黒歴史は墓まで持っていきたい
「成程な……それで黎がキレた訳か。」
「もう、こっちは長年愛車真っ二つにされたんですよ~。」
「そこは命有るだけで良しとしましょうよ。」
命より愛車への愛着が重い。
愛車を真っ二つに破棄された教授を他所に一真さんは話しを続ける。
「黎のヤツが察した通り、二人が接触したのは最近この界隈を騒がせている通り魔だ。
手口や出没場所、目撃情報に共通点が無く、捜査が困難していてな。
現段階で被害者が二桁に入りそうな状況だった中、今夜の事件が起きた。
そして捜査始まって以来、初めての収穫があった。」
「それが教授がへし折ったあの“刃”……。」
「ああ、現在調査班が慎重に調べているはずだ。
妖刀であるならそれで終わるが、本体が所有者だったなら調査をする上での大きな進歩だ。」
「鎌鼬の奴らは?アイツらだって怪しいじゃない。」
「鎌鼬の一族ではない事は断定出来る。住人表に鎌鼬の関係者は数名いるが彼らへの聞き込みとアリバイ・封じ札が正常に働いている事から疑いは晴れている。」
鎌鼬といえばそうかもしれないが、それだけで疑うのは失礼極まりないという事だろう。
「現在、二人は通り魔を目撃した唯一の目撃者となってしまった訳だが……二人の顔を見られていたとするならこのままでは危険だ。
喧嘩慣れしている黎はともかく、凛太郎君はまだ修行中の身ということで俺か炎人が付いて護衛する事になった。」
え?何故ここで日向先輩?
「ちょ、待ってください!確かに刑事の一真さんが護衛に付くのは分かります。でも、何で一般人の日向先輩が護衛なんてするんですか!?」
「……黎。まさか大家は知らせてないのか?」
「私はそこの所はノータッチですよ。」
「?」
訳が分からない。
混乱している凛太郎にどう説明するか考える二階堂。
その時。
「二階堂!通り魔事件の説明は終わったか?」
「まだです。署長。」
摺りガラスのはめられた立付けの向こうから一人の男性が顔を覗かせる。
浅黒い肌に爛々(らんらん)と燃える炎のような赤い目。
オールバックに纏めた銀髪。
その喋り方と口元の髭もアクセントになり、豪快な印象を与える。
あれ?何処かで見た事あるような……?
「げ、紅蓮のおっさん」
「ん?なんだお前さんが目撃者か、黎湘!?どうりで刃をへし折れた訳だな。」
「日向署長。まだ説明が終わってません。」
「まあそう固くなるな。お!?君が珠代様の孫か!息子から話しは聞いてるぞ。かめ○め波のポーズで着火したんだそうだな。」
最後の爆弾(一言)で一真さんと教授が同時に吹き出す。
日向署長…………息子……?
「あの……まさか日向先輩のお父さんですか?」
「おう、日向紅蓮だ。
息子がいつも世話になっているな!」
日向先輩……何でか○はめ波の事言っちゃうんっすか!!
墓まで持っていきたい!
「ゴホッ……日向署長は花咲警察署署長であり、妖怪専門課の責任者でもある。」
「あと、私達の青春時代に滅茶苦茶 喝入れて来た刑事。」
二人とも…………肩が震えてるので、説得力皆無っす。




