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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第一章 学生編

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27 餓狼族

 餓狼族の里に着いた。入口で門番に事情を説明する。サンドラ王女が来ていることが分かると、門番はすぐに族長を呼びに行った。しばらくして、狼獣人の初老の女性がやって来た。


「わざわざサンドラ王女殿下にご足労いただいたが、答えは変わらん。国が攻められるような事態になれば、取り決められた兵士を派遣するが、それ以外は他の種族と交流する気はない。王女殿下を我が里に招き入れ、接待するのが筋であろうが、こちらの住民感情もある。ご容赦願いたい」


 族長はルミナという女性で、取り付く島もないようだ。これはある程度予想できたことなので、サンドラ王女も用意していた言葉を返す。


「ルミナ族長、あの事件のことを思えば、そう思われても仕方がないことです。もし、気が変わったのならと思って参ったまでです。そちらにも利益のある話ですし、話だけでも聞いてもらえませんか?」

「そちらのタヌーカから話は聞いている。いい話だとは思うが、信じられないというのが正直なところだ。まだ、その時期ではないと考える。あの事件を知る世代がすべて死に絶えたら、可能かもしれんが・・・」

「分かりました・・・非常に残念ですが・・・」


 言いかけたところで、ルミナ族長は驚きの行動に出る。私の隣にいたケルベロスのケルに近づいて、跪いた。


「ま、まさか!!ケルベロス様ではありませんか!?一体どういうことですか?このルミナ、感動でいっぱいです!!」


 テンションがおかしい。ケルは何かを思い出したようにルミナ族長に声を掛ける。


「えっと・・・確かルミナだったな?幼い少女だったが、見違えたな。族長として立派になって、我は嬉しいぞ」

「有難き御言葉!!あの時の御恩は、一日たりとも忘れたことはありません」


 話が読めない。私はケルとルミナ族長の会話に入る。


「こちらのケルは私の従魔なのですが、お知り合いでしょうか?」

「ケルベロス様が従魔?貴様!!やっていいことと悪いことがあるぞ!!」


 急にキレられた。ケルが仲裁に入ってくれる。


「ルミナよ。これには事情があるのだ。我が説明をしてやろう。立ち話もなんだが・・・」

「すぐに宴の準備をさせていただきます。どうぞこちらへ!!」


 態度が一変して、私たちは里に迎え入れられた。族長の屋敷に向かう途中にケルは族長に事情を説明していた。その合間に別の頭で、私たちに念話で状況と族長との関係を説明してくれている。頭が三つあるとこういうときに便利だ。


『実は50年前のスタンピードで、この里を助けたんですよ。私も命からがら逃げていて、この里にたどり着いたんですがね。一応イヌ科のよしみで、すぐに逃げるように言ったのですが、ルミナの父親を筆頭に頑固な奴等ばかりで、戦うことに決めたんですよ。なので、知恵や戦術を授けました。私が戦っても勝てませんからね』


 もう50年前の出来事なのに、昨日のことのように族長は嬉しそうにケルに話し掛けていた。


「ケルベロス様が皆を集めて『今こそ立ち上がれ!!餓狼族よ!!』と演説されたのを今でも鮮明に覚えております。あの時の罠や戦術は素晴らしく、今でも狩りに応用しておるのですよ」

「うむ・・・我が直接戦ってもよかったが、お主等の為にあえて自分たちで里を守らせたのだ」

「族長となった今、そのお考えの素晴らしさに改めて気づきました」


 ケルがこっちを見て念話で言う。


『本当は戦えなかっただけなんですがね』


 しばらくすると集落の中央の広場に差し掛かった。広場には大きなケルの石像が設置されていた。


「あの事件を知らない世代にも、ケルベロス様の教えと偉大さを伝えております。今日は本当に良き日です。ケルベロス様と再会できたことを神に感謝しております。今、大急ぎで宴の準備をしておりますので、もうしばらくお待ちください」

「そ、そんな大したことはしていないと思うが・・・・」


 ケルも困惑している。


「事情はどうあっても、ケルが餓狼族を助けたことには変わりはないのだから、胸を張ればいいのよ」

「そうですね・・・そうします」


 そんな会話をしているところに傷だらけの若い餓狼族の青年が駆け寄ってきた。


「族長!!申し訳ありません。グレートボアの群れに囲まれて・・・」


 青年の話では、狩りをしていたところ、グレートボアの群れに囲まれたそうだ。グレートボアはB級の魔物で、私たち竜騎士にとっては大したことのない魔物だが、一般人にとったらかなり強力な魔物だ。


「あれ程、周囲の状況に気を配り、しっかりと罠に嵌めてから対処するように口を酸っぱく言っていたではないか!!」


「そ、そうなのですが・・・1匹くらいなら罠に嵌めずとも大丈夫と思い、一斉に攻撃を開始したのですが、相手も群れだったようで、酷い目に遭いました。それで、仲間が今もグレートボアに取り囲まれているんです。それで救援のために仲間が俺を逃がしてくれたんです。この件については、いかなる罰も受けます。でも、どうか仲間を助けてください」


「気持ちは分かったが、今精鋭部隊は遠征に出ているのだ。だからこそ、慎重に行動せよと言っていたのだ。仕方がない、我が行こう」


 何やら困っているようだ。


「それでしたら、私たちにお手伝いをさせてください。ケルのお知り合いでもありますし、できることはさせていただきます」

「かたじけない・・・若い者の命には代えられん。よろしく頼む」


 族長は私たちに頭を下げてきた。


「スピラ、そちらの方を乗せて場所の確認をお願い。私たちも準備してすぐに行くから!!」

「分かったわ!!」


 スピラが青年をゲイルに乗せて、颯爽と飛び立った。私はというとデミドラに乗せていた全身鎧を着込み、大楯とハルバードを装備して、巨大化したデミドラに跨る。サンドラ王女が言う。


「もちろん、私も行くわ。族長は私と一緒にフィンに乗ってください」

「申し訳ない、サンドラ王女」


 餓狼族の里を出て5分後にスピラが戻って来た。

 スピラによるとグレートボアは5匹、餓狼族は7人らしい。餓狼族の7人は大きな木の上に避難しているが、グレートボアがその木に体当たりを喰らわせていて、今にも木が折れそうだと言う。


「すぐに何とかしないといけないわね。まあ、グレートボア5匹なら何とかなるか」

「カトリーヌさんとデミドラならね・・・でも1匹は残しておいてよ。私も成長したところを見せたいしね」


 私とスピラの会話にサンドラ王女と族長の顔は引き攣っていた。


「グレートボアが雑魚扱いだと・・・竜騎士とは一体・・・」


 族長のつぶやきを無視し、私とスピラは取り残されている餓狼族の所に向かった。

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