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七辻名無の平凡な日常  作者:
第2章
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自分のルーツを考える

「……だからウチの親父から電話があったのか。」


「そういう事だ。」


事情聴取後、二階堂さんにアパートまで送ってもらい日向先輩に事情を話した。


大学では基本的に安全だが何があるか分からないため、なるべく日向先輩と行動する事になった。


バイトでは二階堂さんが近くに居てくれるらしい。


アパートには“悪いモノ”が入り込めない結界が張ってあるらしく、夜の安全は確保されたも同然だ。


「君には妙な縁があるネ……クックックッ」


一連の流れを把握した大家の七辻さんは意味深い言葉を告げる。


(あやかし)の血を引くせいか、または命運か……どちらにせよ、面白いネ。」


「妖は妖でも壱級妖怪・火車。地獄の関係者でもありますから最悪、境界の妖怪達にも影響を与えます。」


「面倒ダネ。まあ、せいぜい頑張りなヨ。」



軽っ!相変わらず軽い!


「あ、あの……壱級妖怪って凄い事っすか?」


「凄いも何も……まず、亡者の連行・迎えを任される妖怪は火車の一族しかいない。

もっとも、最近は珠代様以上の才能の持ち主はなかなかいないと聞いた。

しかも珠代様は閻魔大王のご意見番であり、大家と並んでこの町を作った“七花(しちか)”うちの一人だからな。

……つまり偉いんだよ。」



日向先輩が丁寧かつ分かりやすく説明してくれた。

マジかよ、ばーちゃん……。


「それに火車は俺の家……鬼火一族や炎系妖怪・獣系妖怪の元締めだからな。

本当ならお前の方が火の扱いは上手い……はずなんだよ。」


「そ、そうっすか……。」


先輩、肩が震えてるっす。かめ○め波を思い出さないでください!

でも“七花”って……?


「“七花”について聞きたい顔だな。」


凜太朗の考えを読んだかのように二階堂が話しはじめる。


「“七花”。

名の通り七人組の事だ。さっきも説明にあった様に、この妖怪の町を作った七人であり、町の権力者だ。

順に説明すると、

『壱花の七辻』『弐花の東雲(しののめ)』『参花の鈴村』『四花の氷雪(ひょうせつ)』『伍花の里見』『陸花の二階堂』『七花の憑代(つきしろ)』と言った所だな。

“東雲”、“氷雪”、“憑代”以外は知ってるな?


大家の正体は不明、

里見のじいさんは今は息子に後を譲って引退している身だが境界の行き来を見張る役の玄武。

俺の家・二階堂は守護と秩序の象徴である鬼の一族だ。

そして、

“東雲”は規律を重んじる質実剛健な戦闘系妖怪の一族で、うちの警察署には東雲の関係者が多い。

“氷雪”は氷系妖怪の元締めで町の東の方でヤクザとして裏の秩序を守っている七花の理性的一族。

“憑代”は呪術・霊術・陰陽術に(ひい)でた七花の仲裁役である狐の一族。


一度言葉を区切り、百目鬼さんが淹れた緑茶を美味しそうに一口飲む二階堂さん。


「最後にお前の一族・鈴村。

あの世とこの世の仲介役であり、火と獣系妖怪の元締め。

町から離れた山麓(さんろく)に住む火車の一族。」


「成程……。」



自分の中に流れる血の重要さ。

それを初めて知った。

アパートに住み始めてから色々な事が多過ぎて、分からない事もあった。

だけど、ここに住み始めてやっと自分のルーツを知ることが出来た。

そんな気がした。


「っ……と、通り魔が捕まるまで……よ、よろしくお願いします!」


勢いよく頭を下げた凜太朗に、一瞬驚いた二階堂と日向。

しかし二人とも口元を綻ばせ、凜太朗のふわふわした癖毛をわしゃわしゃと豪快に撫でる。


「当たり前だ。」


「今度、飲み物奢れよ」


「っ……はいっす!」



「…………デモサ、明日から花火くんに技の使い道教えもらうヨネ?」


大家の一言で固まる凜太朗。


「そうだったぁぁぁぁぁ……!!」


怖い、それにあの人普段何処に居るんだよ!!

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