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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊


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6/10

6 訓練開始

 基礎実習が終わり、本格的に訓練が開始された。

 今回からカリキュラムは、実技が7割、座学が3割になり、徐々にドラゴンとの共同での実習も増えていくようだったが、今年から少しカリキュラムが変わったと通達があった。ドラゴンとの共同での実習は半年以上先になるとのことだった。理由としては、竜騎士とドラゴン双方の個人能力を高めるためとのことだ。


 このとき、私は事の重大さに気付いていなかった。それは相棒のデミドラにも言えることだったけど。


 まず竜騎士のカリキュラムだが、とにかく走らされた。なぜだか分からないけど、小さい頃から、私は長距離走が苦手だった。20メートルや30メートルであれば誰よりも速く走れるのだけど、それ以上の距離になると格段にスピードが落ちてしまう。それに一日に何本も走らされる。最初の訓練は昼食後だったので、恥ずかしいことに吐いてしまった。この訓練が始まるまでは、私のことを褒めちぎっていた教官が、激しく罵倒してくる。


「何をやっているんだ!!のろまなブタが!!お前はもう3周追加だ!!」


 そしてこの日から、私を罵倒したり、からかってくる学生が急に増えてきた。特に上級貴族の子弟が多い。平民のスピラたちが止めに入ってくれたのだが、逆に罵倒される。


「平民がしゃしゃり出てくるな!!」


 私は言う。


「スピラ、いいのよ。人には苦手なものが一つや二つあるものよ。それにもしかすると、私の美貌に嫉妬してるのかもしれないし・・・」


「カトリーヌさん・・・」


★★★


 更に苦難は続く。

 戦闘訓練では、私は全く勝てなかった。当然修業時代に戦闘訓練はかなりやった。冒険者ギルドが後悔しているB~Cランクの魔物であれば一撃で屠ることができるくらいの腕前にはなっている。私のスタイルは「暴虐のボーガード」という二つ名を持つお父様直伝の重戦士スタイルだ。常人では立つこともできないような重装備の鎧を纏い、特大の楯を持ち、攻撃を正面から受け止め、特大のハンマーで一撃で屠るのだ。逃げまどう相手には「疾風のアンネ」の二つ名を持つお母様直伝の「俊足」のスキルで一気に接近して、「シールドバッシュ」でダメージを与える。


 しかし模擬戦では全く通用しなかった。お父様やお母様の話では、私に模擬戦で勝てる学生はいないだろうという見方だったが、1勝すらできなかった。多分、ルールの所為だと思っている。模擬戦は相手と同種の木剣を使用して打ち合うのだけど、ポイント制だ。先に5ポイントを取ったら勝利となるルールなので、攻撃を正面から受け止める私のスタイルでは不利過ぎる。私が反撃に出ようと思ったところで、既に勝敗が決してしまうからだ。

 最近では、私を誰が一番早く倒せるかという賭けまで行われていると聞く。実際の戦闘であれば絶対に負けないような相手にも瞬殺されている自分が腹立たしくなる。


 弓術、水泳などは私に勝てる者はいなかったのだが、すぐにこれらの実習は減らされ、試験の科目にならないと教官から告げれた。この期で重視するのは模擬戦と長距離走ということを知らされて、私は絶望に打ちひしがれた。それに今期からは、総合点で優劣を判断するのではなく、欠点が一つでもあると大きな減点となる評価方法に変更されたので、このままいけば私は退校処分になるかもしれないのだ。


 一方、相棒のデミドラに目を向けると彼女も彼女で苦労しているようだった。

 とにかくスピードが求められるという。デミドラは力持ちでのんびりと長時間飛ぶことは苦もなくできるのだけど、如何せんスピ―ドが遅すぎる。デミドラ曰く、ダントツの最下位だそうだ。更にデミドラが大の苦手であるアクロバット飛行も大きな評価項目となっているそうだ。見た感じ、デミドラが素早く機敏な動きなんてできるはずがない。そして一番のネックは地上走だという。ドラゴンが地上を走るだけなのだけど、体型的にデミドラが得意なはずはない。最下位どころか、完走もできないようだ。


 学校が終わり、デミドラと二人で話し合った。


「どう考えてもおかしいわ。まるで私たちを貶めようとしているみたい・・・」


『私もそう思うわ。地竜でもないドラゴンに陸上を走り回らせて何になるの?それと飛行速度が大事なのは分かるけど、すべてのドラゴンが必要なわけはないしね』


「それはそう思う。それにアクロバット飛行なんて式典以外ですることはないしね」


『ちょっと抗議したほうがいいんじゃないの?』


 私は少し考える。そしてこのような結論に至った。


「多分これは試練よ。神様が、美少女で何でも上手くいく私たちのプライドをへし折ろうとしているのよ。神様は乗り越えられない試練は与えないって言うしね」


『カトリーヌがそう言うのならそうかもね。だったらしばらくは我慢するわ』


「そうだ!!今日はお茶会を企画しているんだった。グラース王子が来るからこの前の休みに狩ったホーンシャークの丸焼きを用意しているのよ。デミドラたちドラゴンの分もあるからね」


『やったあ!!早く行きましょうよ』



 ★★★


 お茶会の会場に着くと予定の人数よりもかなり少なかった。20名を予定していたのに8名しかいなかったが、スピラとグラース王子は参加してくれていた。

 スピラが心配して話し掛けてくる。


「実は貴族の学生から絶対にカトリーヌさんに関わるなと脅されてしまって・・・それで参加者が減ってしまったの。あんなによくしてくれたカトリーヌさんを裏切るのかって抗議したんだけど、実家の関係で弱みを握られている者も多くて・・・それで・・・ごめんなさい・・・」


 これも試練だわ!!このまま順調に学校生活が終わってしまったら試練にならないからね。


「大丈夫よ、スピラ!!人数が減れば、それだけいっぱい食べられるんだから!!それに今日はドラゴン用にいっぱい用意したからドラゴンたちもしっかり食べてよね!!」


「「「キュー!!!」」」


 ドラゴンたちから歓声が上がる。

 そんなときグラース王子から声を掛けられる。


「カトリーヌさん、貴方は面白い人だ。是非我が国に来てもらいたいものだ」


 これってまさか求婚?でも、お父様やお母様は一流の竜騎士じゃないと認めてくれないし、私が他国に嫁ぐなんて、絶対に許してくれないだろう。これは小説で読んだ悲劇の恋かしら・・・


 そう思ったが、無難に受け答えをする。


「高く評価してくださり、ありがとうございます。そんなことよりも料理の味はどうですか?」


「祖国でも、ここまで美味しいホーンシャークはなかなか食べられないからね。本当にいつもありがとう」


 ステキな笑顔だった。


 まあ、どうしても私とお付き合いしたいのなら、お父様やお母様の壁を乗り越えてみるくらいの気概が必要だけどね・・・

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