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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第一章 学生編

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20 合同実習 2

 拠点の構築については、前回と同じ要領で行った。人数が倍になるだけで、やることは同じだ。まずは馬車の荷台を利用した寝床を構築していく。まあ、少し掃除をして、ドラゴン用のワラを敷き詰めたり、竜騎士用にワラにシーツを敷いただけの簡易ベッドを用意したりするだけだけどね。


「バラック教官、個室はエリザベート王女と教官のお二人を考えていますが・・・」

「そうしてくれると有難い。もう一人の担当教官は女だからな。気の強い女で、いけ好かない奴なんだ」


 現在エリザベート王女と行動を共にしている教官はルシル・アルモードという人物で、アルモード公爵家の二女だ。以前は近衛隊に所属していたそうだ。バラック教官とも因縁があるらしい。


 続いては、風呂場の用意だ。これも前回と同じだ。女性用、男性用、ドラゴン用の浴室を土魔法で建築して行く。

 不意にビオラとデミドラが念話で話しているのが聞こえてきた。


『お風呂っていいものね。あの実習依頼、ハマちゃったわ!!』

『それはよかったわ。私は生まれてから、ずっとこうだけど、他のドラゴンはあまり入浴しないようね?』

『そうね。でも風呂好きになったドラゴンは多いわよ』


 私とデミドラの影響で、風呂好きのドラゴンが増えたようだった。


 ある程度できたところで、今度は食事の準備に取り掛かった。早速みんなが、群がって来る。


「今日は何にするんだ?」

「私も凄く楽しみ」


「今日はタヌーク村長からいただいたコカトリスの尾の蒲焼がありますから、カトリーヌ丼ですわ。それにボア鍋も準備していますわ」


「「「キュー!!」」」


 デミドラ、ゲイル、ビオラが歓声を上げた。


 食事を取った後、入浴し、その日は早めに休むことにした。夜間の警戒だが、ケルが申し出てくれた。


「頭が三つあるんで交代で寝れば大丈夫です。それにもう100年近く、三つとも一遍に寝たことはありませんからね」

「悪いけどお願いするわ。お礼と言っては何だけど、夜食は用意しておくからね」

「ありがとうございます。カトリーヌ様の料理は、本当に美味しいですからね」



 ★★★


 二日目は、周囲の探索をすることになった。これもケルのお陰で、貴重な薬草やキノコを採取することができた。肉ばかりになりがちな食事が改善されると思うと正直嬉しい。本当にケルを連れて来てよかったと思っている。


「まあ、嘆きの森については、かなり詳しいですから、任せてください」


 そして、食材となる魔物も討伐することにした。結果は、ホーンブルが2体とグレートボアが3体だった。私とデミドラは1匹ずつ討伐したが、残りはビオラがすべて討伐してしまった。バラック教官が言う。


「ビオラが言うには、デミドラを見て危機感を抱いたそうだ。指導するよりも、まずは自分が強くならないといけないと思っているようだ」


 これで当面の50人分の食料が確保できた。役得ということで、取れたての肉でバーベキューをしたのだが、残りは燻製肉や干し肉にした。燻製肉や干し肉も同期生の中では評判がいい。スピラも絶賛してくれる。

 

「新鮮なお肉も美味しいけど、干し肉や燻製肉もそれはそれで美味しいわね」

「そうね。燻製肉や干し肉で出汁を取れば、いいスープができるからね。そこに麺を入れたり、野菜と合えたり・・・」

「教官の前で言うのもあれですが、料理だけでもこの実習が楽しみになります」


「まあな、俺も楽しみだ。だが、俺には軽口を叩いてもいいが、ルシル教官にはそんなことを言うなよ。アイツは頭が固いからな」


「はい、気を付けます」


 二日目も無事に終了した。そして、三日目を迎える。

 この日は、本隊がやって来る日だ。スピラとゲイルに偵察に行ってもらったところ、到着は大体夕方とのことだった。昼食を食べ終えるとスピラとゲイルは再び移動中の本隊と合流をする。先導するためだ。

