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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第三章 隊長編

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43 監査 2

 グラース王子が話し始める。


「竜王国国王陛下の訪問に合わせて、帝国からも来賓を招くことになってしまった・・・」


 帝国というのはモダリア帝国のことで、かなりの侵略国家だ。ナウール王国も度々侵略の危機に晒されてきた歴史がある。


「帝国とも表向きは友好関係を築いていることにはなっている。でも複雑な事情を抱えていて・・・」


 表立った軍事行動は起こしていないものの、未だにモダリア帝国はあの手この手でナウール王国を侵略しようと試みているという。


「国王陛下の訪問を機に竜王国との関係が良いことをアピールするとともに、ナウール王国の軍事力も高いことを示したいんだ」

「分かりました。具体的にはどうすればいいでしょうか?」

「まずは歓迎式典で、ナウール王国も竜王国も文化レベルが高いことをアピールしたい。竜王国の竜騎士の精強さは有名だけど、帝国は竜王国のことを文化的に野蛮だと各国に吹聴している」


 これにはルシル副官が口を挟む。


「グラース王子、我が竜王国は野蛮な国ではない。文化レベルも高いと自負している」

「そのとおりです、ルシル副官。ですので、帝国の来賓にも、そのことを知らしめようと思っています。そのためには、まずは歓迎式典を成功させなければなりません。今考えているのは、料理とマライア嬢の歌でのおもてなしです。カトリーヌ嬢はどう思う?」


 少し考えて発言する。


「いい案だと思います。これなら竜王国とナウール王国との友好関係を示すことができますわ。しかし、料理につきましてはスタッフが足りません。実家の料理長やスタッフがいれば何とかなるかもしれませんが・・・」


 ナウール王国の料理人のレベルも低くはない。

 しかし、実家の料理長に比べれば見劣りする。それなら私やメイドのマリアが指導すればいいと思うかもしれないけど、歓迎式典では私は部隊長として出席しなければならないので、それは無理だ。


「分かった。君の実家のハワード家にお願いしてみるよ。続いて、こちらの軍事力を示す話だけど、これについても一つお願いがある。エルフ族を活躍させる方向で頼む」

「それはどういった意図があるのでしょうか?」


「それについては私が話そう」


 そう言ったのは、ここまでずっと黙って、お菓子を食べていたリリ様だった。


「エルフもナウール王国軍に加わることになった。ナウール王国は我らエルフに部隊の指揮権と編成権を与えてくれた。しかし、長くは生きているが軍に加わった新参者の我らに反発する者も多い。だから、そのような声を封じるため、エルフの力を示す方法を考えてくれ。協力はする。というか、私も直轄特務隊の顧問だからな」


 難しい問題だ。

 バラック教官に聞いたところ、一般的な監査は訓練を見せたり、実際に魔物を討伐することがほとんどだという。


「訓練を見せても仕方がないと思いますから、魔物討伐でしょうね。しかし、そんな打って付けの魔物がいるでしょうか・・・」


 バラック教官が言う。


「討伐する魔物を見つけるのも隊長の力量だぞ」

「分かりました」

「2週間後に中間報告を聞きに来るから、それまでにある程度計画を立てておいてくれ」

「はい・・・」



 話し合いの後、早速部隊内で会議を行うことになった。

 クレーテとマライアを呼び出し、現状を伝える。


「・・・ということだから、貴方たちも意見があれば言ってね」


 すぐに口を開いたのはマライアだった。


「私に考えがございますわ。というのも、獣人歌劇団を正式にお披露目しようと考えていましたのよ。歓迎式典でお披露目できれば、大きな宣伝になりますわ」


 マライアが言うには、マライアなしでも公演ができるように孤児院の獣人の子たちで、練習を重ねてきたらしく、プロのマライアが見ても十分な実力があるそうだ。


「プログラムもお任せください。まずは私のソロから始まり、獣人歌劇団の歌劇、そして最後は私たち直轄特務隊がトリを飾りましょう」

「えっ!?私たちも歌うの?」

「当然ですわ、スピラ副隊長」


 スピラとクレーテが呆気に取られている。


「その辺は追々話すとして、次の議題に移るわ。私たちとエルフの実力が示せるような魔物に心当たりはないかしら?」


 驚いたことに意見を言ったのは、クレーテだった。


「実は討伐を考えている魔物がいるですだ。それはシーサーペントですだ。普通のシーサーペントなら魚人族でも協力して戦えば何とかなるですだ。でも、群れの規模が大きすぎて、迂闊に手が出せませんですだ。オラとカメールだけでは少し、不安ですだ」


 シーサーペントは大型のウミヘビの魔物だ。

 クレーテとカメールでも苦労するほどの群れの規模らしい。デミドラが念話で話しかけてきた。


『私たちが本気を出せば、いくら数が多くても何とかなるわ。どうせなら、監査の時に討伐する魔物にすればいいのよ』

『それは駄目よ。私たち個人の戦闘力を見せるのが監査の目的ではないもの。部隊としての能力が試されるからね。それにエルフたちを活躍させないといけないしね』

『人間って面倒ね』


 でもデミドラの案は、いい案かもしれない。


「リリ様、エルフは何人くらい出せますでしょうか?」

「うむ・・・精鋭と呼べるのは100人程だな。しかし、洋上で船での活動となると、実力が出せんな。私のようにマレドーラがいないしな」

「そうですわね・・・あれ?」


 洋上じゃなければいいのであれば、やりようがある。


「名案が浮かびましたわ!!」


 得意気に思いついた作戦を話したら、みんなにため息をつかれた。


「止めはせんが・・・規格外すぎるな」

「カトリーヌさんとデミドラなら可能かもね」

「この作戦が成功すれば歌にできますわね」

「その作戦でシーサーペントの数を減らせば、後は魚人族とオラたちで何とかなりますだ」


「反対はないってことね。それじゃあ、当面は記念式典と監査を乗り切ることが任務とするわね」


 こうして、私たち直轄特務隊初となる隊としての任務に当たることになった。

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