祖父母の馴れ初め話って聞くと小っ恥ずかしいよね
「まあ、そんな訳で。ダヨ。コレで色々説明の手間が省けたから、ラッキー」
絶対この人、今しがた起こったこと見越してたな……
「まず最初に、この町事態妖怪と異能力者が住む町なんダヨ」
「へー…………異能力者?」
「テレビに出てるようなインチキじゃないヨ。“本物の”異能力者サ。あとは田舎から上京してきた、妖怪とかカナ?」
「えーっと…………つまりは、妖怪・異能力者が共存しているとこ何だよ。この町は。」
四ツ谷さんが簡単にまとめてくれた。
「そんな町だから、ちゃんとした機関はあるヨ。幼稚園と小学校トカ」
「え?小学校までっすか?」
「小学校で人間社会での振る舞いをを学ぶんダヨ」
「なーる」
「このアパートに住む子は、大体が町の外に住む妖怪とか異能力者の血族デネ。まあ、中には普通の妖怪も居るケド」
電卓を打ちながら話す七辻。
「あのー…………一ついいっすか?」
「家賃ならこのくらいダヨ」
「うおっ、安っ!?……って、それじゃなくて!」
思わずノリツッコミしてしまった。
「血族って事は、漫画みたいに能力に何かしら能力があるって事っすか?」
「あるだろうネ。事故に会ったんダッケ?おそらく、そこで多少は開花したんダロウネ。発展途中で今は見えるだけみたいダケド。
能力と一括りしても、縁君みたいに体の表面に出る場合、四ツ谷君みたいに見た目は人と大差ない場合…………と、様々ダネ。」
「つまり、俺の能力は未知数っていう訳ですか?」
「“火車”だからネェ…………[火属性]なんじゃナイ?」
「んなドラクエみたいに……」
「ああ、ソウダ」
ゴソゴソとポケットを探る。
ポケットから取り出したのは、メモらしき紙と鍵。
「はい、コレ。207号室の鍵。この上の部屋」
「あ、はい」
「それと…………珠代ちゃんの電話番号」
「はい……………………………………………………は?」
イマ、ナンテイイマシタカ?
思わずフリーズする凛太郎。
「ばーちゃん、亡くなったんですケド?」
「その…………凛太郎君。」
四ツ谷さんが非常に言いにくそうに言う。
「珠代さんは妖怪。しかも上級の部類に入るから…………何と説明したらいいか。」
「人員不足でお爺さんを迎えに行ったけど、一目惚れして連れて行かず、
ワガママ言って 使ってなかった有給使って人間界に住んでアタックしまくってゴールインしたって、言えばいいジャン」
「……………………………………………………………………」
ばーちゃーーーーーーーーん!!??
そんな凄い情熱的な馴れ初め話、初めて聞いたけど!?
「つまりは、そう言う訳で…………半ば無理矢理、80年分の有給─人間で言うと一週間分くらいの有給──をぶんどったわけで…………今は向こうでバリバリ働いてるよ。」
「そうっすか……」
なんつーか………………色々デジャヴ。
色々なことがありすぎて知恵熱出そう。
「ま、落ち着いたら連絡しなヨ」
「はあ……」
「他の住人はまだ帰って来ないみたいだから、自分の部屋でも見てきたらどうかな?ついでに案内するよ。」
「四ツ谷さんが?」
「学生時代はココに住んでいたからね。」
「おお…………」
四ツ谷さんが助け舟を出してくれた。
ここはお言葉に甘えて案内してもらうとしよう。
俺と四ツ谷さんは七辻さんを居間に残し、アパートの中を探検(案内してもらう)する事になった。
「さて…………新人の彼は僕を楽しませてくれるカナァ?」
一人、居間で呟くとクックックッと怪しげな笑いをこぼす。
「珠代ちゃんは行動が予想外過ぎて面白かったけど、孫の彼はどうだろうネェ……」
食事用らしい仮面から、いつもの狐面に付け変える。
「期待してるよ。凛太郎君」
狐面の怪しい大家はにんまりと笑った。




