花春の使っている刀
首都ラアンベリに滞在して数日。
花春達は装備を更新すべくダンジョンに潜っていた。
そこでいくつかのユニーク装備を発掘し各自装備の更新は順当に進む。
そんな中花春の使っている武器についても更新の時期が来るのか。
「装備は結構更新出来てきたね」
「花春はまだ私のやった刀を使っていたのか」
「その刀はそろそろ更新してもよいのではないですか?」
花春は以前花山からもらった刀を今でも使い続けていた。
市販品を刀鍛冶のクリエイトスキルで強化しただけのものだが、武器そのものは並の刀だ。
「いい加減更新してもよいのではないか?その刀は」
「でもこの辺りで手に入るユニーク装備の刀はまだこれとそンなに差はないし」
「それなら優秀な効果がついているユニーク装備を使った方が強いと思いますよ」
「そうなンだけど、思い出の品でもあるからなぁ」
花春にとっては思い出の武器でもあるその刀。
とはいえこの辺りで拾えるユニーク装備の攻撃力はそれと差はほぼない。
それなら優秀な効果がついているユニーク装備に変えた方が強いとサミヨは言う。
この刀については要するにパ◯スの剣みたいなものでしかないのだ。
「別に処分しろとは言わん、ただ装備は効果や数値がいいものを使った方がいいぞ」
「花春さんにとっての思い出の品なのは理解しますが」
「そうだね、パ◯スの剣も最強の剣じゃないンだし」
「拾ったユニーク装備の刀で何かいいものはあります?」
とりあえずダンジョンで拾ったユニーク装備の刀である長船に持ち替える。
付加されている効果などからしてこの時点では長船が一番強い刀だ。
ちなみに花山が今使っている刀はもっとずっと強い刀だったりする。
AAランクの冒険者という事もあり、使っている武器も一級品だ。
そんな花山は幻の刀と言われる村正を探しているらしいが。
「装備はだいぶ揃えられて来ましたね」
「鍛冶屋に持ち込ンで改造してもらう?」
「鍛冶屋の装備改造はユニーク装備の性能アップでしたっけ」
「ならそうするか、装備はいいものを使うに限るからな」
そのまま鍛冶屋に向かい装備を改造してもらう。
なおこの世界ではユニークと鍛冶屋で作れる装備の性能差はそんなにない。
寧ろ好きな装備効果を付加出来る分市販品の方が優秀になる事もある。
なのでそこのバランスを考えるのもまた装備選びのポイントになるという。
「そうだ、お嬢さん達は装備のグレードって意識してるかい」
「装備のグレード?同じ装備でも性能が変わるとか?」
「ああ、魔物やダンジョンで手に入る装備にはグレードがあってな」
「そのグレードとはなんなんですか?」
「グレードってのは下から銅、銀、金の三つでな、一番優秀なのは金になる」
鍛冶屋のおっちゃんが言う装備のグレード。
それは魔物からのドロップ品とダンジョンで手に入る装備にのみ付加されるものらしい。
鍛冶屋で作った装備や店売りの装備にはグレードはつかないという。
装備のグレードは装備の性能がわずかに変動するという。
例えば攻撃力55の武器のグレードが銅なら攻撃力が57になる。
それが金なら攻撃力が59になるという。
なおグレードによって変動する能力は装備によって決まっているとか。
装備選びの参考の一つにはなるという事ではあるらしい。
「まあ変動する数値は微々たるもんだが、その1に命を救われる事もあるしな」
「そうだね、あとサミヨの使ってる盾って回避を上げるものでいいンだよね?」
「ああ、盾には大盾と円盾があるぜ」
「大盾はダメージを大きく軽減、円盾はダメージの受け流しでしたわね」
「ああ、円盾は技術が必要ではあるがダメージを完全に無効化出来るぜ」
主にファイター系やその系統のレアクラスなどの重装備物理職が装備出来る盾。
大盾は扱いが簡単でダメージをシンプルに減らせる。
円盾は技術は必要だが、ダメージを完全に受け流す事が出来るという。