 私はというと、料理の仕上げとお風呂の準備をしていた。この日の為にグレートボアの煮込み料理を作っているからね。もちろんバーベキュー用の新鮮な肉も用意している。


 日も沈みかけた頃、本隊が到着した。私の派閥のメンバーは気安く声を掛けて来る。


「カトリーヌ様、今日のご飯は何ですか?」

「俺の相棒も楽しみにしてるんですよ」

「私はお風呂に入りたいですね。大きなお風呂は気持ちいいですからね」


 しかし、エリザベート王女や彼女の派閥のメンバーは怪訝な表情を浮かべている。


 どういうことだろうか?もしかして、王族が使用する拠点はもっと豪華な食事や寝床が必用なのだろうか?


 至らぬ点があれば謝罪しようと思い、エリザベート王女に伺いを立てる。


「何か不手際がありましたでしょうか?ありましたらすぐに改善致します」

「い、いえ・・・予算は足りているのかと思いまして・・・」

「ご心配なさらずに。予算の3分の1も使っておりませんから、大丈夫ですよ。上手くいけばかなりのプラスの収益を見込めます」

「そ、そう・・・ルシル教官、一応帳簿をチェックしてもらえませんか?」


「分かりました。カトリーヌ、夕食後に帳簿を持ってくるように」


「承知いたしました」


 それからは、それぞれが入浴を済ませ、少し豪華な食事をみんなで取った。意外なことに対立構造のあった派閥同士のメンバーが打ち解けているようだった。


「カトリーヌ様の派閥のメンバーはいつもこんな料理を食べていたのか?」

「そうだよ。今日は特別豪華だけど、それでも週に一度はこれクラスの料理が出てくるんだ」

「本当か?」

「もちろん。それに朝食もお弁当も美味しいんだ。そして、何よりも人気があるのは・・・」

「勿体ぶらずに教えろよ!!」

「どうしようかな・・・僕たちの食べる分が減るしな・・・」


 そんな会話が聞こえてくる。

 私の料理が褒められて、正直嬉しかった。しかし、今回は皆が楽しみにしている当直勤務用の夜食は準備できない。エリザベート王女に私とスピラの二人で当直勤務をするように言われているからね。なので、さりげなく会話に入った。


「残念ですが、エリザベート王女から当直は私とスピラでやるように言われていますから、夜食は無しですね」


「そ、そんな・・・今日はボア鍋が出たから、その余ったスープに麺を入れた物が食べられると思ったのに・・・」

「どういうことだ?分かるように説明しろ」


 私の派閥のメンバーで一番人気のあるメニューは夜食なのだ。食材は無駄なく使おうとすると、どうしても全員が食べられない希少部位などが出てくる。それを私の派閥では優先的に当直勤務の学生に料理して渡していた。さっき話していた学生の推理は的を射ていて、スープに麺を入れた物と雑炊、それに余っていたコカトリスの尾の蒲焼を出そうと思っていたんだけどね。今のままなら私とスピラが食べることになるのだけど。


 私と同じ派閥の学生の説明を聞いたエリザベート王女の派閥の学生は言う。


「事情は分かった。俺はこれからエリザベート王女に当直勤務を全員で均等に割り振ろうと意見具申してくる。喧嘩にならないようにエリザベート王女の派閥とカトリーヌ様の派閥と同じ人数を出せばいいのではないか?」

「そうしてくれると、みんな喜ぶと思うよ」

「では善は急げだ。これから行って来る」


 結局、当直勤務は当初の予定とは違って、シフトを組んで全員均等に回すことになってしまった。


 就寝前、私はルシル教官を訪ね、ルシル教官に帳簿を手渡した。

 ルシル教官は驚愕の表情を浮かべていた。


 どうしたのだろうか?何か予算関係で不備があったのだろうか?


 しばらくして、ルシル教官は言った。


「少しバラック教官と話してくる。今日の用件は終わりだ。ゆっくりと休むといい」


 ルシル教官はバラック教官の寝床に向かって行った。


 まあ、特にお叱りもなかったことだし、明日からまた頑張ろう。

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