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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第三章 隊長編

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42 監査

 直轄特務隊の隊長となって半年が過ぎた。

 問題児と思われていた学生二人も順調に任務をこなしている。クレーテはキーグ島で大活躍だし、マライアは任務に真面目に取り組むだけでなく、スピラと共に訓練に励んでいる。


 最近クレーテは、自分で魔物を狩るだけではなく、魚人族に魔物と遭遇した際の対処要領や戦闘力が高い者には討伐方法を教えている。これにはサンドラ王女からお褒めの言葉をいただいた。


「魚人族が自立できるように指導してくれて、本当に有難いわ。クレーテをキーグ島に連れていって、本当によかったわ」

「喜んでくれて嬉しいですだ。これからも頑張りますだ」


 一方のマライアだが、チャリティーコンサートに力を入れている。

 きっかけは栗鼠人族の三姉妹を魔物から助けたことだった。三姉妹は孤児で、暮らしている孤児院の経営を助けるため、危険な森に分け入り、木の実などを採取しているところを魔物に襲われたのだけど、そのことに心を痛めたマライアは彼女たちのために行動を起こすことにした。

 早速、彼女たちのために孤児院の補助金増額をサンドラ王女に進言したマライアだったが、サンドラ王女からは良い返事は貰えなかった。


「確かに支援することは可能よ。でも、それだけでは解決しないわ。私がクレーテを評価しているのも、彼女の竜騎士としての能力だけじゃなく、魚人族全体の戦闘力の底上げをしてくれているからなの。もし貴方がいなくなっても、孤児院の子供たちはちゃんとやっていけるかしら?」

「そ、それは・・・」


 しばらく落ち込んでいたマライアに声を掛けた。


「マライア。自分にできることがあるんじゃない?孤児院が今よりも収益が上がるようにすればいいと思うわ。私もスピラもいるし、タヌーカさんも協力してくれると思うわ」

「分かりました。考えてみます」


 マライアが出した答えは、孤児院の子供たちをバックダンサーやコーラス隊として雇用することだった。

 栗鼠人族の三姉妹をバックダンサーにしたことを皮切りに多くの子供たちを雇用している。これで恩恵を受けたのはケルだった。


「これでバックコーラスをしなくてよくなりました。でも、餓狼族の里ではメインで歌わないといけませんけどね」


 マライアの熱血指導でクオリティーも高く、ナウール王国では評判になっていて、最近では孤児院の運営費を稼ぐどころか、かなりの収益を上げている。近々、子供たちだけでの公演も企画しているようだ。


 以上のように我が直轄特務隊は順調に任務をこなしている。

 私は定期報告書に活動内容をまとめ、スピラに手渡す。


「じゃあスピラ、お願いね」

「すぐに届けてくるわ」


 スピラはゲイルに乗り、颯爽と空に舞い上がった。


「ここに来て、一番成長したのはスピラかもね?」

『そうね。ゲイルも成長しているわ。昔は二人供、おどおどしてたんだけどね』


 実際スピラは、副隊長として二人の学生の指導をきちんとしてくれている。

 それにあのスピードは凄い。普通のドラゴンの3倍の速度が出せる。つまり情報伝達速度が3倍になるということだ。このことはサンドラ王女も評価している。


「こんなに遠隔地とのやり取りがスムーズにいったことはないわ。スピラのお陰ね」


 何気に私たちは優秀な部隊なのかもしれない。



 ★★★


 報告書を出して1週間後、バラック教官、ルシル教官、グラース王子、エルフの前族長のリリ様がナウール王国にやってきた。私とスピラ、そしてサンドラ王女と共に話を聞く。

 一体何事だろうか?


 最初に口を開いたのはバラック教官だった。


「色々とあるんだ。まずは俺から。実はクレーテとマライアの育成状況に疑義が生じている。落ちこぼれの二人が短期間で優秀な成果を上げるなんてあり得ないというのが、学校としての見方だ」

「教官!!お言葉を返すようですが、二人はよくやっています。お疑いなら、サンドラ王女やナウール王国の皆さんに聞いてみてはどうでしょうか?」

「お前の気持ちは十分に分かる。しかし、上の連中はそうではない。だから直接監査に来るそうだ。その監査に来られるメンバーが厄介でな・・・」


 監査のメンバーを聞いて驚く。

 国王陛下、エリザベート王女、ジョージ王子だった。竜騎士学校の同期生であるエリザベート王女は現在竜騎士学校の副校長をしているらしく、自分が作成したカリキュラムで落ちこぼれた二人が活躍していることに納得がいかないようだ。

 そしてジョージ王子は・・・


「ジョージ王子のことは知っているな?」

「はい。お会いしたことはございませんが、お話には・・・」


 ジョージ王子は王族には珍しく光竜をパートナーとしていない。

 パートナーとしているのは水竜だ。現在は水竜隊を率いておられるお方だ。


「ジョージ王子が来られる理由はクレーテとカメールの実力を見るためだろう。水竜隊へのスカウトを考えておられるからな」

「そうですか。クレーテとカメールにとってはいい話かもしれませんね」

「そうだな。そして、それに合わせて直轄特務隊の隊長であるお前の資質も監査される」

「隊長としての資質?」

「ああ。これは竜騎士学校では教えてないことだが・・・」


 隊長として部隊を如何にまとめ、目的を達成させるかが大きな評価項目になるらしい。

 竜騎士学校卒業後すぐに部隊長になるなんて、普通はあり得ないから竜騎士学校のカリキュラムには当然、部隊長としての教育は含まれていない。


「まあ、そんな感じで学生二人の現状とお前の隊長としての資質を監査しに来ることを伝えに来たってわけだ」

「わざわざありがとうございます」

「ということで、俺の話は終わりだ。次はルシルだな」


 そう言うとバラック教官は出されているお菓子にかぶりついた。


「バラックは呑気なものだな・・・まあいい。私がここに来たのは警護のための視察だ。私は現在、近衛隊の副官をしているからな」


 ルシル教官は竜騎士学校から異動になり、古巣の近衛隊に戻って、副官に昇任されたようだ。


「私の話はこれくらいだ。何せ、監査の内容が決まらなければ、警護計画も立てられないだろ?」


 そして引き継ぐように口を開いたのはグラース王子だった。


「これはお願いなんだが・・・」


 いつになく、真剣な表情のグラース王子。

 あまり、いい話ではなさそうだった。

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