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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第一章 学生編

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21 合同実習 3

 合同実習の私の一日はこんな感じだ。


 まず、朝は早い。スピラと共に午前4時には起床する。これは当直の学生を少しでも休ませてあげたいという思いからだ。それにこれくらいから朝食と昼食の準備をしないと間に合わないからね。当直の学生から引継ぎを終えると私とスピラは料理に取り掛かる。基本的に前日に下ごしらえをしているので、温めるだけなので、調理のほとんどは昼食の準備になる。


 午前7時には全学生が起床する。みんなと一緒に朝食を取った後、討伐や探索には参加しないが、全体ミーティングに出席する。そこで1日の活動内容を把握する。これはかなり重要で、活動内容によってこちらの仕事が変わってくる。

 嘆きの森は、ある一定の深さに入ると木を切っても、1日で再生してしまう。木だけでなくキノコや薬草も同じ感じで、まるでダンジョンのようだと言っている研究者もいるくらいだ。私たちの目的の一つが、どこからが木やキノコなどが再生するかを見極めることだ。当然だが、再生するポイントからは魔物が格段に強くなる。

 活動内容についてだが、大きく分けて領域の調査か、魔物の調査になる。まあ私の関係するところで言えば、討伐される魔物の数が変わってくるくらいだ。私としては魔物の調査のほうが、ある程度計算ができるので、うれしいところではあるけど。


 皆を送りだした後は少し余裕が出る。私とスピラ、それになぜかバラック教官の三人と、それぞれのドラゴンたちとお茶をするのが日課だ。特に任務の話はしないが、ちょっとしたお菓子を摘まみながら町で仕入れたお茶を楽しむ。

 休憩が終わるとそれぞれの業務が始まる。私は主に解体作業、スピラとケルは町で素材を売ったり、買い出しに行ってもらう。ここでもケルは大活躍だ。


「私はタヌタヌ商会の商会員ですし、タヌーク村長からはタヌタヌ商会の紹介状を預かっていますからね。それにこの付近の相場はすべて頭に入っていますよ」


 実は、討伐した魔物の素材よりもケルとスピラが集めてくる薬草やキノコのほうが高く売れるようだ。因みにケルは、討伐指定のSランクモンスターからは解除されている。そういえば、Sランク解除の申請書類にサインした記憶がある。


 昼になるとグラース王子がグリフォンのグリーを連れて、午前中に討伐した魔物を拠点まで持って帰って来る。王子にこのような裏方の仕事をさせるのは少し忍びないが、本人は納得しているようだ。


「エリザベート王女も、訓練とはいえ、他国の王子を指揮するのは気が引けるようだからね。自ら名乗り出たのさ」


 この方は、かなりできた人だと思う。本人に言うと、「小国の王子は、気を遣うのさ」と冗談めかして言った。


 昼食の頃にはスピラたちも帰ってくる。三人にグラース王子を加えたメンバーで昼食を取り、午後からも仕事に取り掛かる。私は夕食の仕込み、スピラとケルはキノコや薬草の採取だ。ケルが最新の相場情報を把握しているので、効率よく、高めで売れる素材を採取していく。

 そして、グラース王子は魔物の解体をしてくれる。王子にそんなことをさせるのは気が引けたが、そこも本人が、「何事も勉強」と言って譲らなかった。私としては、仕事が楽になるので有難かった。


 そして、皆が帰って来る頃に合わせて、浴槽の準備を行う。

 入浴や食事は皆と一緒に楽しむ。雑談の中から必要な情報を聞くためだ。目の前の相手と会話しながら、周囲の雑談などにも気を配る。ケルが言うには、訓練すればできるようになるというが、なかなか難しい。ケルと違って頭は一つしかないからね。

 でも、少しはできるようになった。隣の席のエリザベート王女の派閥のメンバーが愚痴をこぼしているのを聞いてしまった。


「前回の実習は何だったんだろうか?あんな不味い飯と不衛生な環境で頑張ったのに・・・平民たちのほうがいい暮らしをしていたのが、腹が立つ」

「そう言うな。兄貴に聞いた話だが、今の環境が異常なだけだ。前回が一般的な軍の運用なのだと思う」

「そうか・・・ただ、こんな生活を覚えたら、軍でやっていけるかな・・・」

「それは俺も思う。だから、料理も少し覚えることにした。実家に帰ったら料理長から習うことにするよ」

「俺もそうするよ。俺のドラゴンは水竜だから、風呂と洗濯は覚えないとな」


 彼らも兵站が大事ということを理解したらしい。それだけで、いい実習になったと思える。


 そんな感じで楽しく過ごした後は就寝となる。ケルには悪いが、当直の学生と一緒に警戒に当たってもらう。そして私はスピラと一緒の寝床なので、ガールズトークが始まる。盛り上がり過ぎて、寝不足になるのは考えものだけど。


「バラック教官とルシル教官の仲が悪いのはね。ビオラと・・・」


 スピラが言うには、ルシル教官の相棒のドラゴンは光竜でファルシというのだが、どうやらビオラに思いを寄せているようで、度々アプローチしている。しかし、それが気にくわなかったバラック教官はルシル教官にこう言ったそうだ。


「お前みたいなチャラチャラした見てくれがいいだけのドラゴンは、ビオラに近づくな。どうせ数いる雌の内の1匹にするつもりだろうが、そうはいかんぞ!!とっととうせろ」


 これにはルシル教官がキレた。


「ファルシは美形だが、誠実なドラゴンだ。粗暴なビオラなど、我がファルシとはつり合いが取れん!!こっちから願い下げだ!!」


 バラック教官とルシル教官は、竜騎士学校の同期でもあり、今でもその因縁は続いているそうだ。


「道理で・・・度々二人と二匹で言い争いをしているのをよく目にするわ」


 何かにつけてバラック教官とルシル教官が言い争っている。その側では、ドラゴン同士も念話をしている。


『口は悪くて、粗野だけど、バラックは暖かくて人情味があるのよ。部下からも慕われているしね』

『それはルシルも同じだよ。清廉潔白で美しい。それに加えて慈愛の心も持ち合わせているんだ。本当に素晴らしい女性だよ』


 竜騎士同士は罵り合っているが、ドラゴン同士はお互いの竜騎士を褒めている光景は、何とも奇妙な光景だった。


「教官同士が素直になれば、上手くいくのにね」

「でも教官の気持ちも分かるわ。もしデミドラが変なドラゴンに言い寄られたら、私だって心配になるしね」


 そんな会話を続けながら、いつの間にか眠りに落ちている。



 ★★★


 そんな日々が続き、実習は2ヶ月目に入った。この頃には拠点はもう村レベルになっていた。きっかけは、国の文官と冒険者ギルド、商業ギルドの関係者が視察に訪れ、すぐにでも開発を進めたいと言い出したからだ。

 そのお陰で、私は魔物の解体、スピラは町への素材の販売や買い出しから解放された。多少は楽になったが、新たな仕事も仰せつかった。私は建築資材や必要な物資の輸送、スピラは急ぎの手紙の搬送がメインになってしまった。それでも食事関係の業務は続けている。自分で調理することは少なくなり、指導がメインになったけど。


 まあ、このままいけば、残り1ヶ月も問題なく過ごせるだろう。

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