それと一つ気になっている事があったので、それも聞いてみる。
「そうだ、イーリアでも使える盾ってないの?」
「その有翼人の嬢ちゃんはマジックユーザーか、マジックユーザー用の盾もあるにはあるぜ」
「でも盾って重装備物理職以外は一部の円盾を装備出来る程度しかないのでは?」
「お嬢さん達は本盾って知ってるかい」
「本盾ですか?いえ、存じていません」
鍛冶屋のおっちゃんが言う本盾。
それは魔法の盾というものでもあるらしい。
本から魔力の盾が出現し攻撃を防げるという代物らしい。
魔力の盾なので大盾などと比べると軽量であり、マジックユーザーなどの魔法職用の盾だとか。
珍しいものではあるが、魔法職の守りを強化するのには欠かせないという。
「その本盾があればイーリアの戦力も上がりそうではあるンだけど」
「割と珍しいもんではあるらしいな、手に入ったら大切に使えよ」
「はい、そうします、教えてくれてありがとうございました」
装備は一通り更新が完了する。
魔法職用の盾でもある本盾が手に入らないかと再度ダンジョンに何度か潜るが収穫はなし。
装備の更新自体は完了したので、少し情報集めをする事に。
すると以前聞いた財政破綻した国の今の話が聞こえてきた。
「あの、何を話してるんですか?」
「ん?ああ、あんた達も財政破綻した国の事は知ってるだろ?」
「西側諸国の国の一つだよね?噂には聞いてるけど」
「その国がフェンゾル国の管理下に置かれる事になったんだよ」
「管理下、財政破綻して国家再建の最中という話でしょうか」
「ああ、新しい国王と王妃も当事者意識が低すぎて、政治は任せられない状態らしい」
財政破綻したというその国はフェンゾル国の管理下に置かれる事になったという話。
新しい国王と王妃も当事者意識が低すぎて、フェンゾル国の政治家も頭を抱えているとか。
まるで自分達には何も責任はないと言わんばかりの態度なのだとか。
「でも管理下に置いて再建を目指すかぁ、まだ温情があるのかもね」
「実際は再建という名の併合準備とは言われるけどな」
「まあ国王と王妃が無能過ぎて、併合してその国王と王妃を失脚させるしかないのでしょうね」
「噂では国王が婚約者でもあった金庫番を大勢の前で追放して、今の王妃と婚約したとか」
「そこから一気に財政破綻まっしぐらですか」
「その金庫番は行方知れず、そもそも当時の王子は自分が何をしたのかも理解してなかったとか」
財政破綻した国が傾き出したのは当時の婚約者の金庫番が追放されてから。
それは王子達が何をしたのかを全く理解してなかったという事にもなる。
その話が本当なら、政治の事を何も理解してなかった無能が国を滅ぼしたという事になる。
「国を再建とはいうけど、実際は併合かぁ」
「まあ不可解なところもあるけどな、王子がなんでそんな事をしたのかも含めて」
「しかし無能が王になるとどうなるかという事ではあるのか」
「貴族や王族が勝手に婚約破棄とか、それこそ内乱待ったなしなんだよ」
「貴族や王族にとっての婚約はそれだけの大きな意味を持ちますものね」
貴族や王族が勝手に婚約破棄などしたら内乱待ったなしだとフリージアは言う。
恐らく当時の王子は相当に権力による粛清を行った可能性もある。
その国は再建という名の併合に向けて進むのかもしれない。
とりあえず次の国に向かう準備などをするためにテントに戻る事に。
「そろそろ次の国を目指そうか」
「次の目的地はウォドリング国ですね」
「西側諸国は連合国家という共同体ではありますわよ」
「西側諸国のいろんな国も見て回りたいですからね」
「連合国家でも国によって文化とかは違うからな」
そんな次の目的地はウォドリング国。
湿地を抜けた先にあるという事らしい。
明日にはウォドリング国へと向けて出発する。
西側諸国は大陸中央部の国とは様々なものが異なる国である。




