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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第三章 隊長編

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57 学生の指導 3

 ~セリーナ・ウインドミッド視点~


 不思議なもので、5日も経つと慣れてきた。

 他の同期生は未だに苦しんでいる者もいるけど、私とウィルはそれなりに任務をこなすことができていた。ウィルも自信を取り戻している。


『まだまだ若い者には負けられん。それにしても、若いドラゴンどもは情けない。儂が若い頃は・・・』


 少し前まで、落ち込んでいたのにね・・・

 この辺はやっぱり年寄り臭い。


 それと、スピラ副隊長やそのパートナーのゲイルがなぜ、あそこまでの実力を身につけたのかも分かってきた。

 彼女たちは、日中に散々高速で飛び回っているにも関わらず、早朝と任務終了後に訓練をしている。公演で忙しいはずの歌姫マライアも、ほぼ毎日訓練をしている。その努力が彼女たちの血肉になったのだと思う。


 これにはウィルも感銘を受けていた。


『儂は知らず知らずの内に慢心し、努力することの大切さを忘れておった。儂も若い者には負けられん。もう一花咲かせてやるわ』

『無理しないでよ。年寄りの冷や水にならないようにね』

『大丈夫だ。ちょっとあの者たちに指導してやる』


 そう言うと、ウィルはスピラ副隊長とゲイルに風魔法の指導を始めてしまった。


『もっと集中するのだ!!風を感じろ』


「はい」

「キュー!!」


 スピラ隊長たちは、お世辞にも風魔法は上手くない。初級のウィンドバレットでさえ、碌に使えない。

 それでも一生懸命に訓練をしていた。訓練終了後、スピラ副隊長からお礼を言われた。


「私たちはスピード以外はポンコツだからね。それに風魔法なんて教えてもらったことないし、ウィルには助かっているわ」

「いえいえ・・・ウィルの趣味みたいなものですから。それにしても、スピラ副隊長はなぜ、そこまで頑張っておられるのでしょうか?」

「それには理由があるのよ・・・言えないけど・・・」


 彼女の必死さを考えると、相当深い理由があるに違いない。ただ、これ以上聞くのは流石に失礼だと思い、会話を打ち切った。



 ★★★


 実習10日目、私たちはキーグ島に集められた。スピラ副隊長から本日の任務について指示があった。


「今日、最南端の都市サイシレドスで近隣の王族や豪商たちを集めてのパーティーがあります。そのメイン料理として生のシーサーペント料理を考えています。それを私たちが空輸するのです。鮮度が大事ですから、休憩なしで一気に飛びます。まあ、3時間もあれば余裕で着きますからね」


 学生が静まり返った。

 キーグ島、サイシレドス間を3時間で!!流石に厳しすぎる。それに一人一匹ずつシーサーペントを搬送するなんて、過酷すぎる・・・


 そんな私たちを無視し、スピラ副隊長は続ける。


「絶対に今日は遅れたら駄目です。主催者のサンドラ王女の顔をつぶすことになりますからね」


 責任重大ということだ。

 同期生の一人が言う。


「大丈夫、頑張ろう。俺たちはここまで厳しい訓練に耐えてきたんだ。絶対にできる!!」

「そうだ!!絶対に完遂させてやる」


『ほう・・・若い者も逞しくなったのものだな』


 ウィルも褒めている。

 そんな時、スピラ副隊長のつぶやきが聞こえてきた。


「訓練?した覚えはないんだけど・・・手紙を運んでるだけだし・・・」


 スピラ副隊長にとっては、日中の任務は訓練にもならないということだろう。


 ★★★


 トラブルが起きた。

 予定の時間になっても、未だにシーサーペントは到着しない。時間だけは刻一刻と過ぎていく。流石のスピラ副隊長も焦り始める。


「どうなってるのよ、クレーテ・・・これじゃあ、間に合わないじゃない」


 しばらくして、大幅に遅れて水竜たちがやってきた。

 指導員のクレーテという魚人族の女性が平謝りをする。


「申し訳ありませんだ!!ホーンシャークの群れに襲われていた商船を助けていたら、遅れてしまったですだ・・・」

「まあ、人命優先だから仕方ないわね。でも時間がないから、早く積み込みを手伝って」

「分かりましただ。それとホーンシャークの卵が採れましただ。きっとサンドラ王女も喜んでくれますだ」

「ありがとう。もし遅れたら、これで許してもらうわね」


 スピラ副隊長が私たちに向き直って言った。


「時間がないから、2時間でサイシレドスまで行くわよ!!死んでも遅れないで!!」

「「「はい!!」」」


 そこからは地獄だった。精魂尽き果てるとは、まさにこのことだった。

 いつも以上にスピラ副隊長とゲイルはぶっ飛ばしていた。今までは、スピラ副隊長なりに私たちに合わせて飛んでくれていたのだろう。


 途中、脱落しそうになる同期生に実家から持って来た魔力回復ポーションを配って周り、鼓舞する。


「みんな頑張るわよ!!風竜乗りの意地を見せなさい!!」


 そういう私も、もうギリギリだった。これは自分に対する喝でもあった。


 そしてとうとう、目的地のサイシレドスに到着した。ギリギリ間に合ったようだ。

 出迎えはサンドラ王女が直々に来てくれた。


「凄いわね。私が学生の時なら、絶対こんなことはできなかったわよ」


 そして、パーティーに私たちも参加するように言われた。

 サンドラ王女が参加者に私たちを紹介してくれた。


「今回のメイン料理であるシーサーペントとホーンシャークの卵を食べられるのも、彼らのお陰です。頑張った学生たちに拍手を!!」


 大きな拍手に包まれた。竜騎士になって初めて、多くの人に感謝され、称賛された体験だった。

 同期生たちも嬉しそうにしている。もちろん、私だって・・・

 つまり、これが私たち竜騎士に求められていることなのだろう。


 パーティーの後、スピラ副隊長に集められ、訓示を受ける。


「私たちは、ただ荷物や手紙を運んでいるだけです。しかし、多くの人たちに幸せを同時に運んでいることを忘れないでください」


 感銘を受けた。

 ウィルもね・・・


『儂も若い頃を思い出した。セリーナよ、共に頑張るぞ』

『もちろんよ』


 この実習は本当に有意義な実習だ。

 残りの実習も頑張ろう。

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