湿地の先の国
メスドラーマ国を出発しウォドリング国へ向かう花春達。
ウォドリング国は湿地を進んだ先にある国で、国としてはそこそこの大きさだ。
国の特徴としては宗教の敬虔な信徒が多い国なのだとか。
とはいえ国としては割と自由な空気はあるらしい。
「この湿地の先がウォドリング国か」
「ええ、国としては割と自由な空気がある国ですわよ」
「そういう国もいいものですよね」
そのまま湿地を進みウォドリング国に入国する。
湿地には流石の野盗も出ないようではある。
「とりあえずは無事に入国出来ましたね」
「はい、この国は結構賑やかみたいですね」
入国して最初の街には人も多く、遠くには教会も見える。
まずは冒険者クランに向かいクエストなどを見て回る。
敬虔な信徒が多い国だからなのか、宗教関係の依頼もちらほらある。
次の街にはすぐには向かわずまずは国内情勢を探る事にした。
「この国には神殿とか教会からの依頼もそこそこあるンだね」
「ええ、この国は宗教の敬虔な信徒が多く暮らす国ですもの」
「宗教の敬虔な信徒、そういう意味では教えを守る人が多いという事ですか」
「信徒でなくとも教会や神殿には自由に出入り出来るが、入れない区画もあるぞ」
花山曰く教会や神殿には自由に出入り出来るが、入れない区画もあるという。
祈らずともいいが、無礼を働けばすぐに僧兵が飛んでくるとのこと。
神を祀る施設における無礼は国外追放モノの重罪なのだとか。
「とりあえずクエストを受けようか、何かあるかな」
「国内の事を知るなら宗教関係からの依頼を受けるのもいいかもしれませんわね」
「ならこれなんてどうですか?」
「えっと、清めの水汲み…清めの水って何かな」
「この街外れにある川の水ですね、儀式で使う聖水の材料になるそうですよ」
清めの水、宗教においては聖水は大切なものらしい。
聖水はその清めの水を着色し、それを腕にかけるのだという。
宗教において手の汚れを落とすというのは罪に向き合いますという宣言なのだとか。
とりあえずそのクエストを受け、清めの水を汲みに行く事にした。
「それでクエストを受けてその川に来たけど」
「ここの水が清めの水みたいですね、瓶の数で30本分持ってきてくれだとか」
「30本、ならさっさと終わらせてしまいますか」
川の水を専用の瓶に30本分汲む。
そのままクランに戻り依頼を達成する。
ちなみに聖水にはいくつか種類があり、冒険者などに重宝されるものもあるとか。
アンデッドを浄化する聖水や、魔物を遠ざける聖水などが主らしい。
見分けは聖水の水の色を見れば分かるとのこと。
「宗教的なイベントとかないのかな」
「西側諸国の多くの国が信仰している宗教ですから、この国でなくともいい気はしますが」
「せっかくだから街を見て回ればいいのではないですか」
「宗教的なものとかも見られるかもしれないですしね」
というわけでとりあえず街を見て回る事になった。
教会などに行くのもいいが、街には宗教的な食べ物なんかも売っている。
本来は大きなイベントの日に食べられるものなどがある。
とはいえ神殿の方も、経営にはお金がいる。
そこで観光客向けにそうしたイベントの日に食べられる食べ物などを売っているらしい。
そうしたものを知ってもらうのもまた布教の一環という考えなのかもしれない。
「このパン美味しいね、ドライフルーツを練り込んだパンか」
「はい、あとこのぶどうジュースも美味しいです」
「ぶどうジュースは葡萄酒の代用品ですわね、お酒の飲めない子供が飲むものらしいですわ」
「パンとぶどうジュース、シンプルにそれが美味しいンだなぁ」
ドライフルーツ練り込みパンとぶどうジュース、それは宗教的な意味もある食べ物らしい。
なお葡萄酒というのは西側諸国の宗教では特別なもの。
かつて一人の青年に神が与えた果実という伝承がある。
その青年がその果実から作ったものが葡萄酒であるという教えらしい。
