十二支、全部言える?
「……ずっと正座っすか?」
「そうよ」
「っ……」
封江教授の実家────寺の境内────に正座している。
蝋燭を立てた燭台が凛太郎の周りを囲んでいる。
計 十二本
本日からの課題・自在に着火させる。
「ふふふ。どうやら相当修行したみたいね。」
「それラスボスの台詞っすよ……。」
「はい、行くわよ」
「うっす!」
目を閉じて意識を研ぎ澄ます。
「初めに。丑の方角、酉の方角に着火。」
「くっ……」
正面の右隣の蝋燭と左斜めの蝋燭に着火する。
修行内容を簡単に纏める。
十二支の方角になぞらえ並べられた燭台の蝋燭にお題の通りに火を着けたり消したりする。
旗を上げ下げするゲームの高難易度版のようなものだ。
十二支の方角はサークル内でよく使うため慣れっこだ。
「次、子の方角。申の方角、丑の方角に着火。
酉の方角を鎮火」
「っ……」
教授は引っ掛けを使ってくるからなかなか難しい。
それに加えて正座。
三重苦に苦しみながらもイメージを崩さない。
「はい、休憩にしましょう」
「あ、え?……まだ五分くらいしかしてませんよ?」
「一時間よ」
「は?」
「休憩しながら話すわ。私疲れちゃったから」
そう言うとペットボトル入りのお茶をくれた。
「一時間が五分くらいに感じたってことは、軽いトランス状態にあったってことよ。」
「トランス状態……」
「面白いゲームを一日一時間!って決められてたけど、五分しかやってない気分になるアレよ。」
「あー……なる程……」
「それにトランス状態は精神に隙ができるから私みたいに専門家がいないとダメよ。
精神を全開にしている状態。
つまり金庫の扉を開けっ放しにするようなものだから、“良くないモノ・悪いモノ”につけ込まれ易いのよ。
その結果、トラウマが発生したり発狂したりするわ。
最近だと、心理学をかじった程度のインチキ超能力者が下手な方法で精神開放するからトラブルが多いのよ。」
「へー……」
一人でやるなってことか。
アドバイスとしては今の調子でいけば二週間くらいでマスターできる…………らしい。
正座、閉眼、集中が軽いトランス状態を引き起こしたのだと教授は言った。
そのため足が痺れて正座のままだ。
しかも教授は意地の悪いタイプ故につついてくる。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
「あははは、面白いわね~」




