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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第一章 学生編

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25/53

25 アルバイト

 私たちの宿舎は、騎士団の幹部用の官舎が割り当てられた。ここで、私とスピラとマリアが生活をすることになる。厩舎も近いので、デミドラやゲイルも大喜びだ。ヘクター王配殿下が暴走しなければ、かなり良い環境なのは間違いない。

 次の日、朝食を済ませるとサンドラ王女がやって来た。


「昨日は色々とあって、今後のことについて伝えられなくて、ごめんさいね。とりあえず移動しましょう。二度手間になるから詳しいことはそこで話すわ」

「分かりました。ところで、どちらに?」

「アルバイト先よ」


 アルバイト?


 ★★★


 宿舎からデミドラに乗り、飛んで移動すること15分、ナウール王国の王都ナウイの倉庫街に着いた。サンドラ王女はグリフォンライダーなので、相棒のフィンに乗って先導してくれた。


「ここよ!!」


 だだっ広い倉庫街に一際大きな建物があった。3階建ての建物で看板に「元祖タヌタヌ商会」と書かれていた。


「これって・・・」


 スピラのつぶやきにサンドラ王女が答える。


「竜王国のタヌタヌ商会のタヌーク会長のお姉さんがやっている商会よ」


 そんな話をしているとすぐに出迎えがやって来た。ふくよかな狸獣人の女性が挨拶してくる。


「元祖タヌタヌ商会の会長のタヌーカです。サンドラ王女から聞いています。優秀な学生さんがアルバイトに来てくれるってね」


 これはどういうことだろうか?

 私たちは留学に来たのであって、アルバイトに来たわけではないのだけど・・・


 困惑したが、表情に出さずに挨拶をする。挨拶もそこそもに狸獣人の子供たちに抱き着かれて、熱烈な歓迎を受けた。


「美人の竜騎士さんだ!!」

「すごいなあ!!カッコいい!!」


 なぜか分からないが、私は狸獣人にはすごく人気がある。子供たちも落ち着いたところで、私たちは応接室に案内された。サンドラ王女が言う。


「まずは留学のカリキュラムからね。基本的にここでの業務を単位扱いにするわ。ただ書類上は、アルバイトになるんだけどね。一応週に1回は騎士団の訓練に出てもらうけど、こちらの業務が忙しければ、こちらを優先してくれて構わないわ」

「申し訳ありません・・・少し話が早過ぎて理解が追い付かないのですが・・・」

「そ、そうよね・・・まずはこれを見てくれたらいいわ」


 私たちに渡されたのは、グラース王子が書いた論文だった。そこには私とデミドラを使った軍事戦略について書かれていた。要約すると私とデミドラの戦闘力ではなく、その輸送力に注目したものだった。分析も確かなもので、なるほどと感心させられることも多くあった。


「小さな村一つくらいなら運べるくらい凄いと書かれているけど流石にそれは無理よね?」

「多分できますよ。本気を出せば。ただ、移動時間は通常の倍以上掛かるとは思いますが・・・」

「で、できるのね・・・・それは置いておいて、我が国の取り巻く状況は理解しているわね?」

「資料や昨日レクチャーしていただいたた程度であれば」

「それで十分よ。昨日も話したと思うけど大国や様々な国に囲まれている我が国は、商業の中継都市として発展して来たのよ。しかし、それに目を付けたモダリア帝国からは常に侵略の危機に晒されているわ。ここでジレンマが生まれるのよ・・・」


 サンドラ王女の話では、獣人や亜人たちの居住区には多くの魅力的な商品があるそうだ。それを安定供給させるには街道の整備が必用ということらしい。


「でも各部族から街道の整備は反対されているのよ。王都のナウイが攻められたとき、街道があれば、自分たちの里にまで侵略軍がやって来るんじゃないのかってね。国を発展させるには街道を・・・でも侵略のことを考えると・・・そこで、貴方たちの出番というわけよ」

「つまり、私たちにこの国の流通を担えと?」

「そういうことよ。交易が多くの種族に利益をもたらすなら、街道を整備してもいいんじゃないかっていう意見が多くなると思うの。そういうことで、私はこれで失礼するわ。詳しいことはタヌーカさんと話をしてね。いい結果が出ることを楽しみにしているわ」


 サンドラ王女は去って行った。

 丸投げされた形のタヌーカさんが言う。


「王女様には王女様の事情がありまして・・・引き続き説明をさせていただきます。まず私たちは、代々タヌタヌ商会を経営しているのです。元々はモダリア帝国を中心に商売をしていたようなのですが、獣人に対する迫害が激しくなり、三代前からナウール王国に拠点を移すことになったのです。そのような教訓から、リスクを分散することが家訓になりました。それで弟のタヌークは竜王国で商売を始めることにしたのです」

「そうなんですね。それでタヌークさんが開拓村に来たのですね」

「手紙である程度のことは聞いています。カトリーヌ様の手腕で、崩壊寸前だった開拓村の危機を救っていただいたと」


 タヌーカさんによると元祖タヌタヌ商会はナウール王国に多くの援助を受けているようで、実質は国営の商会と言ってもいいくらいだそうだ。サンドラ王女も商会の役員だそうで、開拓村のことはよく話題に上がったそうだ。そして、丁度その頃にグラース王子が書いた論文を目にして、私たちを利用した商売を思いついたようだ。


「カトリーヌ様のような竜騎士で、しかも高位の貴族令嬢に荷運びをさせることは忍びなく思いますが、この商会を、延いてはこの国の為にも力を貸して欲しいのです」

「お気になさらずに。与えられた任務が何であろうとも、着実にこなすのが竜騎士であり、貴族の務めですからね」


 私はグラース王子やサンドラ王女の発想が新鮮に思えた。とにかくあの手この手で、竜騎士の戦力を自分の陣営に取り込もうとする輩は多くいる。しかし、その輸送力に目を付けたのは驚きだった。私とデミドラは別だが、多くのドラゴンはそこまで多くの荷物を運べない。スピラの相棒のゲイルなんて特にだ。

 まあ、荷物を運ぶだけで、単位がもらえるなら、それはそれでいいと思うことにしよう。


 スピラが言った。


「すみません。私のパートナーのゲイルは、そこまで多くの荷物を運ぶことはできないのですが・・・・」

「それは大丈夫ですよ。スピラさんにはスピラさんの能力を考えたお仕事を割り振る予定ですからね。まあ、本格的な活動は明日からにして、今日は基本的な仕事内容なんかをレクチャーして終わりにしましょう」


 それから私たちはスタッフさんの指導のもと、研修が始まることになった。

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