それもあり葡萄酒は神より授かった一雫という風に伝わっている。
そしてドライフルーツ練り込みパンは神が愛したパンとして特別なものとなっているとか。
「でも宗教かぁ、あたしは宗教っていいイメージがないンだよね」
「花春さんは宗教に何か嫌な思い出でもありますの?」
「嫌な思い出はないけど、一神教って大体神様を免罪符に悪い事してるイメージというか」
「花春さんは宗教に対する偏見が結構あるんでしょうか」
花春が持つ一神教への宗教観。
この国では流石にそこまでの事はないが、神様への考え方の違いなのか。
日本の創作物において宗教は定番の悪役として扱われているのも大きいのか。
「ならせっかくですから教会に行ってみませんか」
「それもいいかもね、見ておくのは大切だし」
「なら教会に向かいますか」
そのまま街の教会へと向かう。
教会は総本山に比べれば規模は小さいが、それでもそれなりに立派なもの。
教会で無礼を働く事は重罪であるという事は忘れてはならない。
「うわ、街の教会でも結構立派だね」
「そうですわね、信徒でなくても祈るのは自由ですわよ」
「なら一応祈っておきますか」
とりあえず来た以上は一応祈っておく事にした。
教会には神父などもいるが、常駐しているというわけでもない。
ちなみに教会で祈るのは強制されているという事ではない。
あくまでも信徒である以上は祈る事は大切という考えらしい。
「それにしても宗教か、やっぱり神様はただ一人って感じなのかな」
「それは国によるとは思いますけど」
「他にもいろいろ見て回りますか」
そんな敬虔な信徒が多い国なので、宗教色はやはり強くなるもの。
やはり宗教はガチ勢になってくると厄介になるのか。
その辺は難しい話になるのかもしれない。
「この国は宗教の敬虔な信徒が多いからこそ見られるものも多いな」
「でもその宗教って西側諸国では一般にも浸透しているものなんですよね」
「神様というのは本当にいるのかどうかは気になりますが」
「神、まあ国によって考え方が異なるのは別におかしくはないしな」
花山の故郷は基本的に多神教の国なのだという。
なので一神教の価値観は合わないのかもしれない。
神様への考え方も転生者の花春に近いのはあるのだろう。
「宗教的に禁止されている食べ物とかはないようですね」
「肉なんかも普通に売っているからな、まあ宗教とは言うが大きな禁止はなさそうだ」
「でも宗教の敬虔な信徒が多いとはいえ、見ただけなら普通の民衆なんですよね」
宗教の敬虔な信徒とはいえ普段はそれを感じさせないのも宗教なのだろう。
なお総本山の神殿があるのはマリッジ国という国らしい。
西側諸国では広く信仰されている宗教なので、西側諸国の多くの国に信徒がいるのだと。
「西側諸国では広く信仰されている、宗教観も東西ではだいぶ変わりますね」
「東の国は多神教の国が多いからな、その辺は神様に何を求めるかなんだろう」
「しかしこの国は宗教の影響力が強いとも感じますね」
「西側諸国でも国によって信仰の強さは変わってくるからな」
「宗教もお金がなければ運営出来ない、その辺の現実も見える気はしますけどね」
サミヨはその辺は見ているのだろう。
宗教だってお金がなければ運営はしていけない。
なのでそこの透明性は求められてくるという事なのか。
次の街に向かう準備なども整えつつ今夜はこの街で一夜を明かす事に。
「次の街はどこかな?」
「ここからだと少し遠いですわね、お金があるなら馬車の利用もありですわよ」
「馬車、まあ腕に自信があるなら徒歩でもいいがどうする」
「この国の魔物なンかも見ておきたいし徒歩でいいよ」
「では徒歩ですね、明日は次の街に出発しましょう」
そんなわけで明日は次の街に向かう事になる。
宗教の敬虔な信徒が多いウォドリング国は見られるものもまた変わる。
花春は個人的に宗教のイベントが見たいと思っている。
そういうイベントは他の街で見られるかもしれない。




