悪友は何年経っても悪友
「あははは!まんまと引っかかってやんのー!凛太郎くんもまだまだねー!」
「黎湘。笑い過ぎ」
「うっせーぞー、黎ー。…………半分素に戻ってやがんな」
「そう言う縁も飲み過ぎ。」
不良トリオが揃うとこうなるのか……。
夜。
裏目荘では凛太郎の覚醒話を肴に、大人達が酒盛りを行っていた。
百目鬼さんからの連絡でドッキリネタを聞きつけ、封江教授と教授に無理矢理に連れて来られた四ツ谷さんも加わり、酒盛りは更に盛り上がっている。
酒豪の人達はマイ一升瓶を片手に常備し、そんなに飲めない人は好きな飲み物が注がれたグラスを片手に盛り上がっている。
「しっかし、懐かしいわね~。あのおじいちゃんも元気で何よりだわ~」
教授の声が酒の力でいつもより少々高い。
「僕達の時は楓さんの化かし術でお化け屋敷状態だったよね。企画発案者は七辻さんだけど。」
「懐かしいなー!確か扉を開けたらどっかの西洋屋敷で、いろんなヤツに追いかけられたよなー。あんときは黎のヤツが法力でぶっ飛ばそうとしたから焦ったぜ。」
「だって~。あの頃はまだピチピチの十代で、ヤンチャしてた頃だったし~。若気の至りよ、若気の至り!」
七辻さん、絶対楽しんでるだろ!
西洋屋敷に迷い込むって、もはやただの脱出ゲームじゃねぇ!?
教授に関しては…………若気の至りでいいのか……?
「はぁ~。こうして考えると、昔は色々ヤンチャとか馬鹿やったわよね~。」
「やっぱり青春ってヤツはいいよな。」
「……アレを青春で括ってもいいのか?下手したらギリギリ訴えられるぞ?」
「いいの!いいの!!もう時効なんだから~!」
さらりとアウトな話が聞こえた気がする……。
ケタケタと笑いながら酒を煽る悪い元ヤン二人と、
困り顔で幼馴染みと腐れ縁にツッコミを入れる元ヤン弁護士先生。
うーん…………なかなかに濃い三人。
でも今だに四ツ谷さんが元ヤンだったのが信じられない。
いや、失礼だが教授と百目鬼さんと同じ不良だったのを信じたくない。
「確かになー。
でも他校のヤツと喧嘩した時、向こうのどっかの馬鹿組の若頭がドス持って来たのはいくらなんでもダメだろ!!」
「あれは正当防衛よ!正当防衛!!
それにその後、俊ちゃんったらあの馬鹿ボンボンの心読んで秘密をネタに情報部員としてこき使ってたじゃない!!」
「ああ…………………………………………………………………………………………彼、今は真っ当なヤクザになってるよ。余程説教が効いたかな?」
グラスに注がれた日本酒をチビチビ晩酌しながら、語る。
四ツ谷さんもまともじゃなかったぁぁぁぁ!
むしろ裏番長タイプだった!!
教授の幼馴染みは幼馴染みだったよ!コンチクショー!!
「そ・う・い・え・ば♪凛太郎くんは課題、終わってるのかしら?」
「もうちょいって時にドッキリさせらるたんっすよ!」
「あ、そうだったわ。それにしても地獄の炎ね~……厨二病臭いわね。」
くっ…………妙な所で教授とシンクロするなんて!
「地獄の炎は地獄の炎、ダヨ。まだ未熟ダケドネ。」
「未熟なんっすか!?」
「そりゃそうよ。地獄の炎ってちょっとやそっとの水じゃ消えないもの。あのジジイから気かなかったの?」
「え、里見さんからそんなことは……」
「だーかーら!!」
機嫌が悪そうに空になった酒瓶をダンッ!っとテーブルに強く置く。
「花火のジジイだよ、紅髪の!アイツは無駄に長生きだから多少の事は知ってんだよ!!」
教授が素に戻ってらっしゃるよ!?
そんなに嫌いなのか……?
「黎湘だけじゃないよ。…………妖怪にも人間にも嫌われてる人だから。」
「え?」
凛太郎の疑問を読んだらしく、四ツ谷が説明する。
「まあ、それは本人から聞くといいよ。
黎湘が言いたいのは、『地獄の炎は三途の川の水か天国産の水じゃないと消せないし浄化も出来ない。
緑茶ごときで消えるなんて未熟過ぎる。』ってね。」
「暴走して火事とかは迷惑がかかる、しかも簡単に消えないからコントロール力を身につけた方がいい。
つまりは修行あるのみってことダヨ。」
四ツ谷さんと七辻さんの説明で納得はいった。
下手をすれば多大なる迷惑がかかる。
それだけは避けたいし、人の命がかかっている。
でもどうすれば?
「教えてくれる人なら今の所、三人くらい心当たりがあるよ。
一人目は日向くん。鬼火の半妖だから地獄の炎にも精通してるし、ある程度は使える。
いざとなったらお父さんの方にも協力を頼める。
二人目は黎湘。式神もいるし、法力持ちだから地獄の炎の対処にはうってつけだよ。
三人目は…………花火さん。教え方は荒いし雑だけど完全にはマスター出来ると思うよ。」
「日向先輩にお願いします!」
後で四ツ谷さんに言われたが、その時の俺の目と心には迷いが一切なく真っ直ぐだったらしい。




