

 自ら土魔法を使って工事をする傍ら、作業員たちの監督も行っている。ネルはというと、案外真面目に覆面の竜騎士の助手を務めていた。


『土魔法の練習にもなるし、早くゴブリンたちを助けたいからね』


 そんなネルを見ながら母親のシェディが念話を飛ばしてきた。


『本当にありがとう。あの子が人のために働くなんて信じられないわ。これだけでも貴方たちに預けてよかったと思うわ』


 ネルに必要なのは、闇竜としてのスキルよりも、こういった心構えだったようだ。


 他の隊員の話もしよう。

 私はというと、土魔法を使って工事の補助をする傍ら、大半は資材と人員の輸送任務に就いているし、スピラは相変わらず情報伝達のため、忙しく飛び回っている。

 工事には大量の水も必要なので、クレーテとカメールには定期的に現場に来てもらって、水魔法を使ってもらっている。

 リリ様とマレドーラはエルフやダークエルフ、それに移住を希望するゴブリンたちを集めて、今後の農地開発をメインに指導してもらっている。


 マライアはというと、基本的には別行動だ。

 商人や有力貴族の夜会に訪問して、工事の有用性を歌で説明し、出資を募っている。もうすでに結構な額が集まっているようだ。

 そして、暇な時は覆面の竜騎士にベッタリだ。今も覆面の竜騎士とそのパートーナーのクレイにウザがられながら、仕事ぶりをメモしていた。


「地味ですが、かなりの能力ですわ。これを伝えるのに最適な歌詞は・・・」


 覆面の竜騎士は迷惑がっていたが、マライアのお陰で多くの出資が集まったことは確かだ。

 それに覆面の竜騎士の歌は、特に職人の間で人気があるそうだ。過度に称賛を求めず、黙々と仕事をする姿勢が共感を生んだのではないかと言われている。



 ★★★


 工事開始から3ヶ月、頼もしい助っ人がやってきた。竜騎士学校の学生たちだ。

 工事の予定地には多くの魔物が発生している。その駆除を学生たちがメインで担ってくれることになった。

 引率のグラース王子が言う。


「ただ魔物を討伐するだけではなく、自分たちで兵站を整えて、討伐した魔物の素材を販売するまでが実習なんだ。前回の実習で彼らはそれができることを証明したからね」

「そうですわね。こちらが何か指示をしなくても、彼らだけでやってくれて、本当に助かっていますわ」

「それと、彼らを連れて来たのは他にも理由があるんだ」


 他の理由?


 それはすぐに分かることになった。

 今までは覆面の竜騎士の補助がメインだったブーナとネルだけど、学生たちと行動を共にすることになった。ブーナとネルはすぐに学生たちを打ち解け、楽しそうにしている。


「この実習は長期になるから、座学の時間も確保しているんだ。それでどうせならと思って、ブーナとネルも同じカリキュラムをこなしてもらうことにしたんだ。今のうちに色々な経験をしてもらえば、将来きっと役に立つと思ってね」


 今もブーナとネルは、どうやって魔物を狩るかということで、学生代表のセリーナと意見を交わしていた。


「隠蔽魔法はかなり使えるわね。ブーナとネルが物陰から不意打ちをして、パニックになった相手に風竜隊で総攻撃するのはどう?」

「いい考えゴブ。ネルはどう思うゴブ?」


『いいよ。隠れて待つのは得意だからね』


 自分たちの特徴を生かした作戦立案ができるようになって、頼もしく思う。

 そんな様子を女王陛下が見ていた。私は女王陛下に挨拶をする。


「闇竜は長らく他のドラゴンや竜騎士との交流を絶ってきた。ネルたちを見ておると、もう古いのかもしれんと思ってな。これからは竜種に関係なく、活動することも大事かもしれんな」

「そうかもしれませんわね。しかし、これまで闇竜とその竜騎士が陰で頑張ってきたからこそ、我が国は発展してきたのだと思いますわ」

「そう言ってもらえると我らも竜王国の闇竜乗りたちも報われるだろう。このことはまた、そちらの国王と話しておく」


 そう言うと女王陛下とそのパートナーのシェディは闇に紛れて消えてしまった。


 ここまで話してきたけど、工事もブーナとネルの指導も順調ということだ。

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